21年前、白血病のため9歳で亡くなった男の子は紙飛行機が大好きだった。命日の5月8日は「紙飛行機の日」に定められ、2023年、命日を前にイベントを開催。紙飛行機を愛した男の子の思いはみんなを笑顔にしている。
悲しい命日ではなく…うれしい気持ちに
5月6日、佐賀市で開かれた紙飛行機の大会「たけし杯」。

井上真理子さん:
健史が好きだった紙飛行機をどこかで誰かが折って飛ばしてくれているんだっていう思いがあるとすごくうれしくて、悲しい命日じゃなくてうれしい気持ちになれる。健史をまた身近に感じられる

「たけし杯」と名づけられたのには、紙飛行機が大好きだった、ある男の子の存在があった。
一生懸命生きて…飛んでいった

1993年3月、父・英史さん、母・真理子さんの長男として生まれた井上健史くん。両親の愛情を受けて育った健史くん。2歳のとき、白血病であることが分かり闘病を続けたが、2002年5月8日、9歳でこの世を去った。

井上真理子さん:
9年間、彼は彼なりに一生懸命生きて楽しんで、飛行機のように空に飛んでいったんだなぁって思っています

紙飛行機が大好きだった健史くん。当時、家族ぐるみで付き合いをしていた折り紙ヒコーキ協会の働きかけで健史くんの命日は2017年に「紙飛行機の日」となり、次の年、健史くんの名前がついた紙飛行機大会が開かれた。その名も「たけし杯」。

井上英史さん:
当事者の私たち親にとっては画期的な奇跡みたいなもので
井上真理子さん:
体中の血液が逆流しそうなぐらいびっくりしました
自身も折り紙ヒコーキ協会の九州支部長を務めている父の英史さんは、健史くんへの思いのほかに大会を開催する意義をこのように話していた。

井上英史さん:
たった1枚の紙を折って、そしてそれが、自分が折った飛行機がものの見事に飛ぶ瞬間っていうのをあの感動っていうのを子供たちに味わってほしいわけですよ
紙飛行機がみんなを笑顔に
コロナ禍を経て5年ぶりの開催となった「たけし杯」。会場には子供から大人までおよそ100人が集まり、紙飛行機を飛ばした。

参加者:
紙飛行機を作って、いっぱい飛ばして、長く飛ばして楽しかった
参加者の父親:
大人になっても紙飛行機は楽しいんだなと思って。長い時間飛ばす上手な人もいて難しいんだなと思いましたね

楽しそうに紙飛行機を折って飛ばす参加者を見た健史くんの両親は、幼い健史くんとの思い出を重ね合わせた。

井上真理子さん:
参加者が親子連れで来ていて、ああやって健史と一緒に折って遊んだなぁと思いながら昔の自分を見ているような感じでした。楽しいひとときをありがとうございました

井上英史さん:
予想以上にたくさん来ていただいて本当に感謝しています。喜んでいる子供たちの笑顔が私たちの最大の贈り物。そして健史からの贈り物かなと思っています。折り紙ヒコーキ協会のバックアップを受けて末永く細く長くやっていけたらと思っています

9年間という短い人生を精いっぱい駆け抜けた健史くん。紙飛行機が大好きだった健史くんはたくさんの人たちの笑顔をきょうも空から見守っている。
(サガテレビ)