およそ2年後に迫った大阪・関西万博。2月1日、スイスが参加国で初となるパビリオンの詳細を発表した。驚くべきは“軽さ”で、イメージは“シャボン玉”。

“万博史上最も軽い”建物

この記事の画像(12枚)

建築家 マヌエル・ヘルツさん:
私たちは“万博史上最も軽い”建物をデザインしました

特徴の一つは、パビリオンが「万博史上最も軽い」ということ。球体は合成樹脂の二重の膜の中に空気を入れて作られ、その軽さは5つ合わせて400kg以下。競走馬1頭か、大型バイク2台分ぐらいである。しかもこの球体も展示スペースの中の資材も、全てリサイクルが可能で、万博終了後は家具などに生まれ変わる予定だ。

館内では、アルプスの花の香りがするということだ。実は1970年に開かれた大阪万博のスイス館でも…

大阪万博スイス政府代表 マックス・トレンドレーさん(当時):
アルプスの山の新鮮な空気を感じてもらい、ほっとしてもらえる空間です

館内でアルプスの空気を感じさせたという1970年大阪万博のスイス館は、3万2000個の電球を使ったシャンデリアのような美しいデザインで、建築優秀賞を受賞した。2022年のドバイ万博では全面が鏡で覆われたパビリオンで、建築部門の銀賞を受賞した。

そしてもう一つの驚きポイントは…

内装デザイン イヴァン・フォンクさん:
屋上バーは有名なハイジを記念したバーで、ラッキーならハイジと出会えます

屋上のバーにハイジがいる?どういうことなのか、気になりすぎて担当者を取材しました。

(Q:「ハイジのバー」って気になるんですが、どういうことですか?)

スイス連邦陳列区地域政府代表 マヌエル・サルチリさん:
今でも日本の皆さんがスイスに対して、大自然や平和のイメージを持っているのは「ハイジ」のおかげです。だからパビリオンにハイジがいるべきなのです。ブランコに座ってハイジと一緒に飲み物が楽しめますよ

日本人には懐かしいアルプスの少女と、先進技術の融合が見られるスイスのパビリオンは、2025年の4月13日オープン予定だ。

スイスもすごいが、大阪企業もすごい

スイスの技術もすごいですが、大阪の企業の技術も、世界から注目されている。

関西テレビ 沖田菜緒:
あちらの体育館ような建物。実はこれが万博で、パビリオンとして登場するかもしれないのです

この建物を開発したのは、建設機器などのレンタルをしている大阪市の「西尾レントオール」。至る所に独自の技術が詰まっているそうだ。木材と金属を組み合わせた特殊な構造で建物の強度が保たれ、柱が無くても広い空間を作ることができる。

西尾レントオール木造モジュール課 諏訪裕一郎課長:
柱が無いということは、パビリオンにおいては利用しやすい

手軽に建てられることも特徴で、基礎は約1メートルと深く掘らずに済み、工期は最短で半年ほど。さらに、再利用が可能で産業廃棄物を減らすことができ、環境に優しい。環境への意識が高いと、万博の参加国からの注目度も高いそうだ。

西尾レントオール木造モジュール課 諏訪裕一郎課長:
非常に、問い合わせと、一度会っていただけないかと。活発になってきたなという実感があります。我々としては10棟程度建てられればいいなと

万博開幕まであと2年!世界の技術や、日本の技術の進歩から目が離せない。

“ちょっと気がかりなこと”

2月1日に詳細が発表されたスイス館。「ハイジのバー」が気になっている人も多いかもしれないが、あらためてパビリオンの特徴を整理する。

・ちょ~軽いこと。球体のシェルの総重量は400kg以下。万博史上最も軽いといわれている。環境負担を軽くするため、部材は全て再利用可能なものを使用し、解体して家具などに再利用されるということだ。

・ルーフトップバー、屋上のバーはハイジに会える(かもしれない)バーだ。大きな丸い窓が開いていて、大阪湾の夕日が眺められる。

スイスは今回の万博への参加の発表が早く、日本で開催される万博にかなり力を入れくれているようだ。前回大阪万博や、2022年のドバイ万博でも独創的なパビリオンを出展していて、万博に力を入れていることが伝わってくる。

ただ、万博全体に目を向けると、ちょっと気がかりなことがある。大阪府による全国アンケート調査では、万博の認知度は年々上がっているが、「行きたい」と答えた人は、この1年で減少している。昨年度は51.9パーセントだったのが、今年度には41.2パーセントとなり、10ポイント以上低下した。

この結果について、大阪府の担当者は、「物価高による消費意欲の低下」「万博の詳細が伝わっていないこと」などが原因だとみているとのことだ。

(関西テレビ「報道ランナー」2023年2月1日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。