長野県で相次いでいる雪崩による死亡事故。原因とみられているのは、時速200キロのスピードで滑り落ちるという「表層雪崩」だ。前兆現象がないという表層雪崩への注意点について、専門家に聞いた。

災害事例は新潟全域にも… 冬山での注意点

長野県で相次ぐ雪崩の死亡事故。2023年1月28日には、バックカントリースノーボードをしていた新潟県魚沼市の38歳男性が巻き込まれて死亡し、翌日にはバックカントリースキーをしていた外国人4人が雪崩に巻き込まれ、そのうち2人が死亡した。

長野県で雪崩による死亡事故相次ぐ
長野県で雪崩による死亡事故相次ぐ
この記事の画像(11枚)

雪崩・地すべり研究センター 吉柳岳志さん:
気温が低い中、積雪が続いて積雪深が増えた状況で、古い雪の層の上に積もった雪が崩れる「表層雪崩」というのが、この時期は多いので、そういったものなのかなと思っている

こう原因を推測するのは、新潟県内で地すべりや雪崩について研究する吉柳岳志さん。

今回、長野県で発生したとみられるのは「表層雪崩」だと言う。古い積雪の上に新雪が積もり、その新雪部分が一気に滑り落ちる雪崩で、速さは時速200キロにも及ぶという。

一方で、春先の融雪期に多いとされるのが「全層雪崩」。気温が上がると、斜面に積もった雪が全て流れる雪崩だ。こうした雪崩の危険性は新潟県内にもあるという。

雪崩・地すべり研究センター 吉柳岳志さん:
危険箇所は、村上市から雪の多いところ、中越南部とか。災害事例は新潟県全域である

2022年2月、糸魚川市の山あいで表層雪崩が発生し、50代の男性が巻き込まれて死亡したほか、2023年1月13日には、五泉市の菅名岳に入った50代男性が雪崩に巻き込まれ死亡する事故があった。

雪崩・地すべり研究センター 吉柳岳志さん:
表層雪崩は前兆現象が目で見て分かる形で出てこないときも多い。雪が多く降っている状況で過去に起こったところとか、積雪が多いところに近づかないようにするしかない

雪が降る時期に多く発生するという表層雪崩。前兆現象がないため、危険な斜面に近づかないことが最も重要となる。

もし、冬山に入る際には…

雪崩・地すべり研究センター 吉柳岳志さん:
雪の中に埋まってしまうので、救助を速やかにやるため、一般的にはビーコン持って行く、スコップですぐ掘り出せる装備、厳重な冬山装備で行くよう言われている

厳重な冬山装備
厳重な冬山装備

雪に埋まっても、自分の位置を知らせるビーコンなど、自分の身を守るための冬山装備が重要。

自分の位置知らせる「ビーコン」
自分の位置知らせる「ビーコン」

2月中は表層雪崩に、雪がとけ出す3月以降は全層雪崩に。積雪の多い地域では、より一層の注意が必要だ。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
NST新潟総合テレビ

新潟の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。