静岡・牧之原市のこども園で、3歳の女の子が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件から半年が過ぎ、女の子の父親が初めてテレビの取材に胸中を明かした。

亡くなった河本千奈ちゃん(3)
亡くなった河本千奈ちゃん(3)
この記事の画像(15枚)

空の水筒と脱ぎ捨てられた服…約5時間置き去り

千奈ちゃんの父親:
妻も私も、助けられなくてごめんなさいと……それしかないです。

事件が起きたのは、静岡・牧之原市にある認定こども園「川崎幼稚園」。

2022年9月5日、河本千奈ちゃん(3)は、送迎バスの車内におよそ5時間にわたって取り残され、死亡した。死因は熱射病だった。

妹にミルクを与える千奈ちゃん
妹にミルクを与える千奈ちゃん

事件が起きる3カ月前、千奈ちゃんの妹が誕生した。動画には、妹をとても大切にする千奈ちゃんの姿が記録されていた。

千奈ちゃん:
動いてる、赤ちゃんが。
母親:
動いてる?

千奈ちゃんの父親:
本当にお姉さんとして、たった3カ月間でしたけど、よくやってくれたと思っています。

事件当日の牧之原市は、最高気温30.5℃。発見された際、千奈ちゃんの体温は40度ほどまで上がっていたとみられ、車内からは空になった水筒と脱ぎ捨てられた服が見つかった。

「行政を動かすために娘は生まれてきたのではない」

再発防止に向け、国は2023年4月から幼稚園や保育園などの送迎バスに、警報ブザーなど安全装置の設置を義務付けた。

しかし、千奈ちゃんの父親はこう訴える。

千奈ちゃんの父親:
義務化になって、これで安全ですと言われても、娘の千奈はもう戻ってこないので。
行政を動かすために娘は生まれてきたのではない。

事件当日、送迎バスを運転していた増田立義元園長は車内を充分に確認せず、千奈ちゃんは置き去りになった。

元園長は事件後に開かれた会見で謝罪。しかし、会見終了間際には「廃園になるかもしれないね」と述べ、笑みを見せる場面もあった。

事件後に開かれた会見で謝罪するも、終了間際に笑みを見せる場面があった
事件後に開かれた会見で謝罪するも、終了間際に笑みを見せる場面があった

千奈ちゃんの父親:
(元園長は)妻に対してにらみつけながら、声を荒立てて返事をしたりとか、反省という態度ではなかったと思います。

(「イット!」4月19日放送より)