自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。
「忙しい時に限って『お手伝いしてあげる~!』と申し出てくる…気持ちは嬉しいけれど、本音はちょっとだけ困る!?」
何かとバタバタする朝に限って「私がごはん作ってあげるね!」、もう夕方だから急いで家事を片付けたい!という時に「お洗濯ものたたみなら任せて!」。
お手伝いしようとしてくれる気持ちは嬉しいのだけれど、ごはん作りすべては任せられないし、包丁や火の扱いはパパママの目が必須!お洗濯ものたたみならできるかも?と思っても、ちょっと目を離すとぐちゃぐちゃに……本音を言ってしまうと「さらに手間がかかっちゃう」なんてことも。
忙しい時に限って子どもたちの「お手伝いスイッチ」が入る気がするのだけれど、これってどうして?そしてそんな時はやっぱり、子どもたちに手伝ってもらった方がいいの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
お手伝いは「労働ではなく、パパママに褒められる“良いもの”」
――子どもたちが「お手伝い」に興味を持つ・するようになるのは何歳くらいから?
個人差もありますが、早い子は1歳代で、多くの子が2歳あたりからでしょうか。1歳過ぎて歩くようになると世界が広がるので、自ずと家庭の中で起こっていることに対し、それまで以上に興味を持つようになります。そして、2歳の自我急成長期は、「ボク・ワタシがやりたいの!」という気持ちが高まるので、色々とやってみたくなる子は多いですね。
たとえば、洗濯物をたたんでいるときに、自分もまねてやってみたり、なにかのふたを開けようとすると「○○ちゃんがやる」と手を伸ばしてきたり……実際にはまだまだうまくはできないことが多いのですが、やる気としては年上の子以上だと思います。印象的には女の子の方がお世話好きですね。
――子どもが「忙しい時に限ってお手伝いしたがる」のはどうして?
「忙しい時に限ってお手伝いを申し出てくる」のであれば、もしかしたら子どもの方が一枚上手なのかもしれません。
子どものお手伝いというのは、親にとって「我が子が成長しているなぁ」と感じる喜ばしい瞬間なので、お皿を運んでくれたりしたら「助かるよ~」「ありがとう」と自然に言葉が出るものです。そんな日々の経験から、子どもにとって“お手伝い”は良いイメージがあることが多いと考えられます。
決して“労働”というニュアンスはなく、むしろ「お手伝いをする→ママ・パパにほめられる」という良い印象です。必ずやいい展開になる確信、それが子どもにとってのお手伝いなのだと思います。
しかし、親が忙しい時間帯になると、当然ながらかまってあげられなくなります。そういう時、子どもは何とかして親を振り向かせようとするものですが、お手伝いはそのときの最強の切り札なのではないでしょうか。「ママ見て」と言うと後回しにされるけれど、お手伝いならうまく入り込めるというのを経験上知っているのかもしれませんね。
――では、忙しい時も子どものお手伝いは受け入れた方がいいの?
可能な限り、その思いは受け入れてあげてほしいと思います。親がやろうとしていることを一緒にやると、どうしても時間がかかってしまうというときは、何らかの“別のお仕事”を作ってあげられるとベストだと思います。
案外、子どもがやってくれたら本当に助かってしまうお手伝いはあるもので、たとえば、もやしのひげ取りなどは代表例です。このような作業は正直言ってしまうと、大人にとっては「ひと手間」なんですよね。だから、もやしはひげを取らずにそのまま使ってしまう……そんなとき、小さな手でひげを取ってもらえたら、本当に助かってしまいます。いつもより見栄えのするひげなしもやしが食卓に並んだら、親子ともにハッピーです。
その他にも、そら豆やグリーンピースをさやから出す、さやえんどうのスジを取るなど、野菜の下ごしらえはおすすめのお手伝い項目です。これらはもやしのひげ取りよりは難しいので、年齢に応じてチャレンジさせてあげてください。
お手伝いの習慣はいったん抜けてしまうと、すっかりやらなくなっていくことが多いので、小さい頃の「やりたい気持ち」を大切にし習慣につなげていってほしいと思います。
子どもたちが忙しい時に「お手伝いしてあげる!」とやってくるのは、「お手伝い=パパママに褒めてもらえる・必ず注目してもらえる」というプラスのイメージを持っているからかも。
パパママが忙しそうにしているから、協力してあげたい!という気持ちからではないようだが、そもそも子どもたちがお手伝いを申し出るようになるのは「自分でもいろいろやってみたい!」と思うようになったという成長の証。
本当に忙しい時間帯は「今は大丈夫だよ、ありがとう!」と断るのも必要かもしれないが、少し余裕がある時は「これはまだ任せられないけれど、これならやってもらえるかも」という“子ども用の仕事”を与えてあげることで、子どもの「パパママに注目してほしい!」という気持ちも満たされて、お手伝いをする習慣も身につく、一石二鳥の効果が得られるかもしれない。
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※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)