東京電力の経営陣などが1月17日、新潟県庁で花角知事と面会した。政府が2023年夏以降の柏崎刈羽原発再稼働の方針を示す中、「地元の信頼を得る」と誓う東京電力だが、花角知事は「信頼を失っている」と苦言を呈した。

東電経営陣が知事と面会も…冒頭で謝罪

杉本一機キャスター:
東京電力・小林会長と小早川社長が県庁に到着しました。新年の挨拶のため、花角知事と面会します。政府も方針を示した原発再稼働に向け、具体的な話はあるでしょうか

新型コロナウイルスの影響で3年ぶりとなった東京電力経営陣による知事への新年の挨拶。

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小林喜光会長が2021年の就任後、花角知事と面会するのは初めてで、内容が注目された会談だったが、その冒頭…

柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長:
未明・早朝からお騒がせして申し訳ありません

花角知事:
ノートパソコン?

柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長:
ノートパソコンからの出火ということ

東電側が知事に謝罪
東電側が知事に謝罪

東電側が口にしたのは謝罪。1月17日午前4時前、柏崎刈羽原発の免震重要棟の会議室でノートパソコンのバッテリーから出火した。

火は社員による初期消火で約30分後に鎮火し、建物などへの影響はなかったが、面会当日に起きた心配な出来事に…

花角知事:
ちょっと、びっくりしました

東京電力 小早川智明 社長:
大変失礼しました

新潟県 花角知事
新潟県 花角知事

再稼働に向けた動き加速も…花角知事は苦言

柏崎刈羽原発をめぐっては、核物質防護の不備を受け、事実上の運転禁止命令を出している原子力規制委員会が2023年3月までに検査結果をまとめ、命令を解除するか判断する見通しだ。

政府が柏崎刈羽6・7号機などを2023年夏以降、再稼働させる方針を示す中、会談では…

東京電力 小林喜光 会長:
エネルギーの情勢にだいぶ変化があった。そういった情勢を踏まえ、原子力発電の役割に関心が集まっているが、安全最優先で地元や社会の皆さんから信頼いただける発電所をつくる

東京電力 小林喜光 会長
東京電力 小林喜光 会長

花角知事:
残念ながら、一昨年の核物質防護の事案含めて、信頼をなくす事案が続いてきた。今のままでは信頼を失っていると申し上げざるを得ない

東電側が原発再稼働の必要性をにじませつつ、柏崎刈羽の安全性向上の決意を伝えたのに対し、花角知事はこの間の対応に厳しい表現で苦言を呈した。

東電「原子力なしで過ごすのは難しい」

会談後、東電は原発再稼働について「時期は示せない」としたうえで、改めてその意志を語った。

東京電力 小林喜光 会長:
いかに安いコストで、安定した電力を供給するかというのは最大の使命だと思っている。そういう中での一つとして、原子力も位置づけたい。やはり原子力なしで過ごすということは難しいのではないか

一方の花角知事は「原発に関する県の3つの検証が終わらないかぎり、再稼働議論はしない」との姿勢を崩していない。

杉本一機キャスター:
会長からエネルギー情勢が変わっているという話があったが、知事としては原発の必要性をどう考えている?

花角知事:
柏崎刈羽を動かすかどうかは、県の検証の結果を踏まえて議論していきたい

原発再稼働をめぐる動きが慌ただしくなる中、地元の同意の行方は不透明なままだ。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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