関東大震災の発生から100年。

北海道・釧路市では女性や子どもの視点を防災に取り入れようとする動きが始まっている。

釧路市の幼稚園で行われた「防災訓練」

関東大震災から100年を迎えた9月1日。

釧路市の幼稚園では、地震が起きたという想定で防災訓練が行われていた。

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子どもたちは低い姿勢で、頭を手でおさえる「ダンゴムシのポーズ」を取って身を守ることを徹底。

「こわかった」(女の子)

「頭をまもって、先生のところにあつまる」(男の子)

「職員が身をもって園児に教えながら、園児を守っていかないといけない」(認定こども園釧路ひばり幼稚園・小原雅恵園長)

千島海溝沿いの地震で20メートルを超える津波が予想されている釧路市。

「チームくしろ防災女子」考案の防災セット

心配なのが子どもを連れての避難だ。

市内の女性8人で活動する団体「チームくしろ防災女子」は、200人以上の女性へのアンケートをもとに日頃から持ち歩ける避難セットを考案した。

「黒いゴミ袋は寒かったら着ることができるし、着替えたいときには目隠しになる」(チームくしろ防災女子・金子ゆかり代表)

さらに金子さんは、「アイブロウペンシルは『化粧していなくて自信がない』というのを防ぐためにも眉毛を描いて元気出そうと。筆記用具がないときに鉛筆代わりにも使えます」という。

これは、すごろくがプリントされた紙。

避難所で子どもが遊べるようにと作られた。

折るとゴミ箱として、ビニール袋をかぶせるとコップとしても使える。

「小さな子どもが避難所にいて何もすることがなくて不安なまま過ごすんだったら悲しいよねと」(チームくしろ防災女子・金子ゆかり代表)

チームくしろ防災女子は2022年、避難経路を親子で歩こうというイベントを開催。

子どもを抱えて避難する大変さを実際に経験することで、避難所に大量の水を備蓄することなどを釧路市に伝えた。

「赤ちゃんがいると持ち物が多いと思うが、さらに家族分の水を背負っていくのは到底できるものではないと感じて、気になった」(金子ゆかり代表)

誰もが安心して避難できるように

東日本大震災では避難所での性暴力、生理用品や育児用品の不足、着替えや授乳のための場所がないなど、女性や子どもに関する避難所での問題が次々と明らかになった。

自治体の防災計画を決める会議について、国は女性委員の割合を30%にする目標だが、北海道ではまだ4%に過ぎない。

「当事者でないと気づかないことがたくさんあるので、防災の担当者に女性を入れる、会議の中に女性を入れるというのがとても重要なことなのではないかなと感じている」(金子ゆかり代表)

災害時、誰もが安心して避難できるように、女性や子どもの視点を取り入れた防災対策が求められている。

【チームくしろ防災女子「災害0次の持ち出し品」】                                      ・黒いごみ袋
・生理用品
・おしりふき
・ホイッスルライト
・ポリ袋
・ソーイングセット
・オーラルケア用品
・スキンケア用容器
・ばんそうこう
・ネームホルダー&カード(カードには名前や緊急連絡先など自分の情報を記載する)
・消毒液
・非常食(チョコえいようかん)
・アイブロウペンシル
・チャック付き小袋
・手ぬぐい
・体温計
・拡大鏡
・ポンチョ
・携帯トイレ
・防災すごろく
・ポーチ

「外出中に災害が起きても大丈夫なように、日頃から持ち歩けるような大きさにした。自分や家族にあわせてカスタマイズして作ってみるとといいと思う」(金子ゆかり代表)

北海道文化放送
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