私たちの身近にある「コケ」、その研究機関が宮崎・日南市にある。世界で唯一のコケ専門の研究機関で、世界中から研究者が訪れるという。知られざる「コケ」の世界を紹介する。

52万超の標本を所蔵 一般公開も

又川岳人リポーター:
城下町・日南市飫肥(おび)にある服部植物研究所。ここで研究されているのが「コケ」なんです!

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服部植物研究所は世界で唯一のコケ専門の研究機関で、今から76年前に設立したのが、日南市飫肥出身の服部新佐(しんすけ)博士だ。

服部植物研究所広報 南寿早苗さん:
(服部家は)家業が山林業、オビスギの山林業をやっておりましたので、今の東京大学に進んで植物の研究を始めて、そのうちいつの間にかコケの専門家になって戻ってきたということになります

服部博士は、その生涯で400以上の研究論文を執筆。当時分類されていなかった新種のコケを発表するなど、日本のコケ研究を世界水準に押し上げた。

今では約52万3,000点の標本を所蔵し、服部植物研究所には世界中から研究者が訪れる。

本館は2011年から一般公開されていて、顕微鏡を使ってその不思議な世界をのぞくことができる。

葉っぱが瞬時に開き…

まずは、私たちの身近にあるコケを観察。よくある普通のコケだが、霧吹きで水を吹きかけてみると…。

又川岳人リポーター:
お~! これってなぜ葉が開いたんですか?

服部植物研究所広報 南寿早苗さん:
コケというのは基本的に、養分や水分を吸収する根っこがないんです。空気中の水分とか、雨から養分や水分を吸収します。今のように霧吹きをしていただくと、葉っぱで瞬時に水分を吸収します。なので開きますね

又川岳人リポーター:
へ~! その辺に生えてるコケなのに、おもしろいですね!

服部植物研究所広報 南寿早苗さん:
顕微鏡で見て、拡大すると、楽しさが倍増すると思います

琥珀の中に太古のコケ…植物の進化の解明に貢献

そして、琥珀の中に閉じ込められた太古のコケは、岩手・久慈市の約8500万年前の地層から見つかった「クジフタマタゴケ」だ。2020年に服部植物研究所が新種と断定した。

恐竜の生息していた白亜紀後期のもので、当時の植物の多様性や、コケ植物の進化の解明に貢献する発見となった。

服部植物研究所広報 南寿早苗さん:
(コケは)いざひとつ名前が分かれば、顕微鏡で見たりして、それまで知らなかったものが、だんだん見えてくるという楽しさを味わえる植物だと思います

一般公開を始めて12年。服部植物研究所は、地域の子どもたちや観光客も訪れる場所になった。

服部植物研究所広報 南寿早苗さん:
以前は内向きだった場所を今はオープンにしていますので、コケだけに限らず、何かここで交流をしてもらう場所になると一番いいなと思います。たぶん、服部博士もそれを望んでいるのではないかなと思います

私たちの身近にある小さな植物「コケ」。博士が魅了された不思議な世界を服部植物研究所で覗いてみては?

(テレビ宮崎)

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