全国で相次ぐ強盗事件の指示役とみられフィリピンで収容されていた容疑者のうち、今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)が、特殊詐欺に関与した窃盗の疑いで逮捕され、7日夕方、渋谷警察署に到着した。今後の捜査の展開は。

指示役「ルフィ」2人が日本到着

2月7日夕方、渋谷警察署へと入った今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)。

藤田聖也容疑者
藤田聖也容疑者
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まず、藤田容疑者を乗せた車が中に入り、その約3分後に後を追うように、今村容疑者を乗せた車が渋谷警察署に入った。両容疑者とも、まっすぐに前を向いていた。

今村磨人容疑者
今村磨人容疑者

今村容疑者と藤田容疑者は、特殊詐欺事件に関与した疑いで逮捕されたため、渋谷警察署では特殊詐欺についての本格的な取り調べが行われる。

今村磨人容疑者
今村磨人容疑者

今村容疑者と藤田容疑者とフィリピンに残る2人の合わせて4人は、死者も出た一連の強盗事件について「ルフィ」などと名乗る指示役だった可能性も浮上しており、警視庁などが今後、強盗について全容解明できるかが焦点となる。

イットのスタジオでは、今後の動きについて平松秀敏解説委員に話を聞いた。

榎並大二郎キャスター:
ここからはどのような動きになるでしょうか?

平松秀敏解説委員:
まず、何で渋谷署だと思いますか?大規模な特殊詐欺事件がありました。恐らくその捜査本部が渋谷警察署に置かれている。だから、まずこの渋谷警察署に容疑者2人を連れてきたということです。

そして、まだ逮捕しただけで取り調べをしていない。これから2人は別々で取り調べが行われる。”弁解録取書”といって一番最初の供述調書をとる作業がある。

この弁解録取書には、“こういう容疑であなたは逮捕されたけれど、あなたは認めますか?認めませんか?”ということが書かれるというので、そこで初めて2人がこの特殊詐欺事件の容疑を認めているか認めないていないかがはっきりするということなんです。

今後2人は、このままずっと渋谷警察署にいるわけではなく、この後別の警察署に移されます。
2人別々の警察署に移されて、そこで取り調べが今後続くことになる。

なぜかというと、同じ警察署にいると口裏合わせや証拠隠滅の可能性があるので、分散留置で別々の警察署へ分かれることになります。

榎並大二郎キャスター:
ただ、フィリピンの収容所でも4人一緒にいたから、何か口裏合わせをしている可能性はありますよね?

平松秀敏解説委員:
可能性はありますけど、日本の手続上は、同じグループの共犯者は、同じ警察署で留置することはないので、別々のところに分けて留置して取り調べが行われることになります。

榎並大二郎キャスター:
ここで個別に矛盾をついていく作業へ入るということですね。

急展開 残る2人も送還する意向

容疑者4人のうち今村磨人容疑者と藤田聖也容疑者が日本に到着したことで、残るのは2人。

宮司愛海キャスター:
これでフィリピンに残るのは、渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)となりました。
残る2人は、2月8日以降に帰国する見通しです。どういった判断があったのでしょうか。

そもそも渡辺容疑者らは、元妻らから女性と子供への暴力で告訴されていて、その裁判を理由に強制送還ができませんでした。
これに対して、フィリピン司法省は、「この告訴は強制送還を遅らせるためのでっちあげだ」として取り下げを申し立てていたのですが、2月6日までの審理では結論が出ず、送還が認められませんでした。

ところが、2月7日になり一転、審理が改めて行われて、マニラの裁判所が2人に対する告訴を棄却することを発表しました。
その理由については、告訴の内容に証拠が不足して説得力がないと判断したと見られています。

2人の弁護士は、FNNの取材に対し、「告訴から弁護する側として棄却されて嬉しい」と明かしました。

また関係者によると、現在の渡辺容疑者について、収容所内のVIPルームから小さい部屋に隔離されていて、小島容疑者も同様に隔離されているといいます。

2人の強制送還をめぐるこの急展開ですが、何が理由だったのでしょうか?

指摘されているのは、2月8日に予定されているフィリピン・マルコス大統領の就任後初めてとなる日本訪問です。
フィリピン当局は、マルコス大統領の訪日前に容疑者4人を送還させたいという意向があって、急展開につながったのではないかと見られています。

今回、異例の早さの対応だということですが、もし大統領訪日がなければもっと遅くなっていた可能性はあるのでしょうか?

宮家邦彦氏:
その可能性はあるかもしれませんね。
このやりとりを知らないけれど、一般論としては首脳会談の前には、懸案は解決しておきたいということですから、双方が歩み寄ったのかなと思います。

ただ、仮にこの訪日がなくても、しっかりとしたやりとりをして、解決できたと思います。
今のフィリピンは、一昔前のフィリピンと違って前任者だったマルコスさんのお父さんとも違って、対外関係を非常に重視しているので、今はフィリピンとの話し合いがしやすかったのかなと個人的には思っています


(「イット!」2月7日放送より)