折り鶴アートでおもてなしの心を届けようと、折り紙講師の女性がG7広島サミット開催にあたり新たに手がけた作品がある。作品に込めた平和への願いは、7年前の伊勢志摩サミットから折り紙の力でつながっていた。

折り紙教室で広がる「サミットの華」

G7広島サミットを翌週に控えたこの日、広島市中区で大人を対象にした「折り紙教室」が開かれていた。

広島市中区で開かれた「大人の折り紙教室」
広島市中区で開かれた「大人の折り紙教室」
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月に1回の教室で講師を務めるのは久保田和子さん。今回の作品テーマは「サミットの華」である。

折り紙講師・久保田和子さん
折り紙講師・久保田和子さん

折り紙講師・久保田和子さん:
7色で花びらを折りました。中心をサミットの円卓に見立てて、円卓のまわりを折り鶴が幸せそうに飛んでいる作品にしました

政府が決定したG7広島サミットのロゴマークも、よく見ると折り紙をクリップでとめたようなモチーフになっている。折り紙教室は福山市の老人大学でも開かれていて、広島市内にとどまらずサミットへの思いを広く伝えている。

伊勢志摩サミットの食器を彩る折り鶴

久保田さんはサミットに特別な思いがある。
2016年に開かれた伊勢志摩サミットでのパートナープログラムの昼食会。

昼食会で使われた食器が、今も伊勢志摩サミット記念館に展示されている。地元の有志が作ったカップとソーサーに添えられているのは、久保田さんが折った鶴だ。「平和の願いを込めたカップにふさわしい飾りを」と声がかかった。

伊勢志摩サミット記念館に展示されている食器と久保田さんの折り鶴
伊勢志摩サミット記念館に展示されている食器と久保田さんの折り鶴

折り紙講師・久保田和子さん:
もう本当に偶然で…。初めての仕事だったので、とてもうれしかったです

偶然の出会いから関わった伊勢志摩サミット。その時、折り鶴に込めた平和への願いは、7年の時を経て広島サミットに受け継がれた。

折り紙講師・久保田和子さん:
戦争や災害で色のない世界が続いているので、「サミットの華」はカラフルで皆さんに元気になっていただくような作品にしたいと思いました。7年前から引き続きつながっているのも折り紙のご縁だなと感じています

1500羽の折り鶴を貼り付けた木

久保田さんはG7広島サミットに合わせて、教室の作品とは別にもう一つ作品を仕上げた。それは、高さ1メートルを超える「祈りの木」。

約1カ月かけて友人7人と折った1500羽もの折り鶴を、もみじの木に1羽ずつ貼り付けた。広島サミットが開かれる5月の新緑をイメージし、特殊な和紙の折り鶴を葉っぱに見立てている。

葉の1枚1枚が緑色の「折り鶴」
葉の1枚1枚が緑色の「折り鶴」

深い緑色と若々しい緑色の折り鶴がグラデーションを成して混ざり合い、生命力がみなぎるようだ。

折り紙講師・久保田和子さん:
何ができるわけではないんですけど、広島に住んでいる私たちにできるおもてなしが何かないかなという気持ちで、一つ一つ手作りで作らせていただきました

1羽1羽に“おもてなしの心”を

集まった仲間たちも、作品づくりを通して身近にある平和を実感するきっかけになったようだ。

友人・十河靖子さん:
子どものころから鶴の折り方は知っていましたが、広島に住み始めて、この度「祈りの木」を折ることで再認識したというか、平和の大切さやみんなで集まることの大切さを学びました

おもてなしの作品は、広島市中区の老舗百貨店「福屋 八丁堀本店」に置かせてもらえることになった。

広島市中区の「福屋 八丁堀本店」
広島市中区の「福屋 八丁堀本店」

福屋 販売促進部・月山淳一 次長:
サミットの期間中は交通規制があって出てこられない方もいらっしゃると思うので、5月28日まで展示します

折り紙講師・久保田和子さん:
みなさんに見ていただければいいなという一心で折りました。こうして実現できてうれしいです

伊勢志摩サミットで平和の願いを込めた折り鶴は、7年の時を経て、広島サミット開催地を彩る“おもてなしのアート”になった。久保田さんは折り紙の持つ力が世界に届くことを信じている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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