豪雪地の雪かき。長野県飯山市は今シーズンから高齢化が進む地域に「雪かき支援隊」を派遣していて、早くもお年寄りたちの心強い存在となっている。隊員も高齢だが除雪の「プロ」、2日間の活動に同行させてもらった。
除雪のプロ「雪かき支援隊」
飯山市北部の温井地区。道路脇には2メートルを超える雪の壁ができている。

屋根の雪下ろしをしているのは「雪かき支援隊」のメンバー。依頼のあった一人暮らしのお年寄りの家などの雪かきを支援している。
作業を依頼した久保田富士子さん(67)も一人暮らしだ。
久保田さんは「(雪が)なかなか自然落下しない。母が8年前に亡くなって、それから人の手を借りている」と話す。

支援隊のメンバーは7人。農家や大工など、冬場、比較的、仕事が少ない職業の人たちが市の臨時職員として採用され、いわば「プロ」として除雪を支援する。
年齢は50代から70代。ケースによっては依頼者よりも高齢というメンバーもいるが、意気盛んだ。
雪かき支援隊・村山進一郎さん(74):
雪の大変さは、ここの生まれなんで嫌なほど分かっている。一人暮らしが多くなってきてちょっとでもね、体が達者なうちは助けようかなと

高齢化率50%超 重い負担
高齢化率が40%近い飯山市。温井地区は50%を超え、雪かきの負担は地区全体に重くのし掛かっている。
住民:
(雪かきは)降るたんびだね、必ず降れば降った分は(除雪機で)飛ばさないとたまっちゃう。大変、またきょうもやるかという気苦労だな…

そこで、市は有料で人員を派遣する今回の仕組みをつくり、試験的に高齢化率が50%を超える7集落を対象にスタートさせた。
飯山市危機管理防災課・柳一広防災消防係長:
お年寄りでも市の外に出なくてもいいように支援をしていくと。高齢者の見守りの一つにもなっていると思うので、安心感なども持っていただけている
隊員も高齢だけど…除雪の「プロ」が活躍
メンバーは2班に分かれて活動。

温井地区出身の4人でつくる「1班」は主に地元を回る。
こちらの家は1月上旬に一度、除雪したが、再び1メートル以上積もっていた。

取材中に突然、大量の雪が屋根から落ちてくる場面もあった。もしも下敷きになればとても危険だ。
雪かき支援隊・村山進一郎さん(74):
一人暮らしで、とても家の周りを構いきれないということで
除雪機を使おうとしたが、うまく動かない。
雪かき支援隊・高橋孝彰さん(73):
雪が湿っていて重いから(詰まる)
詰まった雪を取り除きながら少しずつ進める。
トラクターで除雪する高橋孝彰さん(73)。米農家で、トラクターの扱いはお手の物。11年前に温井地区を取材したときも地区の除雪をしていた。

雪かき支援隊・高橋孝彰さん(73):
雪は慣れているというより、生活そのものなんで。(雪かきのプロですね)皆さんが見ていてそう思うなら、うれしい
人力で雪をかき出し、そのあとに機械で飛ばす。
次第に雪が強くなったが、人力と機械、交互に、地道に作業を続ける。
雪かき支援隊:
吹雪いてたってやるときはやる。天気の良い時の方が気分は良いし、能率もあがるが、そうも言ってられない
雪かき支援隊・米持邦一さん(72):
もう限界!(笑)
実は1班の4人は全員70代。メンバーも高齢化しているが…。
雪かき支援隊・米持邦一さん(72):
雪かまうぐらいなら慣れているからいいかなと。こうやってみんなの老人世帯のためになるんなら、少々骨を折っても…

開始からおよそ5時間。ようやく作業が終わった。
雪かき支援隊:
「スカッとした、さわやかな」
「生ビール飲んだ感じ」
3日朝も4人は温井地区で雪下ろし。
作業を依頼した久保田富士子さん(67)は「本当にありがたい」と話し、支援隊に感謝する。
助け合いの精神を生かした「雪かき支援隊」。市は今シーズンの成果を検証し、本格導入を目指す。
(長野放送)