島根・松江市で、コロナ禍の観光誘客を見据えた新たな取り組みが始まった。それは、城下町で受け継がれる伝統的な「ものづくり」の技を観光の資源として生かす「職人商店街」。“見せる”職人技で、商店街のにぎわい創出を目指している。

ワークショップで行われていたのは…

3月11日に松江市の中心商店街・天神町で開かれたイベントでは、そば打ちや和菓子作りを体験する親子の姿があった。これは商店街の空き店舗を活用して、城下町・松江で受け継がれてきた様々な職人の技を体験するワークショップだ。

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そば打ち体験をした子どもは「そばを練ったり、粉をパラパラにしたりするのが楽しかった」と、うれしそうな表情。

また、和菓子づくりを体験した親子も「あんこが出てこないように、自分で練ったところが楽しかった」と話し、将来は和菓子店の店員になれたらと目を輝かせた。

“職人の技”を体験型の観光資源に

このイベントは、まちづくり事業などを手掛ける松江市の会社「まつくる」が、市が進める「職人商店街」の取り組みを後押ししようと企画した。

「職人商店街」は、和菓子やそば打ち、漆器製作など、城下町に息づく職人の技を松江ならではの体験型の観光資源として生かし、中心市街地のにぎわい復活につなげようと、松江市が2021年度から取り組んでいる。

松江市・上定市長:
(体験をすると)おなかも減ってくるし、夕暮れを迎えて「何か食べなきゃ」と考えるし、「宿泊しなきゃいけない」なり、街にお金が落ちる仕組みにつながる

インバウンドの受け入れ再開も念頭に、「体験型観光」を松江の観光の柱にする考えだ。

「見せる」店づくりに補助金も

「職人商店街」は目に見える形でも進み始めた。

和菓子職人の鮮やかな手さばきを店の外からガラス越しで見ることができる実演ブースがお目見えしたのは、和菓子の老舗・彩雲堂。2023年3月、本店のリニューアルにあわせ、新設した。

彩雲堂・山口周平社長:
換気扇を近くにつけていることもあり、工房の匂いも楽しんでもらえる。お客さんに五感で楽しんでもらうことで、臨場感、ライブ感のある店舗になったと思う

こうした職人の仕事ぶりを「見せる」店づくりに対し、松江市は改修費など最大500万円を補助、彩雲堂もこの補助金を活用した。松江市内の他の菓子店でも、補助金を活用し、こうした「見せる」演出を取り入れた店づくりが進んでいる。

松江市・上定市長:
それぞれの店が単体で勝負するのではなくて、商店街全体につないでいくことが街のにぎわいづくりには必要

上定市長は「職人の技」を売りにした取り組みが、点から線、面へと広がることを期待した。
「見せる」職人の技で、街のにぎわいを復活。松江市は、商工会議所とも連携し、城下町ならではの街の魅力づくりを急ぐことにしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

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