春と言えば入学式や新学期の季節。外に出かける機会も増えるが、気を付けてほしいのが交通事故だ。京都市のある地域ではユニークな方法で子供の事故を防ぐ取り組みが続けられている。

一体なぜ?住宅街に大量に発生した「カエル」

京都市南区の落ち着いた住宅街。ここである“生き物”が大量発生しているという。

女性:
この辺、歩いてたら目にするというか

この記事の画像(13枚)

母と子:
うちのマンションの下にも“ある”よな

男性:
そうですね。かわいく書いてるなって感じで、当たり前な感じですね

住民の間でもよく知られたその正体は…「黄色いカエル」。

子供が事故に遭わないよう願い込められ…

実はこのカエル、地域住民が警察署と相談したうえで、通学路などにある交通事故の危険がある箇所に描いている。

久世交通対策協議会の小西武男さん(84)は、20代の頃に弟を交通事故で亡くした経験から、この活動を始めた。

久世交通対策協議会 小西武男さん:
カエルが(田んぼから)跳び上がってきて、ひかれてけがをしたり、あるいは死んでしまったり。そのような光景がこの地区には普通にあったわけで。ここらの人々は「カエルのように、子供が事故に遭わんように」という願いを込めて、“カエルマーク”が今の状態で書かれているという歴史があるんです

この地域の子供たちには、「黄色いカエル」は「立ち止まれ」というルールが定着している。

小学3年生:
学校に通うときにいつも見てます。“カエル”を見たら止まろうと思います

小学2年生:
カエルの目印かな、止まる目印ってことかなって思った

1年間子供たちの安全を守るため「カエルカキ」

この日、新学期を前に、地域の人たちで新しくカエルを描いたり、剥げている箇所を塗り直したりする「カエルカキ」のイベントが行われた。参加者は、およそ200人。

新しく“カエル”を描く人たち:
こんなん?
目、この間に描いて。
クマみたい。
目が耳に入れば大丈夫ですよ。

「カエルカキ」参加者:
これけっこう重要、魂を入れる。
1年間これで子供たちが安全に。

カエル効果もあってか、この地域では、子供の死亡事故は、20年ほど起こっていないということだ。

久世交通対策協議会 小西武男さん:
やっぱり、君(カエル)がしっかりと見張ってくれてるために、子供の事故もないし。安心して通学させれるな~。しっかり守ったってな~っていう気持ちがこもっております。きれいに仕上がったと思います

子供たちのそばでは、温かい気持ちのこもった“カエル”がいつでも見守ってくれている。

子供がカエルの前でピタッと止まっていて、みんなで守っているという感じで、素晴らしい取り組みだった。

交通事故のリスク高まる「魔の7歳児」に注意

ここで怖い言葉ですが、「魔の7歳児」という言葉があるそうだ。交通事故のリスクが最も高い年齢が7歳であるといわれている。

交通事故総合分析センターの2021年の調査によると、歩行中による交通事故死者数、一番多かったのが、7歳の子供だったということだ。

小学1~2年生で、この時期から行動範囲が広がる傾向にある。特に、学校生活に慣れてきた5月以降に事故が急増するそうだ。

関西テレビ・神崎報道デスクは、「小学校入学で、親の目が離れる機会が多くなります。幼稚園や保育園は送迎してくれる。小学校は送迎がなくなり、特に下校時は一人になることも多く、危険が高まります。また子供の視野は大人が思うより狭く、上下も左右も大人の6割くらいしか見えていないというデータがあります。ですので横から迫る危険を察知するのが遅れるんです。こういったことで危険性が高まります」と話す。

住んでいる地域の中で、どこが危ないか事前に子供と共有できると便利だ。そのためのサイトがあります。イーデザイン損保が作成している、「もしかもマップ」というもの。大人と子供の目線で、通学路の危険個所が“見える化”されている。

操作すると、「!(ビックリマーク)」がたくさん出てくる。これは実際に過去に事故があった場所を示している。また「こどもマーク」が出てきて、大人の目で見て子供にとって危険だと思われた場所が示される。クリックすると写真も表示され、親子で危ないところを確認できるということだ。

車を運転される方や近所の子供たちを見る機会がある皆さん、4月、まだ学校や通学路に慣れていない子供たちが歩いているかもしれないとちょっと思いを巡らせて、慎重に見守っていただければと思う。

(関西テレビ「報道ランナー」2023年3月30日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。