列車の運休が相次ぐなど、交通網にも大きな影響が出た“10年に一度”の最強寒波。
めざまし8では、その寒波で列車内に最大10時間閉じ込められた乗客たちを独自取材。
車内で飛び交う「怒号」…。さらに、乗客たちの「助け合い」が見えてきました。

検証…閉じ込め10時間を完全再現ドキュメント「パニックになりかけた」

1月24日JR京都線・琵琶湖線などで、大雪の影響により分岐ポイントが使用できず、大阪・高槻駅から京都駅、そして山科駅にかけての計15本の列車で、最大10時間、乗客が閉じ込められる事態に。

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午後6時ごろ、滋賀県のJR草津駅から京都方面行きのJR琵琶湖線に乗ったAさん。
途中の駅で列車は何度も長時間停車していましたが、それでも車内は超満員…。Aさん自身も「これを逃すと次にいつ乗れるかわからない」と考え、乗り続けていました。

午後8時50分ごろ、突然、山科駅と京都駅の間で列車がストップ。
1時間半が過ぎるころには、密閉された車内の温度が上がり、体調を崩す人も出てきました。しかしそこで流れてきたのは「急病人の搬送は京都駅についてから行います」という車内アナウンス。 
Aさんは「何があっても電車から出られないのか」とショックを受けたといいます。

Aさん:
パニックになりかけていました。ドアの隙間から入ってくる微量の外気を吸って気持ちを落ち着かせるのが精一杯でした。

そして閉じ込められてから約2時間半後、Aさんの体力は限界に近づき、雪が解けてぬれた車内の床に倒れるように座り込んでしまいました。

「降車は自己責任」車内アナウンスに物議

続いて、特急「サンダーバード」に乗っていたBさんに話を聞きました。

列車は山科駅付近で停車すると、体調を崩した乗客2人が救急搬送され、Bさんも息苦しくなり降車を申し出たといいます。
しかし、乗員から「乗客全員の宿泊先予約が完了するまでは降車できない」と言われ、程なくしてこんなアナウンスが車内に流れました。
車内アナウンス「ただいまから降りていただく際は恐れ入りますが自己責任のご案内となります。JRでのこの後のホテルなどのご案内はございません」

「早くこの車両から出せや!」追い詰められ…飛び交う怒号

閉じ込められる時間が長引くにつれて「怒号」も飛び交っていたという乗客の証言も。
京都市の山科駅前で、約8時間に渡り車内に閉じ込められていたCさんが目撃したのは、JRの職員が乗客の体調を確認するため、車内を巡回していた時の一幕。

乗客男性が職員に対し、
「おい!いつなったら電車動くねん!早くこの車両から出せや!」「うるさいわ!最初から降りて駅向かってた方が早かったんちゃうんかい!」
と食ってかかったのです。幸い、これ以上の大事には至りませんでしたが、車内は一時騒然としたそうです。

Cさんは「怒っても仕方ない状況だけど、みんなが怒り出すほど追い詰められていた」と話します。

怒号が飛び交うなど、追い詰められた状況にあった乗客たち。
その一方で実は、乗客同士が「助け合う」場面もありました。

「10分交代で座りましょう」乗客たちの助け合い

約9時間にわたり、車内に閉じ込められていたDさんが遭遇したのは、思わぬ展開でした。
体調不良者が増えていく中で、つらそうな人に席を譲ろうとする女性客。女性が「あの、席どうぞ」と立っている女性に声をかけると、「あ、でも他の方も立っているので大丈夫です…」との返答が。

こんな状況でも、周囲を気遣い遠慮する人が多かったといいます。その事態に、突然立ち上がった男性がいました。

「そうしたら、10分間隔で交代交代に座るのとかどうですか?」と座席の“10分交代制”を提案したといいます。
その結果、高齢者や体調不良者が、お互いに遠慮することなく座ることができたといいます。

さらには、体調不良者のために飲み物を探す女性の声に次々と「ありますよ」との声が上がり、閉ざされた車内で、限りある飲み物を分け合い、助け合う乗客たちの姿もあったそうです。

こうした助け合いの中に、「閉じ込められた時にどう行動すべきか」のヒントがあると、列車内の閉じ込めなどのトラブル対応に詳しい、防災減災危機管理アドバイザーの吉田亮一さんは指摘します。それが「周囲の人と会話をすること」です。

防災減災危機管理アドバイザー・吉田亮一さん:
皆さんで協力をしていただきたいと思います。なかなか声を上げるというのは難しいと思うのですが、こういった災害時、困っているときは「助け合い」が重要だと思います。ぜひ皆さんで協力をしあって声掛けをしてあげてほしいなと思います。

(めざまし8「わかるまで解説」1月30日放送)