女の子の幸せと健やかな成長を願うひな祭り。そのシンボルである「ひな人形」が時代とともに変化している。飾るにはまだ早いかもしれないが、一足先に始まっている”ひな人形商戦”をビジネス的な観点で取材した。

インスタで話題「白一色のひな人形」

「大進」が広島市内で、ひな人形の販売展示会「雛博」を開催。若い世代の人にも受け入れてもらえるように従来の”昭和感”を取り払い、会場の装飾や雰囲気を工夫したという。

広島市南区で開かれた「雛博」の会場
広島市南区で開かれた「雛博」の会場
この記事の画像(11枚)

高いひな段に飾られた豪華なものから、現代の主流とも言えるコンパクトなものまで多くのバリエーションが展示されている。まずは2023年の売れ筋商品を紹介してもらった。

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
2023年に初めて展示即売された「HAKI」という商品が人気になっています

インスタグラムで話題の「夢見屋 HAKIシリーズ」。人形、着物、台座、ぼんぼり、屏風まですべてが真っ白。白一色に絞ることで西陣織の質感が際立ち、何ともおしゃれだ。そして人形の顔には目も鼻も口もない。あえて顔を描かず、家のインテリアに馴染むようにしたところが特徴である。

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
こういう白だったり淡い色、パステル調の商品が売れている傾向があります

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長
大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長

いつまでも飾れるインテリアへ

ひな人形を飾る場所も変わってきている。昔は和室が多かったが、今ではマンションのリビングや棚の上。飾る場所の雰囲気に合うように、台座や小物が”ウッド調”の商品も人気なのだとか。

ひな人形の台座や小物は優しい木目調
ひな人形の台座や小物は優しい木目調

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
ウッド調の商品は落ち着いた色合いで、大人になって飾っても違和感がないと思います

子どもが育って大人になった後も「いつまでも飾れる」という点も意外に大切なポイント。
また、ひな人形は「顔が命」と言うが、その”顔だち”の流行も変化してきている。

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
鼻が高く鼻筋が通っていて、今風の顔だちの人形が売れていたり

”今風の顔立ち”が人気のひな人形
”今風の顔立ち”が人気のひな人形

たしかに伝統的なひな人形と比べると、小顔で目は切れ長、鼻筋が通っているのがわかる。ひな人形界にも「イケメンブーム」が到来しているわけだ。

イケメンのお内裏様
イケメンのお内裏様
小顔で美人なおひな様
小顔で美人なおひな様

少子化を勝ち抜くための販売戦略

変化するのは人形だけではない。ひな人形の業界自体が大きく変わってきている。この伝統ある業界を襲ったのは”少子化”の波だ。

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
お子さんの出生数が非常に減ってきているので、市場規模はここ数年で一気に下がり、20年前と比べると半減するくらいの規模にまで減ってきている。それに加えて、販売の主流がインターネットになっているので

縮小する市場のライバルはインターネット。そこで対面販売の強みを最大限に生かそうと展示会の装飾をリニューアルしたり、SNSなどのマーケティングリサーチも徹底した。

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
インスタグラムでよく取り上げられていて”いいね”の反応が多いものはそれだけ支持されているということなので、そういった商品を探すのも一つ

購入特典のプレゼント内容にもこだわり、ママたちが喜ぶような北欧雑貨や子育てグッズを用意した。

「雛博」の購入特典として用意されたプレゼント
「雛博」の購入特典として用意されたプレゼント

そして、将来に向けた販売戦略の根幹となるのが「オリジナル商品」の開発だ。

大進 マーケティング部・田村雅紀 副部長:
今のお客に支持される人形の顔立ちと着物の色、それに台座や屏風の色。このトータルバランスのいい商品はあっという間に売れてしまう。素材から色合い、どういう色のコンビネーションやグラデーションにするとかという点までを戦略的に考え、2024年のオリジナル商品開発に向けてすでに動いております

春らしいパステルカラーの「大進オリジナル商品」
春らしいパステルカラーの「大進オリジナル商品」

厄払いの「流しびな」が起源と言われるひな人形。流すものから家で大事に飾られるものへと変化し、昔は裕福さの象徴でもあった。今ではライフスタイルに合わせ、コンパクトでおしゃれなものへ…。いつの時代も変わらないのは、親が子の幸せを願う気持ちと、それを支える職人・商人の努力なのかもしれない。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。