侍JAPANがWBCで14年ぶりの優勝を果たし、日本中が感動した。その感動は私たちの財布にも影響を与えていて、大きな経済効果をもたらすのではとの指摘がある。

売り切れ続出の記念グッズ

まず、グッズを巡る現象だ。

東京ドームでは、1次ラウンドの試合前にグッズを求め朝3時前から並ぶ人も出て、約4000人の行列ができた。

そして、WBCの公式通販サイトでは3月22日から優勝記念セールが始まり、Tシャツなどの記念グッズが数量限定で受注販売されたが、売り切れが続出。さらに、アクセスが集中して、サイトに繋がらなくなるといった事態も発生した。

また、スポーツ用品メーカーのミズノは22日、優勝記念品14種類の予約販売を開始したが、WBC関連グッズの売り上げは、2017年の前回大会の3倍以上だという。

経済学が専門の関西大学の宮本名誉教授は、“大谷効果”で新たなファンが増えたこともあり、経済効果は約650億円に上るとしている。

この数字は、前回大会の343億円、さらにはイチロー選手の決勝打で優勝した2009年大会の506億円を大きく上回るという。

上昇が目立った“野球関連銘柄”

一方、株価について見てみる。

アメリカの銀行が破綻したことなどもあり、このところ下落基調が目立つ場面が多かったが、決勝戦当日22日の東京市場では、野球に関連した銘柄の株価は上昇が目立ち、ミズノ株が祝日前の20日に比べ4.7%値上がりするなどした。

さらに、「村上開明堂」や「大谷工業」といった銘柄の株価も上昇。野球とは関係がないものの、会社名に大谷選手、村上選手の名前が入っていたことが株価を押し上げたのではとの声もあがった。

野球とは関係がないが、会社名に選手の名前が入った銘柄の株価も上昇
野球とは関係がないが、会社名に選手の名前が入った銘柄の株価も上昇
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スポーツと株価の関係に詳しい、三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、「これだけ野球熱が高まったので、今後はそれぞれの選手が所属する球団などの株価も上がる可能性がある」と話している。

そして、野球自体の人気も高まっているようだ。

都内10カ所のバッティングセンターでは、大会期間中、WBC効果で利用者が2割~5割ほど増加し、売上げが2倍以上になった店舗もあった。

インスタ写真が化粧品需要を押し上げ

こうした中で今、大谷選手が自身のインスタグラムにアップした写真が注目されている。

ネット上で大変話題になっているこの写真、棚の上の方をよく見ると、化粧水とクリームが映っている。大手化粧品メーカーの商品ブランドだ。

この写真の投稿に対して、「美意識高い」「お肌がキレイだと思ったら」など多くのコメントが寄せられ、大反響となった。実は、大谷選手はこの化粧品メーカーと広告契約していて、WBC期間中には新たなCMも公開された。

決勝戦翌日の23日、この化粧品ブランドを扱っている都内百貨店の売り場をのぞいてみると、商品を体験できるイベントが行われていた。

実際に手に取っていた20代の女性は、「大谷選手愛用となっていたこともあり、“これか!”って思った。使ってみてよかったら、今使っているメーカーから乗り換えようと考えている」と話していたほか、別の20代女性からは「大谷さんを目指して、美白を頑張りたいです」との声も聞かれた。

この店舗の担当者は、「男性客も“僕も使ってみよう”という思いで購入するケースが多い。売り上げは前の年の同じ日と比べて、約5倍になっている」と大谷選手の影響を実感したようだ。

様々なところで現れているWBCの経済効果。どこまで膨らみ、どこまで消費を押し上げることになるのか注目される。

(フジテレビ経済部 岩田真由子)

岩田真由子
岩田真由子

フジテレビ経済部 兜・日銀チーム
民間企業、化粧品や通信業界を担当