自転車用ヘルメットが売れている。改正道路交通法の施行により、2023年4月から自転車に乗るすべての人の着用が努力義務となったからだ。売上が10倍になり、人気商品が4カ月待ちという店もある。ただ街で着用率を調べてみると、意外な結果だった。

売上10倍 8月まで入荷待ちの人気商品も

オオムラ自転車折戸店のヘルメット売り場
オオムラ自転車折戸店のヘルメット売り場
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静岡市清水区の自転車販売店「オオムラ自転車折戸店」は、今回の法律改正で大きな影響を受けている。自転車のヘルメット着用が努力義務になったばかりの2023年4月に取材した。

オオムラ自転車折戸店・大村優子店長
他のお店もそうだと思いますが、売上が10倍以上(になった)。(店に)見に来られる方がすごく多くなっています。うちの店はきのう入荷したので在庫があるけど、種類によっては8月まで4カ月待たないといけないものもあります

購入するのは年齢層の高い人が多く、高校生は少ないそうだ

ヘルメットを選ぶ際のポイントを、自転車店に聞いた。
かぶった時に目線をさえぎることなく、ずれないことが大事だそうだ。かぶったら、あごのベルトで調整する。

選び方のポイントを説明する小松建太アナウンサー
選び方のポイントを説明する小松建太アナウンサー

サイズが調整できるモデルもあるが、大村店長は「身に着けるものなので、実際にフィットするか店頭で確認してほしい」と呼び掛けている。

街で調べると“着用率1割”

店の売れ行きが好調ということは、街中でも自転車利用者のヘルメット着用が増えたのだろうか。静岡市で調査した。

4月3日はヘルメット着用率1割(静岡市)
4月3日はヘルメット着用率1割(静岡市)

4月3日 法律が施行されて最初の平日。静岡市の中心市街地の交差点では、朝の通勤・通学の時間帯とあって多くの自転車が行きかっていた。
883人を調べたがヘルメットをかぶっていた人は94人で、割合は1割ほどにとどまった。

4月10日もヘルメット着用率1割(静岡市)
4月10日もヘルメット着用率1割(静岡市)

同じ場所で1週間後の4月10日にも調査した。学校で授業が始まったこともあり、高校生をはじめ自転車の交通量はかなり増えた。
でも調べた1644人のうちヘルメット着用は171人で、着用率は約1割と1週間前を変わらなかった。

静岡市
静岡市

自転車利用者
努力義務化に合わせて購入しました。(Q.以前は着けていなかった?)そうですね。頭を打つと危ないのでこれを機に買おうと思って

店で10倍も売れているのに、街の着用率が1割。不思議な気もするが、これまでの販売数が少ないからだろうか。
自転車利用者の中で大きな比率を占める高校生の着用が、今後の着用率アップのカギを握るのではないかと感じた。

ヘルメット未着用の理由

ヘルメットをかぶっていない人に理由を聞いた。

ヘルメット未着用の理由
ヘルメット未着用の理由

10代男性
ヘルメットは持っているが、着けたり脱いだりするのが面倒くさい

70代女性
交通量の少ない道しか走らないし、努力義務なら着けない

確かに学校などヘルメットの置き場所があるところはいいが、街中に遊びに行った時は、どこに置こうか戸惑うケースもあるだろう。

自転車事故死者の7割は頭に致命傷

心にとどめておきたいデータがある。

静岡県警が過去10年の自転車事故死者を分析
静岡県警が過去10年の自転車事故死者を分析

静岡県警交通企画課によると、過去10年間に自転車事故で死亡した人の致命傷の部位は、頭部が約7割だ。胸や首など他の部位を大きく引き離している。頭部のケガは重大な事故に直結する。
ヘルメットで頭部を守ることは、命を守ることにつながる。

様々な図柄のヘルメット
様々な図柄のヘルメット

ヘルメットにはおしゃれなものも増えている。ヘルメットに合わせ、服装を選んで自転車に乗るという楽しみ方もあるだろう。
努力義務なのでヘルメットをかぶらなくても罰則はないが、着用すれば安全性は確実に高まる。命を守るためにも、自転車に乗る際のヘルメットを検討してみてはどうだろか。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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