天皇陛下は2月23日、63歳の誕生日を迎えられました。
誕生日の会見では、今年結婚30年を迎える皇后・雅子さまへの思いを述べられました。
天皇陛下 皇后・雅子さまへの思い
《天皇陛下おことば》
結婚してから、30年近くが経つのかと思うと、時の流れの速さを感じます。昨年12月の雅子の誕生日の感想にもありましたが、雅子が29歳半の時に結婚してから、その人生の半分以上を私と一緒に皇室で過ごしてくれていることに、心から感謝するとともに、深い感慨を覚えます。

両陛下が結婚されたのは、30年前の平成5(1993)年6月。
雅子さまは結婚を決断する過程で、陛下の誠実な言葉に心を打たれたと明かされています。
《ご婚約内定会見での皇后さまのおことば》
「皇室に入られるということには、いろいろな不安や心配がおありでしょうけれども、雅子さんのことは、僕が一生全力でお守りしますから」というふうにおっしゃってくださいました。

外交官から皇太子妃となられた雅子さま。
陛下に支えられながら、皇室の一員として歩み始め、多くの思い出を紡いでこられました。


平成13(2001)年12月、長女・愛子さまがご誕生。
お二人は、家族で過ごす時間を大切にし、成長を見守ってこられました。


令和を迎え、天皇・皇后となられたお二人。
陛下は、ともに同じ時間を過ごされて来た皇后さまについてこのように述べられました。
《天皇陛下おことば》
この30年近く、二人で一緒に多くのことを経験し、お互いに助け合って、喜びや悲しみなどを分かち合いながら、歩んでまいりました。

皇后さまの1年 そしてご体調について
去年10月には、地方訪問が3年ぶりに再開。
陛下は、皇后さまが一つ一つの公務に体調を整えながら臨まれたと話されました。

また、突然の外国訪問となったエリザベス女王の国葬。時差や長時間のフライトなど負担が大きい中、お二人揃って参列できたことに「安堵いたしました」と述べられました。

さらに皇后さまが、皇室伝統のご養蚕を引き継ぎ、熱心に取り組まれていることにも触れ、「本当によくやってくれていると思います」と労われました。

平成16(2004)年から療養が続く、皇后さまのご体調については…。
《天皇陛下おことば》
雅子は、いまだに快復の途上で、体調には波があり、大きな行事の後や行事が続いた場合には、疲れがしばらく残ることもあります。そのような際には、十分な休養を取ってほしいと思います。これからも、無理をせずにできることを一つ一つ着実に積み重ねていってほしいと思います。

そして、陛下は、皇后さまへの感謝の思いを言葉にされました。
《天皇陛下おことば》
雅子は、私の日々の活動を支えてくれる大切な存在であるとともに、公私にわたり良き相談相手になってくれていますし、愛子の日常にもよく気を配りながら見守っており、生活に安らぎと温かさを与えてくれていることもとても有り難く思っております。私も、今後ともできる限り力になり、支えていきたいと思っています。
国民の皆様には、これまで温かく心を寄せていただいていることに、改めて感謝の気持ちをお伝えするとともに、引き続き雅子の快復を温かく見守っていただければ有り難く思います。
陛下 愛子さまへの思い
また陛下は、4月から大学4年生となられる愛子さまについても話されました。
《天皇陛下おことば》
愛子は、大学生として学業を優先していますが、そのような中で、皇居での新年の行事であったり、都内の訪問であったり、少しずつ皇室の一員としての活動を行うようになりました。


令和4(2022)年3月、愛子さまは、成年皇族として初めて記者会見に臨まれました。
《成年会見での愛子さまのおことば》
私は幼い頃から、天皇皇后両陛下や上皇上皇后両陛下を始め、皇室の皆様が、国民に寄り添われる姿や、真摯に御公務に取り組まれるお姿を拝見しながら育ちました。そのような中で、上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると、私は認識しております。

陛下は愛子さまに、緊張しないコツは、一人一人の目を見て、自分の思いを伝えるように話すことだとアドバイスされたそうです。
会見の準備を進められる愛子さまをずっと見守られていたという両陛下。
《天皇陛下おことば》
私たちも、会見に向けて一生懸命準備をする様子を目にしていましたので、無事に会見を終えることができ、安堵いたしました。愛子が記者会見でも述べたように、自身のこれまでの経験は周りの多くの方の支えや協力があったからであり、これまで様々な形で支えていただいた皆さんに感謝する気持ちを持ってくれていることを、私たちとしても嬉しく思いました。

また、愛子さまの普段のご様子についても明かされました。
《天皇陛下おことば》
愛子は、学業で忙しい日々を送りつつも、いつも楽しい話題で家庭の雰囲気を和ませてくれ、私たちの生活を和やかで楽しいものにしてくれています。昨年も述べましたとおり、愛子には、いろいろな方からたくさんのことを学び、様々な経験を積み重ねながら視野を広げ、自らの考えを深めていってほしいと願っています。また、今後も、思いやりと感謝の気持ちを持ちながら、皇室の一員として一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います。

これからも“良き相談相手”である皇后さま、そして愛子さまとともに、歩みを続けられる天皇陛下です。
(「皇室ご一家」3月5日放送)