大群で空を飛ぶカモが今シーズン佐賀県内で相次いで目撃されている。一方、カモが麦を食い荒らす“食害”も各地で確認されていて、農家は対策に頭を悩ませている。

渡り鳥のカモが近年、日本に

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1月14日、佐賀・伊万里市で撮影された映像。無数の鳥が塊で動いている。3日後には、有田町でも撮影された。

専門家によるとこれは“カモ”。鳴き声や飛ぶスタイルなどから渡り鳥の「トモエガモ」とみられている。元々は朝鮮半島などで冬を越していたが、最近は日本へ来るようになっていて、春先に北へ帰るという。

カモの食害 今シーズンは最悪

一方、農家を悩ませるカモも。

数十羽の群れが食べているのは、この時期、コメの裏作として栽培されている麦。生育が遅れ収量が落ち込むだけでなく、コメの田植えも遅れるおそれがある。

ーー芽を食べている?

農家・武富直樹さん:
この葉先、新しい芽がここから出てくるのですよ。新芽のときがやわらかくておいしいので、それを食べているみたいです。もう本当、すごかった。日に日に「あそこがなくなっている」って

江北町の農家、武富直樹さんによると、カモの食害は10年ほど前からあるというが、今シーズンの被害は最悪。

農家・武富直樹さん:
ことしは特に、カモの数も多いし、広範囲でことしは食べていますね。基本的にこのあたりまではあまり来ないです。向こうの六角川の川沿いが一番ひどいのですけれど。どう言ったらいいですかね…もう“追いかけごっこ”

近年は有明海でも、カモによるノリの食害が深刻な問題となっていたが、今シーズン広がっているのは麦の被害。「ノリが不作だからでは?」との推測もある。

“ロケット花火”で追い払いも…効果は?

こうしたなか、江北町で始まったのが一風変わったロケット花火の音でカモを追い払う作戦だ。

ほ場に残るかすかな火薬のにおいもカモは嫌いとのこと。町は約5,000発を15万円で購入し、200戸の農家に配った。
果たして、その効果はいかに…。

農家・武富直樹さん:
まあ、しないよりはいいですけどね。ただもう1回降り立つところには、やっぱりもう覚えてしまっとるから、また来ますもんね

試しに、数百羽が羽休め中のため池で飛ばしてみると…。一度は飛び立つもすぐに戻ってきてしまう。

農家・武富直樹さん:
まあ「花火しても同じことさ」って言う人もいるのですけど…ねえ。まあ、小さなことからコツコツとやるしかないでしょうね

花火のほかにも農家はそれぞれ鳥が嫌がる吹き流しを設置したり、テグスと呼ばれる細い糸を張ったりしているが、あまり効果はないのが現状。

さらに、カモの食害は江北町だけでなく、白石町や鹿島市など各地で確認されていて、地域全体での抜本的な対策が必要と言えそうだ。

(サガテレビ)

サガテレビ
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