2022年秋のFIFAワールドカップ・カタール大会で、日本代表をベスト16に導いた森保一監督。長崎市出身の森保監督が、長崎のローカルニュース情報番組に生出演し、県民へ感謝の思い、そして2026年のW杯に向けた目標を語った。

母校に感謝「長崎で経験したことがすごく生きている」

1月21日夕方、サッカー日本代表の森保監督がKTNテレビ長崎に来社し、社員の歓迎ににこやかな表情で応えてくれた。

サッカー日本代表・森保一監督:
応援、共闘をありがとうございます

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カタール・ワールドカップで、日本代表を決勝トーナメント進出に導いた森保監督。長崎でも各地で声援が送られ、母校・長崎日大高校の後輩たちが“森保先輩”にエールを送った。

長崎日大高校・サッカー部員:
森保さんの采配、完璧です!

長崎日大高校・サッカー部員:
誇りですね、自分たちの

森保監督の恩師 長崎日大高校・肥田剛一教頭:
森保くん、ありがとう!

長崎市出身の森保監督は高校時代、長崎・諫早市の長崎日大高校に通い、サッカー部で3年間プレーした。森保監督はあらためてスタジオで、母校・長崎日大高校の後輩や恩師に感謝の気持ちを伝えた。

サッカー日本代表・森保一監督:
母校の後輩たちに応援してもらえて本当にうれしい。お世話になった先生もいるし、感謝の気持ちを伝えたい。先生たちが温かく見守ってくれて、自分の好きなことをする、新しいことを教えてくれたことが、今に生きている。皆で頑張ろうということを、今にもつなげられる経験ができた。長崎で経験したことが今の自分にすごく生きている

こんなところでも、カタールで戦う監督にエールが送られた。

長崎市の居酒屋「ぽいち」。「ぽいち」は森保監督の愛称で、幼なじみが涙ながらに声援を送っていた。

幼なじみの涙に、スタジオの森保監督はほほえむ
幼なじみの涙に、スタジオの森保監督はほほえむ

その様子を笑顔で見つめ、自身の愛称がついた店名について森保監督は、はにかみながら次のように話した。

サッカー日本代表・森保一監督:
(ぽいちは)やめとけって言ったんですけど、こういう盛り上がる場所になってよかった

自信と勇気につながればうれしい

日本代表の活躍と合わせて、森保監督が試合中にメモを取る姿も話題になった。いわゆる「森保メモ」は注目を集めたが、あのメモには何が書かれていたのだろうか?

メモを取る姿が話題に
メモを取る姿が話題に

サッカー日本代表・森保一監督:
試合中のよかったこと、悪かったこと、ハーフタイムや試合後に選手に成果と課題を伝えるのに使う。クロアチア戦の前に書いたのは、「日本に不可能はない」ということを書いた。選手たちがそう思わせてくれてる中で、試合に臨めるというメンタルで書いた

テレビ長崎・烏山拓巳アナウンサー:
スペイン戦で日本が勝ったときに、監督が円陣で「みんなが世界の舞台で勝てることを示してくれた。まだまだ先に目標がある」という声かけが、理想の上司像との声もあるが、どんな思いでその言葉をかけたんですか?

サッカー日本代表・森保一監督:
理想の上司ではない。いい選手がいて、いいスタッフがいて仕事をさせてもらっている。特別なことをしているわけではない。選手が世界の強豪と同じ目線で、勇気と自信を持って戦うことが結果につながるということで、選手たちがやってきたことをたたえたいと思うし、ただ、まだまだこれから先が我々の目標だということは声をかけた。日本の選手たちが世界の舞台で勝てるということを、日本サッカーの指導者や子どもたちが夢を持って自分たちもできる、日本や長崎の皆さんも日本が世界で戦っていけるんだという、自信と勇気につながればうれしいなという思いで伝えた

テレビ長崎・烏山拓巳アナウンサー:
2026年までの監督続投が決まっているが、今後の目標は?

サッカー日本代表・森保一監督:
ベスト8という目標には到達できなかったが、今回のW杯で選手たちが世界と戦えるところを見せてくれたと思う。世界一を夢見て、実現できるように目標に持って戦いに臨みたい

長崎は心の底から平和を発信できる町

さらに、森保監督は番組に生出演する前に、KTNの単独取材にも特別に応じてくれた。長崎市出身の森保一監督に、長崎への思いを聞いた。

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
注目の「森保ノート」は、長崎が原点だったりしますか?

サッカー日本代表・森保一監督:
長崎で生まれ育って高校生まで過ごした中で、自分の原点を忘れない中、つながるところもある

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
(弟の)洋さんが昔から「筆まめ」だと言っていたが、実際は?

サッカー日本代表・森保一監督:
メディア向けの情報かな(笑)。小中高と元気はよかった。集中して勉強するタイプではなく、本能的に動くタイプだった

自身の幼い頃を振り返り、笑顔を見せる
自身の幼い頃を振り返り、笑顔を見せる

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
世界を知る森保監督から見た、長崎のセールスポイントは?

サッカー日本代表・森保一監督:
人がいい。人が優しいところ。フレンドリーでみんなで何かやろう、助け合う雰囲気がある。その中で僕自身も育てられて、温かい目で接してもらって今がある。長崎以外の人をもてなす気持ちがあり、受け入れるおおらかさもある。長崎と広島は被爆地。戦争・原爆で尊い命が失われて、今もなお苦しんでいる人がいる。復興に向けてやってきた町の人にしか出せないものを世界に発信できる。心の底から平和を発信できる町だと思う

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
2026年に開催されるサッカーワールドカップ。森保監督は、監督続投が決まっているが、長崎ゆかりの選手、あるいはV・ファーレン長崎の選手で、次のワールドカップに向けてともに戦いたい選手は?

サッカー日本代表・森保一監督:
日本代表を目指している選手であれば、みんな一緒に戦いたいと思うし、日本人の魂・誇り・喜びを持って、日本のために戦いという選手たちと戦いたい。V・ファーレン長崎の選手が競争に打ち勝って、代表の舞台で戦ってくれるだけのパフォーマンスを出してくれることを楽しみにしている

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
日本代表監督として戦い終えたあと、V・ファーレン長崎の監督に就任してくれる、そんな夢を見ても?

サッカー日本代表・森保一監督:
監督をやってみたい思いもありますと同時に、監督をやると友達も知り合いもいる中で、代表監督以上のプレッシャーもあるだろうなというのも感じているので、そこは流れにまかせて、長崎の人間として地元のクラブを応援しているし、サッカーを通して県民に夢や希望・活力を届けてくれるような戦いをしてほしいなと思います

森保監督は、取材に関わったスタッフ全員と握手を交わしたほか、2ショットの写真撮影にも気兼ねなく応じていた。ワールドカップの活躍によって、森保監督自身も、高齢女性など、これまでサッカーへの関心が薄かったと思われる世代からも声を掛けられる機会が増えたという。

森保監督が常々口にする「サッカーの魅力、素晴らしさを知ってほしい」という言葉。そのために、出会った1人1人との時間を大切にする森保監督のポリシーや人間性を垣間見た気がした。

(テレビ長崎)

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