ゲームの対戦を競技として行うeスポーツ。愛媛・松山市の障がいがある子どもたちのチームが、2023年1月、全国大会で優勝を果たした。eスポーツと向き合うことで生まれた、子どもたちの変化を取材した。

学校終わりの児童や生徒が自立のためのスキルを学ぶ

子どもたち:
よろしくお願いします

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愛媛・松山市にある放課後等デイサービス施設「マルクスコラ」。学校終わりに、知的障がいなどがある児童や生徒たちが、将来、日常生活で自立するために必要なスキルを授業形式で学んでいる。この日のテーマは、「ストレス」についてだ。

先生:
あすから旅行!修学旅行だ!楽しみだな、というのもストレスの一つです

子どもたち:
えっ!そうなん?

先生:
心が緊張する状態になることを、ストレスといいます

eスポーツの全国大会で優勝!「部活と同じような経験を」

テレビ愛媛・正本健太アナウンサー:
今、子どもたち、画面を見て集中して臨んでいるのはテレビゲームです

この施設で今、力を入れているのが、コンピューターゲームを使って対戦する「eスポーツ」。画面の上から落ちてくる色とりどりの物体を、同じ色で4つ以上組み合わせて消化していく人気のパズルゲーム「ぷよぷよ」だ。実は、この施設に通う小学生~高校生の4人のチームが、2023年1月に開かれた障がい者施設などが対象のぷよぷよの全国大会で見事、優勝した。

優勝メンバーの1人・濱田心晴さん(17):
すごいeスポーツプレーヤーになると思ってもいなかったので、本当に本当にうれしかったです

施設を運営する株式会社マルク・北野順哉社長:
障がいのある子どもたちの教室を運営している時に、「子どもたちが部活動の経験が少ない」っていうことに気がついた。eスポーツというのは、身体的なハンディだったりとか、身体的な部分での差っていうのは非常に出にくいもので、チーム戦で行うタイトルを選べば、コミュニケーションを取りながら、その子たちが部活と同じような経験ができるんじゃないかなと思った

正本アナウンサーと優勝メンバーが対決!勝負の行方は…

優勝メンバーの濱田さんは大会前、毎日教室で出される目標シートを記入しながら、ぷよぷよを多く消せる方法を熱心に研究していた。

優勝メンバーの1人・濱田心晴さん(17):
8連鎖~10連鎖を打ちたいって目標ですね

そんなチーム1の腕前を持つ濱田さんと、ぷよぷよ体験20回の正本アナウンサーが対戦。

正本健太アナウンサー:
結構、序盤は私いい形じゃないですか、これ

正本アナウンサー、出だしは順調。落ちてきたぷよぷよを着実に消化できていたが、徐々に濱田さんの術中にはまっていく…。

正本健太アナウンサー:
なんか、自分が思ってたようにやってたのに…急に崩れてきたよ、ちょっと待って、ちょっと待って。早い!早い!うそ!

あっという間に、濱田心晴さんが8連鎖を達成!
正本アナウンサーは手も足も出ず、完敗だった。

正本健太アナウンサー:
やっぱり、磨いてきたものが培われて日本一になったっていうのを、私は素人ですけれども、そこは肌で感じました。私どうでした?

優勝メンバーの1人・濱田心晴さん(17):
頑張った方だと思います

正本健太アナウンサー:
そうですか、ハハハ(笑)

eスポーツの経験を仕事に生かす 「将来の自主性」養う狙い

優勝メンバーの1人、久保柊太さん(18)。久保さんは今、eスポーツの経験がいかされているという。

久保さんは、高校を卒業した2023年4月から、この放課後等デイサービス施設「マルクスコラ」を運営している会社で働き始めた。仕事は、取引先などの名刺のデータを入力する作業。eスポーツの練習で鍛えた、得意の「パソコン」を自分の仕事にしているのだ。

優勝メンバーの1人・久保柊太さん(18):
結構、打ててる方だなって。ひたすらただ入力するっていう作業が楽しいなって思う

施設を運営する株式会社マルク・北野順哉社長:
先生に言われてとか、職員に言われてとかじゃなくて、子どもたち自身が自分たちで自主的に取り組んで、今回のように大会で上位を目指すとか、子どもたち自身がeスポーツに向き合って、どういう成長をしていきたいかっていうのを、一緒に寄り添っていけるようなeスポーツとの関わりをしていきたい

eスポーツを通して将来につながる「自主性」を養う。障がいのある子どもたちのコミュニケーションを発達させるツールとして、「eスポーツ」の可能性が広がっている。

(テレビ愛媛)

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