性的少数者、いわゆるLGBTQ+の人など、多様な人々が安心して集える場所「金沢にじのま」が石川県にオープンした。プロジェクトのリーダーで金沢市出身の松中権さんに石川県にこうした場所ができた意義や今後への思いを聞いた。

金澤町家にオープン ふるさとの景色が少しずつ変化

金沢レインボープライド 松中権共同代表:
めっちゃ嬉しいですよね、本当に。もちろん「金沢にじのま」がオープンしたってことも嬉しいんですけど、さっきオープンをみんなでお祝いした、その瞬間のみんなの顔、笑顔がすごく嬉しかったです。

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乾杯掛け声:
せーの、「ハッピープライド!」

2023年2月18日にオープンした金沢にじのま。

LGBTQ+の当事者などで作る団体、金沢レインボープライドなどが金沢市池田町にある築100年以上の金澤町家をリノベーションし開設した。

参加者からは「当事者同士が知り合う機会が少ないのと、そういう事を話せる場が限られているので、こういう場所を作って頂いてすごくうれしい」とか「石川県って、LGBTQ+にとって住みにくい街って言われ続けていて、その中で色んな方々が集まれる場所がオープンしたというのがすごくうれしいこと」と言った喜びの声が聞かれた。

3年前、松中さんは東京にLGBTQ+の人々の居場所を作ろうとプライドハウス東京レガシーを開設した。当時、松中さんは、石川テレビの取材に対し、こんな夢を語ってくれていた。

松中さん(2020年のインタビュー):
金沢はすごく素敵な街だと自分自身思っているので、そのような性的少数者の居場所のようなものを金沢の中にも作っていきたいと…

その後、金沢プライドパレードなど理解促進を訴えるイベントをふるさと金沢で次々と実施した松中さん。

その甲斐もあって、ふるさとの景色が少しずつ変わってきたことを実感している。

松中さん:
「金沢にじのま」が出来て、自分自身としてもこれまでの色んな思い出とかを、ある意味、本当に上書きというか、アップデートできるような、そんなタイミングというか…。

首相からお詫びも…「面会をパフォーマンスにしないで」

一方で、一朝一夕に世の中の意識が変わらないことも痛感している。

岸田文雄首相:
先般の前総理大臣秘書官の発言につきましては、不当な差別と受け止められる極めて不適切なものであり、皆さま方をはじめ、多くの皆様方に不快な思いをさせたことに対しまして、心からお詫びを申し上げたいと思います。

荒井前秘書官が「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと差別発言をしたことについて、岸田首相から直接謝罪を受けた松中さん。しかし、政府が今国会での成立を目指すLGBT理解増進法から更に踏み込んだLGBT差別禁止法への取り組みなど具体的な発言は出なかったそうだ。

松中さん:
本気でそのことをやりたいのかっていうことまでは…残念ながら、感じられなかったんですよね。「大丈夫だから、自分がなんとかするから」みたいなことは、一言もなく…

その岸田首相も同性婚については…

岸田首相:
家族観や価値観やそして社会が変わってしまう。

と国会で答弁するなど社会の理解に対し政治があまりにも遅れていると憤る。

松中さん:
面会をパフォーマンスにしないで、本当に差別を禁止する法律を作ってほしいと思うんです。お1人、お1人が自分らしく自分の人生を楽しむ、謳歌するために何があるかってことが政治だと思うので、本当に政治家って自分で思ってらっしゃるんだったら、それを実現してほしいですよね。

G7、先進7カ国の中で唯一LGBT差別法がない日本。理解増進法すらままならない国が議長国として務まるのか、松中さんは政治の本気度に期待している。

(石川テレビ)

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