コロナ禍の中、インフルエンザも猛威を振るっている。東海3県も3年ぶりにインフルエンザの流行期に入った。これまでコロナ患者の対応に追われていた往診の光景にも変化が生じている。
ここ2~3年の「インフル」ワクチン未接種や未感染が原因か?
新型コロナの感染拡大以降、患者の下に赴く往診の依頼が殺到する「家来るドクター」。

感染状況が落ち着いていた2022年10月に比べ、大半の病院が閉まっていた年末年始は、依頼が5倍ほどに急増した。
年をまたいで再拡大したコロナの感染。取材した2023年1月12日、事務所を置く愛知県北名古屋市のクリニックでは、スタッフが電話対応に追われていた。

西春内科・在宅クリニックの福井康大院長:
体感としては第7波に近い形で対応させていただいていまして、一部要請にお応えできない時もある状況です。年末年始の移動による感染範囲の拡大は、すでに反映されてきているのかなと思います
午後7時、往診を待つ患者のもとへ「家来るドクター」が向かった。

北名古屋市の20代の男性。前日から39度の発熱と頭痛に苦しんでいた。

検査でコロナは陰性だったが、同時の検査で猛威を振るう「もう1つの感染症」が判明した。
医師:
あー、インフルエンザですね。インフルエンザはA型とB型があるので、A型の方にはっきり線が入っているので、インフルエンザA型ということ

男性はインフルエンザに罹患していた。
医師:
インフルエンザだとタミフルというお薬がありますので、そちらの方を朝夕2回・5日分出しておきます
コロナを疑っていたらインフルエンザ。こうしたケースの患者が今急増しているという。
医師:
(検査は)コロナを先にやって、陽性じゃなさそうだとインフルもやると、「あら結構出たね」っていうのが多いですね。(検査しないと)僕らも正直どっちか分からないのでやっているんですけれど
東海3県でも急増する、1医療機関あたりのインフルエンザ患者の報告数。3県ともすでに目安となる「1」を超え、流行期に入っている。

直近で「4.65人」と感染が広がる愛知では、2年10カ月ぶりに瀬戸市の小学校で、インフルエンザによる学級閉鎖となっている。
医師によると、家来るドクターの往診でも、12月は5%未満だったインフルエンザ患者の割合が、ここ数週間で10%ほどにまで増加しているという。
次の訪問先は、一宮市で同居している20代の男女。発熱や喉の痛みなどが数日続いている。往診中も咳が止まらない。

検査の結果、女性はインフルエンザ「陽性」。男性はコロナ・インフルエンザともに「陰性」だったが、同居という環境と症状から、医師がインフルエンザと判断した。
医師:
どっちもタミフル出そうか。最近インフルエンザが出てくるようになりましたもんね
女性:
ワクチン打ったんですけど…
医師:
ワクチンに関しては、かからないというよりは重症化しない、そういうことが起きないようにというやつなので
この日は6時間の往診で12人を検査したが、3人がインフルエンザと診断された。
コロナ禍の中で猛威を振るうインフルエンザ。2023年に入って「同時感染」のケースもあったという。
西春内科・在宅クリニックの福井康大院長:
(同時感染は昨年や一昨年はなかった?)ゼロでしたね。同時陽性になると、重症化するリスクも高くなるというデータが出ていますので

なぜ2023年はインフルエンザも流行しているのだろうか。
西春内科・在宅クリニックの福井康大院長:
この2〜3年の期間、感染することもなく、ワクチンを接種することもなくこられたが故に、感染しやすい状況になったのではないかなと。(インフルエンザに)感染する機会が減ったことが大きな理由かなと思います。感染しなければ免疫を獲得することもない
そのほかにも、最近は検査の結果、季節性の風邪と診断される患者が全体の半分ほどを占め、家来るドクターのニーズは高まる一方だ。

医師:
人が動いた後なので、寒くもなりましたし、インフルエンザもそこに加わってきているという状況だと思います。なかなか病院に行けないという人に、安心だったりお薬だったりを届けられればいいかなと思います
(東海テレビ)