半世紀以上の歴史がある高校の校歌が生まれ変わった。手掛けたのはシンガー・ソングライターだ。時代とともに変わる通信制高校の役割に合った新しい校歌とは。

卒業式で新しい校歌をお披露目

シンガー・ソングライター 半崎 美子さん:
有朋高校を卒業する皆さん、新たな一歩を踏み出す皆さんへ、この校歌を贈ります 。「朋よ」

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3月19日、札幌市北区の北海道有朋高校の卒業式で新しい校歌がお披露目された。
タイトルは「朋よ」。手掛けたのは札幌市出身のシンガー・ソングライター、半崎美子さんだ。

ショッピングモールでライブ活動をすることから「ショッピングモールの歌姫」として親しまれる半崎さんに、高校が新しい校歌の制作を依頼したワケとは?

「勤労学生」の姿が歌われていた以前の校歌

1971(昭和46)年に作られた校歌
1971(昭和46)年に作られた校歌

北海道有朋高校 元紺谷 尊広 校長:
これが1971(昭和46)年に作られた校歌です

有朋高校は1967年に開校した、通信制と単位制課程がある北海道立の高校だ。

開校から4年後の1971年に作られた校歌では、ふるさとを離れ働きながら高校で学ぶ「勤労学生」の姿が歌われている。

しかし、半世紀以上がたち、有朋高校の役割が変化してきた。

北海道有朋高校 元紺谷 尊広 校長:
旧校歌の内容は、今の生徒の年齢層や置かれている境遇とはかなり違う。そこに違和感があると思っていました

2022年度、有朋高校で学ぶ生徒は単位制が226人で通信制が3,097人。ほとんどが何らかの事情で全日制の高校に通えない子どもだ。

北海道有朋高校 元紺谷 尊広 校長:
有朋高校の存在意義は、学びのセーフティネット

時代の変化とともに、役割も変わった有朋高校。今の時代に合った校歌にしたいと考え、2022年12月に新しい校歌の制作をシンガー・ソングライターの半崎美子さんに依頼した。

さまざまな過去を背負ってきた生徒の思い込め

半崎さんは生徒たちから、有朋高校に対する思いを聞いた。新しい校歌に、その思いを反映させたいと考えたからだ。

有朋高校の生徒:
有朋高校は“ヤンキー”がいっぱいいると思っていたが、入学すると全然そんなことはなく、優しい先生がいっぱいいました

有朋高校の生徒:
体調を崩して通院することになって、学校に通えない自分に腹が立つのが嫌だなと思いました。登校日数が少なく、学費も高くない高校を兄が紹介してくれました

有朋高校の生徒:
すごく反対された。苦労して受験もしたのにと。ちょっとごめんなさい、涙が出てきた。責められながらこの学校に来て、すごく良かったと思います

病気との闘いや、全日制の高校になじめなかった境遇…さまざまな過去を背負ってきた生徒の話に聞き入る半崎さん。

シンガー・ソングライター 半崎 美子さん:
私なりに受け止めて校歌にしようと思います。楽しみにしていてください

生徒たちの思いを校歌にしたいと曲作りを始めた半崎さんだが、いつもの制作活動とは勝手が違ったという。

シンガー・ソングライター 半崎 美子さん:
かなり苦しい。何度も何度も自分で書き直して、作っては書き直して。こんなに数を重ねたことも久しくなかったです

新しい校歌のお披露目は、通信制課程の卒業式に決まった。生徒たちの期待は高まる。

有朋高校の生徒:
勢いのある校歌が多い。そういうのがあったらいいです

有朋高校の生徒:
校歌を作るという試み自体珍しい。有朋高校だからできたのかな

有朋高校の生徒:
卒業して社会人になったとき、落ち込んだときに元気をくれる校歌がいいです

この高校を選んだ生徒を応援する歌詞に

生徒たちの思いを聞いてから3カ月。有朋高校の新しい校歌が完成した。

「踏み出した一歩は果てなく美しい」。
「越えよう明日を」。

さまざまな境遇で有朋高校を選んだ生徒を応援する歌詞が並ぶ。

有朋高校の生徒:
すごく感動しました。卒業したあとも聴きたいです

有朋高校の生徒:
有朋高校に合ったものを取り上げているのが読み取れて、この曲は有朋高校のものだと感じました

「ショッピングモールの歌姫」と生徒が作り上げた曲。時代とともに役割が変わった有朋高校の、新しい校歌として歌い継がれる。

(北海道文化放送)

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