今、世界中が同時に新型コロナウイルスという敵と闘っている。
第2派への警戒を続ける中でも、人々は『新しい日常』へ希望の光も感じ始めている。
世界中で取材を続ける各国のFNN特派員が、世界8ヶ国11都市から最新情報をリポートする。

▼フランス:192,493人(各国の感染者数を緑で表示)

パリの石井です。
フランスでは、観光名所が徐々に再開しています。パリ近郊のベルサイユ宮殿は、およそ3か月ぶりに再開しました。訪れる人はまだ少なく、こんなベルサイユは見たことがありません。入場者を、1時間あたり500人に制限するなどの感染防止対策を行っています。6月15日からはEU各国からの観光客の受け入れが始まる予定で、観光立国フランスが、その姿を取り戻しつつあります。

▼タイ:3,125人

バンコクの武田です。
タイの新規感染者はタイに帰国した人だけで、市中感染は2週間以上確認されていません。観光名所であるここ王宮も2ヵ月半ぶりに一般公開が再開されました。敷地内には王族の儀式などがおこなわれる寺院もあり、普段は観光客でにぎわいますが、きょうは閑散としています。タイでは15日からさらに制限が緩和されレストランでのお酒の提供が再開される見通しです。  

▼イギリス:292,860人

ロンドン小堀です。
イギリス文化の象徴「パブ」ですが、現在も多くの店が閉まったままです。政府は7月以降に営業再開を判断するとしていて、業界団体は、このままだと、4割のパブが閉店に追い込まれると訴えています。しかし、最小限の店員で店を開き、このように生ビールの持ち帰りで利益を得る店もでてきており、長引くパブ閉鎖で乾ききった、イギリス人の喉を潤しはじめています。

▼中国:84,216人

上海の城戸です。
こちらの写真は患者とともに夕日を眺める医療関係者です。そしてこちら、武漢に応援に入った上海の医療チームがサインした防護服やチームの旗があります。中国ではこのような新型コロナとの戦いを記録した様々な展覧会が開かれ始めています。輝かしい歴史として紹介することで、新型コロナウイルスに勝利した中国、という意識をさらに高める狙いがあるとみられます。

北京の高橋です。
数日前までは露店で賑わっていたこの一角ですが、今は警備員が10メートルおきに配置され、出店できないようになっています。そもそも中国は露店を厳しく取締まってきましたが、コロナ対策として政府が「露店経済」を奨励するようになりました。しかし、北京では「首都にふさわしくない」として禁止され、一時は黙認していたものの、その後取締りを強化しました。定まらぬ方針に批判の声も上がっています。

▼アメリカ:292,860人

ロサンゼルスの益野です。
12日から制限が一気に緩和されジムや美術館などがオープンしますが、映画館は許可されませんでした。一方、映画の撮影は認められたんですが安全対策が難しく本格的な再開はまだまだ先になります。2月のアカデミー賞受授賞式ではこの場所にレッドカーペットが敷かれセレブが集まりますが、来年は延期される可能性があり、映画の都・ハリウッドは苦しい状況が続きます。

ニューヨークの中川です。
黒人死亡事件の抗議デモに乗じた暴動を防ぐため、まだ多くの店が外壁に板を張っています。こちらの百貨店も、数日前までは有刺鉄線まで設置した厳戒態勢でしたが、現在は、板だけの状態。一方、裏口を見てみますと・・・客が店に立ち入らない「店頭受け取り」で営業再開。少しずつ動き出しています。

ワシントンの瀬島です。
黒人男性の暴行死事件をめぐる抗議活動の中心地、ホワイトハウス前からはフェンスが撤去されましたが、今も多くの人が抗議活動や写真撮影に訪れています。しかし、ウイルス対策の面では心配な状況です。デモにより感染者が一日あたり3千人増えるとの予測があるほか、対応に当たった州兵が感染したケースも確認されました。当局はデモ参加者に検査を呼びかけるなど、第2波の到来に危機感を強めています。

▼トルコ:174,023 人

イスタンブール清水です。
子どもたちの外出制限がようやく解除され、ボスポラス海峡では青空の下、皆思い思いに海水浴を楽しんでいます。トルコでは大規模な規制緩和の後も、18才以下は週2 回の限られた時間しか外出できませんでしたが、この制限が解除されました。65才以上も、日中であれば毎日外出できます。観光シーズンの本格化に伴い、今後、人出が一気に増えそうです。

▼ロシア:501,800人

モスクワの関根です。
外出制限が解除され、およそ70日ぶりに自由に出歩けるようになりました。ちょうど夏の訪れとも重なって、川沿いの公園は平日にもかかわらず、上半身裸や水着姿で日光浴する人であふれています。日焼けが大好きなロシア人は、この日を待っていました。ただ、義務付けられているマスクや手袋を着けている人は、誰もいません。感染拡大が続く中での規制緩和は、不安も残ります。

▼韓国:12,003人

ソウルの渡邊です
韓国では5月6日に外出自粛要請が解除されましたが、その後ソウルで集団感染が発覚し、5月29 日からは首都圏に限って不要不急の外出を自粛する要請が2週間をメドに復活しました。しかし市民の外出は一向に減らず、新規感染者も減らないため防疫当局は自粛要請を無期限で延期すると発表しました。東京アラートが解除された日本とは対照的な流れになっています。

これまでの特派員リポート
【第1回:新型コロナウイルスと闘う世界 “緊急事態”世界11都市の特派員が伝える今
【第2回:緊張が続く欧州 “最悪を脱した”NY 中国は企業活動再開 特派員が伝える今
【第3回:新型コロナウイルスと闘う世界 8ヶ国11都市の特派員が伝える今
【第4回:「嵐の真っただ中」のロシア “リベンジ消費”に期待がかかる上海 
【第5回:防疫か経済再開か 徐々に動き出した世界の現状 韓国繁華街のクラブをはしごした男性の結末
【第6回:ロスではサーフィンも解禁!世界各国で始まった新しい“無接触ライフスタイル”
【第7回:“ほぼ全員マスク” 異例の中国全人代 一方米世論調査「弱く見えてカッコ悪いからマスクをしない」男性が38%も
【第8回:セーヌ川沿いにシェフのユニフォームと食器がずらり?! ロシアでは「仕事をさせろ」と裸で訴える人たちも
『第9回:「一安心だと思ったら違いました」韓国大統領がSNSで・・・コロナ感染の第2波は「確実に来る」

(世界の感染者数はジョンズホプキンズ大学調べ 6月12日13時30分現在)

【取材:FNN海外特派員班】

国際取材部
国際取材部



世界では今何が起きているのか――ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、モスクワ、イスタンブール、北京、上海、ソウル、バンコクのFNN11支局を拠点に、国際情勢や各国の事件・事故、政治、経済、社会問題から文化・エンタメまで海外の最新ニュースをお届けします。