春の新生活を直撃する物価高。皆さん、どんなお金のやりくりをしているのか?

40代:
なるべく特売品とか、多く入ってて安く買えるものを家に帰って小分けで使うとか。

50代:
テレビとか、インターネットとか全部、同じコンセントに集約して。それを出かける時は抜いて出ちゃう。

特売品で出費を抑える人や、こまめに節電して電気代を節約する人。中には、自分のものを売ってお金に変える人も。

30代:
買ったけど使わなかった化粧品とか。ちょっとでも売れたら、お小遣い程度になればいいかなって感じで。

30代:
使わなくなったベビー用品とかを誰か使ってもらえればと思って、メルカリとかに出品したことはあります。ちょっとでも家計の足しになればと思って。

しかし、物を現金にする方法は“売る”以外にもある。

夫婦経営でアットホームな雰囲気のある質店
夫婦経営でアットホームな雰囲気のある質店
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神奈川県川崎市にある「まじめな質屋 鶴吉」。夫婦経営でアットホームな雰囲気のある質店だ。質店では自分が持っている物を“預ける”ことで、その物に見合ったお金を借りることができる。

どのような理由で質店を利用するのか取材
どのような理由で質店を利用するのか取材

では、一体どのような理由で質店を利用するのか。そのやり取りを取材した。

税金支払いに 使わないゲーム機も「いつか…」

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
いらっしゃいませ。

カバンから取り出し預けたのは
カバンから取り出し預けたのは

店にやって来た20代の男性。カバンから取り出し預けたのは、高級ブランド「クロムハーツ」のリング。そして、人気ファッションブランド「シュプリーム」とコラボした未開封の電子ゲーム機。

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
今すぐ用意しますね。

20代男性客:
お願いします。

査定の結果は?

「クロムハーツ」のリングが1万円、電子ゲーム機が1万円
「クロムハーツ」のリングが1万円、電子ゲーム機が1万円

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
こちら2点で、2万円でお預かりをさせていただきます。

金額はそれぞれ1万円で、合計2万円を借りることができた。男性はなぜ質店を訪れたのか。

「税金などの支払いのため」質店を訪れたと話す
「税金などの支払いのため」質店を訪れたと話す

20代男性客:
支払いとかですね。税金とか。ちょっとお金が必要になったのと、持っていても使わないので。

使わないのなら、売ってもいいのでは?と聞くと。

「売っちゃうと自分の手から離れる。預けておけば、お金を払えば戻せるじゃないですか」
「売っちゃうと自分の手から離れる。預けておけば、お金を払えば戻せるじゃないですか」

20代男性客:
売っちゃうと自分の手から離れるのと、預けていてもいつか開ける日は来ると思うので。預けておけば戻せるじゃないですか、お金を払えば。

決められた期限までに借入金と利息を払えば、預けた物は手元に戻ってくる。返せなければ、預けた物は質店のものに
決められた期限までに借入金と利息を払えば、預けた物は手元に戻ってくる。返せなければ、預けた物は質店のものに

質店では、決められた期限までに借りたお金と利息を払えば、預けた物は手元に戻ってくる。もし、お金を返さなければ、預けた物がそのまま質店のものになる。いわゆる「質流れ」だ。

お金が必要だけど、持ち物は手放したくない。そんな時も質店は選択肢の1つになるが、このお店によると、預けられたもののうち3割近くが質流れになっているという。

食材高騰・電気代に苦慮する飲食店店長

続いて、大きな白い袋を手にやってきたのは30代の男性。

大きな白い袋を手にやってきた30代男性
大きな白い袋を手にやってきた30代男性

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
今日は質入れで?ありがとうございます。

袋から取り出したのは…。

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
これモンクレールですよね?それと、これはデニムで?

30代男性客:
はい。

高級ブランド「モンクレール」と日本のファッションブランドのコラボ
高級ブランド「モンクレール」と日本のファッションブランドのコラボ

高級ブランド「モンクレール」と日本のファッションブランド「HYKE」がコラボしたダウンジャケットに。

人気ブランドのデニム、上下セットアップだ。

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
めちゃくちゃいい味出てますね。自然とこれ、サビてきて。

30代男性客:
そうですね。何年着たかな。4、5年ですかね。

「めちゃくちゃいい味出てますね」とデニムのセットアップを広げる
「めちゃくちゃいい味出てますね」とデニムのセットアップを広げる

大好きな洋服を質に入れ、借りられた金額は?

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
お待たせしました。トータル質預かりで12万円です。

ダウンジャケットが6万円、デニムのジャケットが4万円、パンツが2万円
ダウンジャケットが6万円、デニムのジャケットが4万円、パンツが2万円

ダウンジャケットが6万円、デニムのジャケットが4万円、パンツが2万円。借りられたお金は、合計で12万円だった。一体なぜ、質店を利用したのか。

質店を利用した理由は…「その資金の足しに何かできるものないかなというので、家で探して持ってきた」
質店を利用した理由は…「その資金の足しに何かできるものないかなというので、家で探して持ってきた」

30代男性客:
今、飲食店を経営しているので、その資金の足しに何かできるものないかなというので、家で探して持ってきた感じですね。

聞くと、コロナ禍で従業員を雇えなくなり、現在は店長として1人でお店を経営。しかし、食材の高騰で経営は苦しいという。

「今一番大きいのは、バターとか乳製品。和牛は(値段が)1.5倍くらいになっている」
「今一番大きいのは、バターとか乳製品。和牛は(値段が)1.5倍くらいになっている」

30代男性客:
今一番大きいのは、バターとか乳製品。最近になって僕の店、和牛とかも扱うんですけど。今(値段が)1.5倍くらいにはなっているんじゃないかと。電気料金とかも11月くらいからすごく上がっているので、簡単に値段に反映させちゃうと消費者の方に影響出ちゃうので。

「簡単に値段に反映させちゃうと消費者の方に影響出ちゃう」
「簡単に値段に反映させちゃうと消費者の方に影響出ちゃう」

相次ぐ値上げを理由にした質店の利用は増えているようで…。

相次ぐ値上げを理由にした質店の利用が増加
相次ぐ値上げを理由にした質店の利用が増加

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
電気代の高騰とかで、ちょっと支払いの方が足りないというところで、補填として質預かりを初めて利用するという方は多く見かけますね。

叔父の形見 懐中時計と18金ネックレス

一方、新生活に向けた準備のため質店を利用する人もいる。

不安そうな50代の男性客が持ってきたのは
不安そうな50代の男性客が持ってきたのは

50代男性客:
これ値段つくのか、ちょっと緊張しているんですけど…。

不安そうに50代の男性が置いたのは、懐中時計。

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
年代物ですね。

50代男性客:
それ叔父の形見なんですよ。

質店・鶴川代表「形見だったら売れないですもんね。質預かりだったら元に戻りますので」
質店・鶴川代表「形見だったら売れないですもんね。質預かりだったら元に戻りますので」

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
形見だったら売れないですもんね。

50代男性客:
そうですね。

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
質預かりだったら元に戻りますので。

その他に、同じく叔父の形見だという18金のネックレス。そして、個人用に使っているというiPhoneも預けた。男性が質店に来た理由は。

「今の職場がコロナもあって不安定で。固定の給料ではなく、お客さんが来る来ないで左右されるので」
「今の職場がコロナもあって不安定で。固定の給料ではなく、お客さんが来る来ないで左右されるので」

50代男性客:
目的は、この何カ月の間に開業を考えていまして、独立ですね。今の職場がコロナもあって不安定な感じでずっときていて。固定の給料ではないので、お客さんが来る来ないで左右されますので。

開業資金の足しにしたいと来店
開業資金の足しにしたいと来店

男性の仕事は、整体や鍼灸。開業するための資金の足しにしたいのだという。男性が見守る中、査定が行われる。果たしてその結果は?

男性が見守る中、査定を行う
男性が見守る中、査定を行う

質店「鶴吉」 鶴川暁広代表:
はい、お待たせいたしました。合計で25万円になります。お預かりという形ですね。

50代男性客:
それでお願いします。

懐中時計は1万円、18金のネックレスは18万円iPhoneは比較的新しいモデルで6万円
懐中時計は1万円、18金のネックレスは18万円iPhoneは比較的新しいモデルで6万円

懐中時計は1万円。今、価格が上昇している18金のネックレスは18万円。iPhoneは比較的新しいモデルだったため6万円。3点で合わせて25万円になった。この結果に男性は。

50代男性客:
値段的には全然あれは、安くなっていましたけど…。

「あれは安くなっていましたけど…」と形見の時計については、少し金額が気になった様子
「あれは安くなっていましたけど…」と形見の時計については、少し金額が気になった様子

形見の時計については、少し金額が気になったようだが。

「きっと叔父も、共感して喜んでくれるんじゃないのかなと」
「きっと叔父も、共感して喜んでくれるんじゃないのかなと」

50代男性客:
それでもきっと叔父だったら、仕事の転機だとかそういう時に相談した相手でもあるし、すごく大事にしてくれたので。叔父も共感して喜んでくれるんじゃないのかなと。

取材班:
お金が入ったらまた取りに来る?

「それくらいの気持ちで気張ってやらないと、乗り切れないと思うので。この時期大事にしています」
「それくらいの気持ちで気張ってやらないと、乗り切れないと思うので。この時期大事にしています」

50代男性客:
もちろんです。それくらいの気持ちで気張ってやらないと、乗り切れないと思うので。この時期大事にしています。

預けた物は必ず取りに来る。その思いが大きな力となりそうだ。

(「イット!」4月10日放送)