自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「忙しい朝の時間帯に限って『ダンスするから見て!』『一緒にお絵かきしよう!』と誘ってくる我が子。ついつい「今はやめて!」と悲鳴を上げたくなることも…」


朝ご飯にお着替え、出勤の準備とバタバタ忙しい朝の時間帯。そんな時に限って、何かと「これ見て!」「あれやって!」と声をかけてくる子どもたち……思わず「忙しいんだから、後にしてよ~!」と口調が強くなってしまいがちなパパママもいるのでは。
時間があるときならいくらでも聞いてあげられるのに!と歯がゆく思いつつ、実は子どもたちは忙しい時を狙って“構って攻撃”を仕掛けているのでは…と疑う気持ちもあるはず。育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。


――忙しい時に限って話しかける……これって“狙って”しているの?

パパやママからすると、「忙しいに限ってどうして?」と感じること、本当によくありますね。忙しい時におねだりをする理由としては、子どもたちが親の注意を引こうとしている要素は大いにあります。ただ、忙しい時間をわざわざ狙っているわけではありません。これが起こりやすいのは、それだけその他の時間にパパやママがその子に注意を向けてあげているからです。

この状況は、立場を逆転させて、子ども目線で見ると分かりやすくなります。
たとえば、それまで自分のことを気にかけていてくれていたママが、ごはんの支度の時間になると、急に料理に没頭し始める。こういう変化は、それまで「ボクを見てくれている」という実感があったからこそ気づくのであって、日常的におろそかにされているのであれば、このような「忙しい時に限って」という現象は逆に起こりにくくなるわけです。
忙しい時間以外はちゃんとお子さんに目を向けているからこそ、子どもがその差に気づきやすく、それが結果的に「どうしてこのタイミングで?」ということになりやすいのですね。

「いや、それほどかまってあげてないんだけど…」という方も、きっと日ごろから目線はきちんと届けられているのだと思います。親が子どもにしっかり関わってあげるというと、一緒に遊んだり、身の回りのお世話をしたりという密な絡みをイメージするかもしれません。
しかし、子ども側からすると、一緒に遊んでくれていなくても、なんとなく自分の方を気にかけてくれる、それとなく見てくれている、こういうことがとても重要で、そこから子どもは大きな安心感を得ています。「忙しい時に限って」が起こりがちというのは、ふだん自分がちゃんと子どもを見届けてあげられている証でもあるわけです。


実は、忙しい時に限ってアピールしてくるように見える子どもたちは、パパママが普段子どもたちに注意を向けていることの証拠かも。
いつもは自分から声をかけなくてもパパママが見ていてくれたり、一緒に遊んでくれたり、というのが当たり前になっている子どもたちにとって、朝の忙しい時間帯は「あれっ、なぜか今は自分を見ていてくれない…」と気付くタイミング。
そのため、子どもたちは「パパママにいつも通り見てほしい!」と声をかけ、パパママは「忙しい時に限って声をかけてくる…」というすれ違いが起こってしまっているのだ。

どうしても見てあげられない時の対処法

パパママにいじわるをして気を引きたい、困らせて構ってほしい…というマイナスな気持ちからではないというのは一安心だが、やっぱり朝は忙しい!子どもたちの「見て見て」攻撃をかわさなくてはいけない…そんな時にはどうすればいいの?


――今はどうしても見てあげられない!そんな時はどうすればいい?

子どもの「これ見て!」「これやって!」は、どこまで受け入れるべきか、悩む方も多いと思います。基本的には「できる範囲で」でOKです。時間的に余裕があるとき、順番を変えれば対応できるとき、あとは親の方の精神的な余裕があるとき、このような場面では受け入れてあげるといいと言えます。

ただこのように書くと「受け入れてあげないと!」とプレッシャーに感じてしまう方がいるので誤解のないように追記しますが、上でもお伝えしたように、親は子どもの気持ちを多くの場面で満たしてあげているものです。ふだんしっかり見守りができているのだからこそ「100%満たすことはできない」という現実を教えていってあげてほしいと思います。

心理学用語に「満足遅延耐性」という言葉があります。これは「将来の価値ある結果を手に入れるために、今、目の前にある欲求をがまんする能力」のことを言います。たとえば、「1週間お菓子をがまんし、1キロダイエットに成功した」などがそうですね。

満足遅延耐性は、成長とともに身についていくもので、一般的には子どもよりも大人の方が高いです。一般的にと言ったのは、大人でも個人差があるからです。がまんできない大人、見渡せば思い当たる人が浮かぶのではないでしょうか。つまり、大人になれば自動的にがまんできるようになるわけではなく、小さい頃から少しずつがまんを経験することで身についていくものでもあるのです。

「忙しい時に限って!」という場面は、そういう点から見ると、いい学習の場でもあるわけです。だからと言って、「今はムリ」とピシッと断ると、逆に事がややこしくなることも多いかと思いますので、歩み寄る形での対応がおすすめです。たとえば、

・選択肢を伝える「今だと半分しかできないよ。園が終わってからなら全部できるよ。どっちがいい?」
・見てほしいリストを作る「今はできないから、じゃあ“見てほしいリスト”に書いておこうね(と言って、子どもの前で書く)。お家に戻ったらやろうね」
・言われる前に募集する「〇〇が終わったらママはごはんの支度をはじめるから、それからはできないよ。今、見せたいものある?」
・協力をあおぎ、その気にさせる「○○ちゃんが手伝ってくれたら、見る時間ができるかも」


ママが一方的に決めるよりも、子ども自身が能動的にがまんできる形に持って行くと、折り合いがつきやすくなります。
 

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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
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(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)