小倉將信少子化対策相は16日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、子育て世帯の可処分所得に関するモデルケースを政府として示したい考えを表明した。「子どもを持つのに躊躇する一番の理由が不確実性だ。できる限り見える化していくことが重要で、子育てでどれくらい金がかかるかがわかりやすくなるよう検討していく」と述べた。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事、元大阪市長)は「皆、それぞれの収入の中で子ども一人を産むと自分の生活はどうなるのだろう、二人目を産むとどうなるだろう(と不安を感じている)。この予測可能性を国民に示さないと、いくら異次元の少子化対策だと言っても、一人目から二人目、二人目から三人目にいけない」と指摘。

これに対し、小倉大臣は「年金保険料をいくら納めてどれくらい年金が戻ってくるか分からないということがあったので、去年政府として年金シミュレーターを導入した。なかなか年金ほど簡単にはいかないが、民間の家計簿アプリなどもあるので、様々な民間サービスと連携して子育てでどれくらい金がかかるか、できる限りわかりやすくなるよう検討していく」と語った。

小倉大臣は政府として「出生率の目標は置いていない」としつつ、安倍政権が「新三本の矢」で掲げた「希望出生率1.8の実現」の目標については「(岸田政権として)維持している」と明言。「希望する人が希望どおり子どもを持てる社会の実現は、言い換えれば、希望出生率がかなう社会の実現だ」と説明した。

以下、番組での主なやりとり。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事、元大阪市長):
小倉さん、政府はいま異次元の少子化対策を様々やっているが、若いお父さん、お母さんたちに将来の予測を立てさせてやる、不確実性を取り除いてやることが決定的に欠けている。

皆、それぞれの収入の中で、子ども一人を産むと自分の生活はどうなるのだろう、二人目を産むとどうなるだろう(と不安を感じている)。

やはり子育て政策で一番重要なのは、予測可能性を示し、損得勘定をしっかり国民にさせてあげないと、いくら異次元の少子化対策で所得制限撤廃だ、様々なものを無償にする、といっても、将来の計算が立たなかったら一人目から二人目、二人目から三人目にいけないと思う。

小倉將信氏(少子化対策相・こども政策相):
子どもを持つのに躊躇する一番の理由が不確実性だ。できる限り見える化していくことが重要だ。いくら保険料を納めてどれくらい年金で戻ってくるかわからないということがあったので、政府として去年年金シミュレーターを導入した。なかなか年金ほど簡単にはいかないが、例えば、家計簿アプリなど民間の様々なサービスと連携して、子育てでどれくらい金がかかるのかができる限りわかりやすくなるようにきちんと検討していかなければいけないと思っている。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
日本の人口推計をみると、2065年の総人口は、出生率が高いと仮定した場合約9490万人に、低いと仮定した場合約8213万人まで減る。

橋下氏:
僕が一番問題意識を持っているのは、異次元の少子化対策をやって日本はどこを目指すのか、目標が見えないことだ。政府が異次元の少子化対策をやって「やることをやります」「子育て世帯に対する応援のメッセージです」というのはわかるが、それをやることで結局どの方向に行くのか。目標がないと、異次元の対策が果たして目標に向かって適切なのかどうかの評価もできない。

小倉大臣:
政府の考え方は「希望する子ども(の数を)きちんと持てる社会の実現」ということだ。出生率それ自体の目標は置いていない。出生率(の目標)そのものを置くことは二つの意味で難しいと思っている。一つは子ども持つべきだという特定の価値観の押し付けになり、プレッシャーを与えてしまうということ。(二つ目は)個々の政策がこれだけ出生率に効くという因果関係の推測がなかなかしづらいということがある。そういう理由で出生率それ自体の目標は置いてない。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
安倍政権時に「新三本の矢」で、希望出生率1.8の実現という数値目標を盛り込んだ。その後コロナ禍などがあり、人口減少は予想以上のスピードで進んでいる実態があるが、この1.8という数字を今の政府はどう捉えているのか。
    
小倉大臣:
これは実は維持している。「希望している人が希望どおり子どもを持てる社会の実現」は、言い換えれば「希望出生率がかなう社会の実現」であるので、そこは下げたわけではない。ただ、出生率そのものを挙げすぎると、何と言うのか・・・。私も様々な人と議論してみてメッセージは二つに分けなければいけないと思っている。子育て当事者に対しては危機感よりも安心感だ。危機感を強く言いすぎると、彼らがプレッシャーに感じてしまってより躊躇してしまうので、当事者に対しては絶対的な安心感(が必要)。それ以外の人に関してはやはり危機感を共有してもらうという二つのメッセージの両立をしなければいけない。そういう中で出生率の数字だけ挙げすぎてしまうと(数字が)一人歩きしてしまう。欧州の国々を見ても、出生率はあくまでも結果であって目的ではないと皆言っていた。そういう進め方が国際的に見てもスタンダードなのではないかという気がしている。
            
橋下氏:
ということは、これだけ異次元の対策をやったとしても、日本の人口がどうなるかわからないというのが今の政府の立場なのか。
            
小倉大臣:
人口そのものについては、この少子化対策の議論の中で関連付けて議論していたわけではない。あくまでも我々が考えているのは、今の少子化トレンドを改善していくということだ。

橋下氏:
もう人口の推移は考えずに取り敢えずやれることをやる、人口がどうなるかはその時次第ですよ、という話に聞こえてしまう。

小倉大臣:
別に人口減少を甘受してるわけではない。人口が減ると、社会保障制度にも様々な影響が出るし、経済規模にも影響が出る。地域の担い手もいなくなる。国家的な課題として人口をしっかり維持していかなければいけないというのは政府全体として持っている。ただ、出生率が人口に与える関係などに関して、いま具体的に結び付けて議論はしていないということだ。

橋下氏:
小倉大臣にはとにかく大暴れしてもらいたい。僕は防衛力強化、防衛費増額には大賛成だが、防衛費だけでなく子育て政策にも予算を回さなければいけない。決算剰余金や歳出改革などで出る金をひっくるめて子育てのほうにもってくるぐらいの大暴れを期待している。

小倉大臣:
大暴れします(笑)。

松山キャスター:
大規模な予算が必要になる。

梅津キャスター:
本日はありがとうございました。

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