今は亡き祖父が孫のために描き続けた、絵はがきがTwitterで感動を呼んでいる。
優しい色鉛筆のタッチが祖父の性格そのもので、本当に宝物です
こた(@kota_draw)さんが投稿したのは、手書きされた絵はがきをめくる、約1分の動画。

日常の風景、動物や植物、童話の一場面といったものまで、さまざまな光景が色鉛筆で鮮やかに描かれている。そしてどれもこれも、遊び心や温かみを感じるものばかりなのだ。

例えば、猫とネズミがいろりを囲んでいる作品などには、こたさんが好きなセリフを書けるように空欄の吹き出しが用意されていて、幼い字で書き込まれている。

このほか、絵に隠された人間を探すクイズ形式のものや、絵の内容でしりとりを楽しめる作品もあり、こたさんが遊んだあとがうかがえる。
亡き祖父が1年間描き続けたもの…300枚以上
絵はがきは、こたさんが4歳ごろの時(2005年)、当時76歳の祖父が1年間、毎日描いて送ったものだという。作品の総数は300枚以上にのぼる。
絵を通しても伝わる愛情や優しさに、投稿には「見ていて涙が出ました」「心が温かくなりました」などのコメントが寄せられ、4万6000以上のいいねを集めている(4月18日時点)。

祖父は82歳で他界し、絵はがきをもらってから約18年が経ち現在21歳のこたさんは、絵本作家やイラストレーターとして活躍しているという。
孫の好きなもの、季節に関するものを描いていた
祖父はどんな人で、孫の人生にはどんな影響を与えたのか。こたさんに聞いた。
――絵はがきが届くようになった経緯を教えて。
祖父とは離れて住んでいて、車で10~20分くらいのところに祖父母の家がありました。そんな中でも交流できるようにと、祖父が考えた案が絵はがきを送ることでした。
――4歳の1年間という期間、毎日という頻度には理由があるの?
僕は分からないのですが、4歳だと段々物事がわかってくる年齢だと思うので、この時期だったのだと思います。

――絵はがきのテーマはどう決められていた?
覚えてませんが、僕が好きなものや、季節に関するものを選んで描いていたと思います。
――とても上手だが、祖父は絵画に携わっていたりしたの?
祖父はもともと教師で、絵画を習っていた訳ではないのですが絵が得意でした。展示をしたり依頼で絵を描いたり、普段からずっと絵を描いてました。
趣味は旅行とスケッチ すごく優しい人だった
――4歳当時はこたさんはどう感じていた?お気に入りの作品はあった?
はっきりと覚えていませんが、凄く嬉しかったと思います!電車が大好きだったので、電車の絵はがきは気に入っていたと思います。 図鑑で見ていた電車がそっくりそのまま上手に描かれていました。

――祖父はどんな人だった?
旅行とスケッチが趣味で、どこへ行くにもスケッチブックを持ち歩いてました。凄く優しい人で、僕が絵を描いているのを口出しを一切せず横でニコニコ見ていました。僕の作品も全て大切にとっていてくれました。
――絵はがきについて話したことはあった?
定期的に祖父母の家には行ってました。ただ、祖父は自ら感想を求めたりするタイプではなかったので、その後、絵はがきの話をしたりした記憶はありません。
亡くなる前にもっと絵の話をしたかった
――こたさんが祖父から影響を受けたり、作風が参考になったところはある?
祖父から直接絵を教わっていた訳では無いのですが、昔から絵を描く祖父を横で見ていたので、影響されていると思います。僕も祖父宛に絵はがきを描いて送ってました。

――話題となったことの受け止めを聞かせて。
温かいお言葉をたくさん頂けて嬉しいです。祖父が亡くなる前にもっと絵の話をしたかったなと、本当に思います。祖父が絵を描く人で、絵はがきを毎日送ってくれて、今の僕があるので感謝しています。
これは僕がまだ4歳のときに、祖父が1年間毎日僕に描いて送り続けた絵葉書です。
— こた (@kota_draw) April 5, 2023
優しい色鉛筆のタッチが祖父の性格そのもので、本当に宝物です。 pic.twitter.com/mMaLejNQ8i
祖父の優しさたっぷりの絵はがきの数々だが、こたさんは自分が父や祖父となった時に「同じことをしたいと思った」とも話していた。絵心や優しさはこうして受け継がれていくのかもしれない。
(提供:こたさん)