「異次元を目指す」政府の少子化対策の柱の1つとされる児童手当について、政府は所得制限の撤廃などを検討しているが、政府与党内では「効果が薄い」と反対論も上がっている。
そんな中、各自治体では子育て支援の動きが表面化し始めている。

第二子以降の保育料無償化を検討

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静岡市は、政令市で初めて第2子以降の保育料の完全無償化を4月から実施すると発表したが、第2子以降の保育料の完全無償化は福岡市も検討を進めている政策だ。

福岡市内の30代夫婦:
上の子は0歳から保育園に通わせていたんですけど、そのときは保育料が4万円強かかっていて、4.6万円くらい。それと別に備品とかもかかったので…

福岡市内に暮らす30代の夫婦。現在4歳の長男に加え、7月から1歳の長女が保育園に通う予定だ。

福岡市内の30代夫婦:
(完全無償化で年間)60万円くらいは変わるのかなと。働いてもその分、保育料で消えていってしまうので、働きながらも苦しい部分があったけど、無償化になるということで、働いたらその分、貯蓄に回したり、こどものために回したりと言うことができるので、働きがいがある

年齢が近くないと軽減されない

子育て世代には大きな支援となる第2子以降の保育料無料化。しかし、取材を進めると別の問題も見えてきた。

福岡市内の保育園。この保育園には0歳から6歳まで約200人の園児が通っているが、ここ数年である変化が起きているという。

しあわせの星保育園・井上正志園長:
きょうだい児が少なくなっているので、1人っ子というのが多くなっている。人口が増えている福岡市でさえ、小さなお子さんが減っているのは、将来のことを考えると危機感を持っている

5年ほど前までは、きょうだいがいる家庭が70世帯ほどいたということだが、現在は50世帯ほど。園全体の4分の1しかいない。

自らも3人の子どもを育てる母親の保育士に話を聞くと…。

保育士で3児の母親:
上が10歳と真ん中が8歳、下が1歳になります

国は保育料について、2人以上の子どもがいる世帯の負担を軽減しようと0歳から2歳までは第2子を半額、第3子以降を無償化する子育て支援を行っている。しかし、この制度は、きょうだいがいずれも保育園に通っている場合に限られ、上の子ども2人が小学校に通っている場合、第3子でも1人分の保育料を払う必要がある。

保育士で3児の母親:
しっかり働いても3分の1くらいは保育料で消えていってしまう。上の子が保育園には通っていないと言っても、お金は、小学生でもかかるので、3番目の子どもと言っても、保育園では第1子なので、そこがちょっと、お金がなくなれば、すごく助かる

福岡市では、きょうだいの年齢に関係なく第2子以降の保育料を完全に無償化することを検討していて、子育て世代を後押しできると考えている。

保育士で3児の母親:
働いている保護者の方も次の2番目、3番目というのも考えやすくなると思うし、お金がかからなくなるのは、それに越したことはない

第2子以降の保育料の完全無償化は大きな効果が期待できる子育て支援だが、懸念の声も上がっている。

自治体の予算で差の懸念も

太宰府天満宮で有名な太宰府市。楠田市長は、福岡市が第2子以降の保育料の無償化を検討しているという報道を受けて、すぐに同様の支援策が太宰府市でもできないか、検討したという。

太宰府市・楠田大蔵市長:
試算をしたところ、6,000~7,000万円かかると。我々の予算規模なり優先順位としてやっていくなかで、なかなか難しい額でした

太宰府市では来年度、中学校での完全給食化や学校の建て替えを予定していて、今のところ第2子以降の保育料の完全無償化を実施する余裕はない状況だという。

太宰府市・楠田大蔵市長:
予算の潤沢さによって差がついて、東京や福岡市に子育て世代が集まるだけでは国全体の少子化対策にはならないんじゃないか。もちろん国なり、県なりの補助を得ながらやっていきたい

異次元の少子化対策のあり方とは。
自治体ごとの対応にばらつきが出ているなか、国の動きに注目が集まっている。

(テレビ西日本)

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