福岡県内の住宅街で、カラスによる被害が続出している。車のワイパーを狙うカラスに、住民も布を巻くなどして対策を取っているが、イタズラでは済まされない仕業に頭を悩ませている。被害が確認された現場を取材した。

「カラスは味をしめたんでしょうね…」

2022年12月15日、住宅街の防犯カメラが捉えた1羽のカラス。

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その後、車のフロント部分で動いていたカラスが車のワイパーを倒してしまった。

楢崎春奈記者:
福岡県春日市の住宅街に来ています。駐車してある車のほとんどで、ワイパーを立てたり、タオルを巻いたりして、対策が取られています

被害に遭った山本沙織さん:
「カラスに襲われてたよ」って教えられたから、カラスって分かったんですけど。ワイパーをイタズラされてる時点で、公民館の方が見つけてくださって、止めてカラスを追い払ってくれたので、うちはここだけで(済んだ)

住宅街のあちらこちらで目に付く車のワイパーを布で巻いた「異様な光景」。

その原因は、2022年12月中旬頃から相次ぐカラスによる被害だった。住人によると、車のワイパーのゴムが食いちぎられるなどの被害が続出。飛んできたカラスが、つついたり、引っ張ったりして傷つけたとみられている。

被害に遭った山本沙織さん:
だから、いつもタオル巻いてるんですよね。ワイパーを立ててるだけじゃ、カラスが倒してくるんで

この地域に住んで30年という男性も、カラスによる被害は初めてだと首をひねる。

被害に遭った古森誠基さん:
だいたい、被害額は3000円くらいですね。2回だから6000円。カラスは何か味をしめたんでしょうね…。(ゴムの)味はしないでしょうけど

ワイパーを守れ 住民の対策

同様の被害は春日市に限らず、北九州市でも確認されている。

城谷陽一郎記者:
ワイパーごと隠して対策とってる人もいるようです

八幡西区の住宅街でも、半年ほど前からカラスによる被害が出始め、ワイパーを立てるだけでなく手製のカバーをかぶせるなどのほか、フロントガラス全部にカバーをかける対策も施していた。

フロントガラスにカバーを張った男性:
この部分(フロントガラス)、この部分をはがす、ぴーって。一手間かかるよ。また運転するときはワイパー降ろさないかんけんね

被害に遭った女性:
(ボンネットを指しながら)ここに止まって、ここら辺をつついてた。ワイパーが、宙に浮いてたらつつかれないかなって(ワイパーを上げた)

真相はカラスのみぞ知る

車のワイパーを狙ったカラスの行動について、専門家は「巣作りの材料にしているのではないか」と指摘する。

福岡害鳥駆除センター・三浦浩所長:
カラスが、ペア(つがい)になるのが、だいたい年末とか冬になってから。時期的には今、巣作り一生懸命っていうところですよね

さらにカラスは、「遊び」のような行動を取る習性もあり、ワイパーを食いちぎる行動を気に入ってしまった可能性もあるとも話す。

福岡害鳥駆除センター・三浦浩所長:
やってみて、その食感が気持ちいいっていうので仲間内で広がってるのかなって。ほかに何か楽しいことを見つけてくれたら、そっちに行くんでしょうけどね

巣作りなのか遊びなのか、真相はカラスのみぞ知るところだが、巣作りのシーズンは3月頃まで続くということで、住民にとっては迷惑なカラスとの知恵比べが、当面は続くことになりそうだ。

(テレビ西日本)

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