マスクの着用をめぐる判断が個人に任されたほか、5月には感染症法上の取り扱いが5類に引き下げられるなど、新型コロナウイルスは一つの節目を迎えている。一方、同じ名称を持つ新潟県三条市のメーカーは、その名称をめぐり、一つの行動を起こした。

「新型コロナ」の名称変更求めた企業

松村道子キャスター:
三条市の住宅設備機器メーカー「コロナ」です。1月からはエアコンの製造が始まっていて、社員の皆さんが集中して作業を行っています

住宅設備機器メーカー「コロナ」
住宅設備機器メーカー「コロナ」
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株式会社「コロナ」。1935年に、創業者・内田鐵衛が、石油コンロの開発中に見えた炎と太陽のコロナを結びつけて付けた社名だ。

3月10日、コロナの大桃満社長は、5類への引き下げのタイミングで新型コロナの新たな名称を検討していた厚生労働省に、世界的に使われている「COVIDー19」に変更するよう求めた。

コロナ 大桃満 社長:
未来の社員および、そのご家族に社名と同じ名前が残るようでは…。社員の不安を払拭しなくてはいけない

2020年、新型コロナの感染が初めて確認された当初は、社名をめぐり社員の子どもが学校でからかわれる、「コロナ」と表記された社有車の写真を撮られるなど、想定外の事態が起きた。

その状況を払拭したのが…

紙面広告:
わたしたちは、コロナというなまえに、じぶんたちのしごとに、ほこりをもっています。キミのじまんのかぞくは、コロナのじまんのしゃいんです。

新潟日報(2020年6月13日)
新潟日報(2020年6月13日)

2020年6月、新聞に掲載された一面広告。これを見た社員の子どもたちからは…

コロナ 大桃満 社長:
「よかった」「これで安心して学校に行ける」という反応が多かった

この3年間、偏見や差別のきっかけとなり、人々に心理的な傷を与えることもあった新型コロナウイルス。

新聞広告は、道徳の授業でも取り上げられ、東京や青森の児童から励ましの手紙も届いた。

様々な困難も「明るいコロナ目指す」

一方、コロナにとってのウイルス禍は大きな問題が山積する日々だったという。

コロナ 大桃満 社長:
原材料が相当高騰した。また、中国・上海のロックダウンがあり、電子部品が入らなくなった。そちらの苦労のほうが非常に大きかった3年

現在、部品の調達は回復傾向にあるが、原材料の高騰は終わりが見えていない。それでも今、会社を支えるモチベーションとなっているのは、社名であると大桃社長は考えている。

コロナ 大桃満 社長:
色んな苦労・苦難を乗り越えながら、あすは明るいコロナの太陽を目指しているところ

3月13日、新型コロナの専門部会は、感染症の名称を引き続き「新型コロナウイルス」とする方針を決めた。

名称の変更は叶わなかったが、三条市のコロナは「COVID―19」の使用を希望しつつ、「コロナ」という社名に誇りを持って製品を作っていくとしている。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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