財務省は3月2日、去年10月から12月の法人企業統計を発表した。

金融業・保険業を除く全産業の経常利益は22兆3768億円で、前の年の同じ時期に比べ2. 8%減った。

非製造業は増益となったが、製造業での減益の幅がそれを上回っている。中でも石油・石炭分野での減益が顕著だ。

原材料価格の高騰が要因で、財務省は「価格高騰を販売価格に反映できていないのが見て取れる」と分析している。

一方、設備投資は12兆4417億円と7.7%増え、7四半期連続で増加した。製造業は6.0%、非製造業は8.6%のプラスとなった。

財務省は、今回の調査結果について「緩やかに持ち直しの状況が続いている景気の状況を反映したもの」と指摘している。一方で「物価上昇等の影響を含め、今後とも企業の動向について注視したい」ともコメントしており、コストの上昇が企業に与える悪影響に懸念を示した。

こうした中、今年の春闘はまもなく、労働組合の要求に対して企業側が答える集中回答日を迎える。すでに大企業を中心に、基本給を底上げするベースアップや初任給の引き上げなど賃上げの表明が続いている。しかし今回の法人企業統計で、原材料価格の高騰が、企業経営を圧迫することで賃上げを阻害しかねないリスクになっている事が、浮き彫りになった。

賃上げの動きが、大企業のみならず、中堅・中小企業にまで広がるのかが、日本経済底上げのカギとなる。

部品や機械メーカーの労働組合で、中小企業の労組が8割超に上る「JAM」は3月1日、今年の春闘で、ベアの平均要求額が月額8729円だったと発表した。経営側の回答が注目される。

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