岸田首相は31日、福島県の内堀知事らと首相官邸で面会した。

内堀知事らは福島県産の「伊達のあんぽ柿」を贈り、岸田首相は「もっちりした歯ごたえだ」と笑顔を見せた。

出荷開始から去年100年を迎えた「伊達のあんぽ柿」は震災を乗り越えた「復興のシンボル」として知られ、海外輸出にも取り組んでいる。

岸田首相が試食した31日、「伊達のあんぽ柿」はGI保護制度に登録された。GI制度(地理的表示保護制度)とは、国が地域ブランドとして保護する制度で、2015年に導入された。政府関係者によると、元々ヨーロッパで始まった制度で、日本とEUの間で貿易の協定を締結したことが導入のきっかけになったという。

歴史ある地域ブランド産品として保護されることで、国により「模造品」が排除されることとなり、消費者がブランド品として選ぶことができる。

政府関係者は「フランスのシャンパーニュ地方で作られたワインをシャンパンというが、その土地で作られたものを守ろうということで出来た制度だ」とした上で、「日本では中国産の食品が流行していたことがあり、こうした外圧と危機感から導入された」と説明する。

登録品には、兵庫県の「神戸ビーフ」や北海道の「夕張メロン」などが知られるが、福島県と宮城県の「伊達のあんぽ柿」の申請が通ったことで、登録品は123品となった。

鮮やかなオレンジ色と柔らかくみずみずしい食感を特長として持つ「あんぽ柿」が登録に至ったのは、干し柿の製法である「硫黄燻蒸」の発祥地であったということが理由としてあげられるという。

また「天干し柿(あまぼしがき)」がなまって呼ばれるようになったといわれる「あんぽ柿」だが、冬に柿が干されている様子が冬の風物詩として地域に根付いていことも、一つの評価になったようだ。

JA福島の担当者はあんぽ柿の生産者が減少する中での今回の登録について「知名度が上がって多くの人に食べてもらいたい。次世代に伝えられたら」と期待を込めて語る。

岸田首相も「海外に向けてしっかりとアピールしてください」とエールを送るように、今回のGI制度への登録は、「伊達のあんぽ柿」の国内消費だけではなく、海外輸出の追い風となりそうだ。

政治部
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