久子さまと「シルク・ド・ソレイユ」の縁

高円宮妃久子さまは4月21日、「アレグリア~新たなる光~」東京公演を港区台場のビッグトップでご覧になりました。

「アレグリア」をご覧になった久子さま
「アレグリア」をご覧になった久子さま
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この公演は、カナダのケベック州に拠点を置く「シルク・ドゥ・ソレイユ」というエンターテインメント集団による公演で、久子さまも日本で公演があると足を運ばれて来ました。

「アレグリア」出演者らと記念撮影される久子さま
「アレグリア」出演者らと記念撮影される久子さま

久子さまがこれまでご覧になった公演のなかで、私が覚えているのは、1994年に東京・代々木で行われた「サルティンバンコ」で、亡くなられた高円宮さま、長女の承子さま(当時8歳)、次女の千家典子さん(当時5歳)、三女の守谷絢子さん(当時3歳)とご一緒でした。

「サルティンバンコ」をご覧になる高円宮ご一家(1994年)
「サルティンバンコ」をご覧になる高円宮ご一家(1994年)
「サルティンバンコ」をご覧になる高円宮ご一家(1994年)
「サルティンバンコ」をご覧になる高円宮ご一家(1994年)

その後も2007年には「ドラリオン」を2014年には「オーヴォ」の公演などもご覧になられています。前作の「アレグリア」も鑑賞されているということです。

「サルティンバンコ」の会場に向かわれる久子さま(1994年)
「サルティンバンコ」の会場に向かわれる久子さま(1994年)

久子さまによると、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演に関心を持つきっかけになったのは、1987年5月、ご結婚して初めてとなる公式訪問で、メキシコ・カナダを訪れた際、ご夫妻でカナダ滞在中に公演をご覧になり大変感動されたことだといいます。

「アレグリア」の感想を話される久子さま
「アレグリア」の感想を話される久子さま

それまでのサーカスというと、必ず動物が出てくるところを、人間の肉体によりパフォーマンスする様子に驚き、日本で公演されると聞いて、ぜひご覧になりたかったということです。

高円宮家とカナダとの深い縁

そもそも、高円宮家にとってカナダは縁が深い国です。

高円宮さまは、学習院大学法学部を卒業した1978年、2年間の予定でカナダ・オンタリオ州の名門、クィーンズ大学に留学されています。

高円宮さま
高円宮さま

この留学について高円宮さまによると、「留学先にカナダを選んだことには、実はあまり深い理由はありません。父(三笠宮さま)は、長男(寬仁さま)が英国、次男(桂宮さま)がオーストラリアに留学したので、三男の私には北米あたりがいいと思っていたらしいのです」ということですが、この留学は高円宮さまにとっては大きな経験となられました。

カナダでは、多くの友人を作りたくさんの経験を積まれた高円宮さまは、留学を1年延長し最終的に留学は3年間となりました。

こうして、この地は高円宮さまにとり「第二の故郷」となっていったのです。

出会いのきっかけはカナダ大使夫人

久子さまにとって、カナダは高円宮さまとの「出会いの場所」となります。

といっても、日本のカナダ大使館ですが…

当時のカナダ大使の令嬢が結婚したことをお祝いするレセプションに、久子さまは母の鳥取二三子さんと一緒に出席し、大使夫人から高円宮さまを紹介されたと言うことです。

1972年からケンブリッジ大学ガートン・コレッジで人類学・考古学を学ばれた久子さま。

その後も英国の法律専門学校を卒業し、帰国後に翻訳や通訳の仕事をされている時のことでした。

お二人は、1984年12月6日にご結婚。

(1984年12月6日)
(1984年12月6日)

そして、ご結婚から2年半ほど経った1987年5月に、ご夫妻として初めて公式訪問でメキシコとカナダを訪れ、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演をご覧になったわけです。

(1984年12月6日)
(1984年12月6日)

今回久子さまがご覧になったアレグリアは、1996年に公演した作品をリニューアルしたもので、「新たなる光」という副題が付けられているように、ステージや衣装は一新され、メイクアップもアーティストを際立たせるスタイルへと変わりました。

アレグリア~新たなる光~
アレグリア~新たなる光~

終演後、久子さまは「素晴らしかったです」「何回見ても1人ずつ自分の持っている特技が違いますので、演出全部が変わる上に、1つ1つの見せ方も変わってくるので、何回来ても新しく楽しめるのだと思いますね」と感想を述べられました。

出演者との歓談では「とても素晴らしいひと時を過ごすことができました。はるか昔に以前のアレグリアを拝見しましたが、随分と内容が一新され、衣装も新しくなって、ショーが意味する“喜び”を感じることができました。キャラクターの設定も明るい雰囲気になっていました。残りの公演も是非頑張ってください」などと励ましの言葉もかけられていました。

「アレグリア」出演者と歓談される久子さま
「アレグリア」出演者と歓談される久子さま

新型コロナウイルス感染症により、「シルク・ドゥ・ソレイユ」も打撃を受けました。

そんな中から、今年になり海外でのテント公演が再開しました。

感染症はまだ続いていますが、マスクをしなくてもいい環境も生まれ始めています。

久子さまは、こうした状況になってきたこともあるかもしれませんが、出演した2人のクラウンの友情、助け合う姿などから、コロナで接触できない中での「仲間」を感じるとともに、今のタイミングで鑑賞できたことがいい経験になったとの印象を持たれたご様子でした。

「アレグリア」出演者と歓談される久子さま
「アレグリア」出演者と歓談される久子さま

新型コロナウイルス感染症の傷は大きく残っていますが、こうした舞台の中にも新たな光が差し込み始めています。

【執筆:フジテレビ皇室担当解説委員 橋本寿史】

橋本寿史
橋本寿史

フジテレビ報道局解説委員。
1983年にフジテレビに入社。最初に担当した番組は「3時のあなた」。
1999年に宮内庁担当となり、上皇ご夫妻(当時の天皇皇后両陛下)のオランダご訪問、
香淳皇后崩御、敬宮愛子さまご誕生などを取材。