男は警察官を撃っただけでなく、その後に刺していたことが新たにわかった。

待ち伏せして犯行に及んだ可能性も

午後1時すぎ。長野県・中野市にある畑の片隅で、花を手向ける女性たちの姿があった。

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亡くなった村上さんの関係者:
痛かっただろうな、怖かっただろうなという気持ちだけですね。

この畑は、青木政憲容疑者(31)に襲われ、死亡した村上幸枝さん(66)が倒れていた場所。

逃げる村上さんを追う青木容疑者からは、“強い殺意”が感じられたと目撃者の男性は話す。

目撃した男性:
いきなり男が後ろから左腕掴んで、右に持ったナイフでドスッと2回刺しました。
「なんでそんなひどいことを、かわいそうなことをするんだ」って言ったんだよ。そしたら「殺したいから殺してやったんだ」って

動機について青木容疑者は、“独りぼっち”という言葉を使い、家族にこう説明したという。

「“独りぼっち”であることをののしられたと思って、最初の女性を刺して殺害した」

犠牲となった村上幸枝さんと竹内靖子さん(70)は、ほぼ毎日、2人で散歩をする間柄だった。
事件があった時間帯に、青木容疑者の自宅前を通ることが多かったことから、青木容疑者が待ち伏せをして犯行に及んだ可能性もあるとみられている。

自宅すぐ横の畑でプラムを栽培し、“1人で作業”する姿がよく見られたという青木容疑者。
まさにそのすぐ横を、2人は散歩しながら通っていたという。

2人を知る人:
結構大きな声で2人話していたから、ひょっとしたらそれが耳障りで気に入らなかったこともないとは言えないんだけど…。

しかし、亡くなった竹内さんを知る人はこう証言する。

亡くなった竹内さんの知人:
ありえないのは、人の悪口を言わない人。いつも前を見て楽しそうにしていた。悪口言いながら散歩してないと思います。

では、青木容疑者を凶行に走らせた“独りぼっちをののしられた”との言葉は、一体どこから来たのだろうか。

「金さえあれば何でもできるということ」

「この世の中で最も大切なものは『命』だと思います」

中学校の卒業文集に、最も大切なものは「命」とつづる一方で、青木容疑者は“将来の不安”も漏らしていた。

「自分も将来はワーキングプア(働く貧困層)に陥るのではないかと心配であります」
「金さえあれば、何でもできるということであります」

野球部に所属していた中学時代、周囲の印象は決して悪くはなかった。

中学時代の部活のチームメイト:
野球はできる感じの子で、頭も多分良かった。普通のどこにでもいる中学生って感じですね。

しかし、大学に進学すると“人生の転機”が訪れる。

青木容疑者を知る人A:
一度大学に入ったんですよ。だけど、人付き合い上手くいかなくて、いやになって帰ってきちゃった。ほとんど今、家にいた状態だと思う。

青木容疑者を知る人B:
大学行って変わったのかな。大学で中退して(戻って)来たから、その時に何かあって、何も喋らないような感じ。

家族に対し「大学時代にいじめにあってから、人間関係が苦手になった」と話していたという青木容疑者。
警察は、談笑しながら散歩する2人を見て、“一方的に悪口を言われた”と思い込んだ青木容疑者が恨みをつのらせ、犯行に及んだ可能性もあるとみている。

銃で撃たれた後に複数回刺され…致命傷に

事件から4日が経ったきょう29日午後2時すぎ。

雨が降る中、整列する同僚警察官に迎えられたのは、亡くなった玉井良樹警部補(46)を乗せたとみられる車。
敬礼する同僚らに見送られ、車は警察署を後にした。

長野県警によると、亡くなった2人の警察官は通報を受け、急を要することから、拳銃を装着する間もなく、現場に向かったことが分かった。

また、青木容疑者が警察官2人の銃撃に使った銃弾は、多数の小さな弾丸が詰まった「散弾」ではなく、1発の大きな弾丸が発射される「スラッグ弾」だったとみられることが分かった。
スラッグ弾は、クマやイノシシなど大型動物の狩猟に使われる銃弾で、殺傷能力の高さが特徴とされている。

そして、亡くなった玉井警部補は、銃で撃たれた後に複数回刺されたことが新たに分かった。
この刺された痕が、致命傷になったという。

(「イット!」 5月29日放送より)