ロシアでは今、志願兵を集めるための「宣伝動画」が出回っている。
ドラマ仕立ての宣伝動画
真剣な表情の男性たち。
この記事の画像(20枚)そのうちの一人が語りかける。
「若者たちが戦場にいる。人々はナチスに苦しめられている。俺たちは、こんなところで人生の不満を言っている場合じゃない!」
これは、志願兵を集めるために作られたドラマ仕立ての宣伝動画だ。
こうした動画は10種類以上制作され、ロシア国内で流れているという。
“軍隊入れば救われる”エピソードの数々
例えば、こんな動画がある。
買い物に来た高齢の男性。ソーセージを手に取るが、財布を開けると金がない。
貧しい暮らしを送るなか、男性が自分の車を売ることを決意したところ、孫が現れる。
「おじいちゃん!もう車を売る必要はないよ。僕は軍隊に入ったんだ」
孫が軍隊に入って給料をもらい、男性が救われるというストーリーだ。
また、別の動画では、父親が娘に「申し訳ないんだが、まだ給料をもらってないんだ。お前にしか頼めなくて…」と話す。
すると、金に困った父親に娘が自分の貯金箱を渡す。
「パパは昔、軍隊でケガをしたの。今は工場で働いていて、すごく苦労しているみたい」と話す娘。
その話を部屋の外でこっそりと聞いていた父親が、心配する娘のためにもう一度軍隊へ入ることを決意する。
そして、戦場から父親が帰還。
軍隊で貯めた給料で、娘がほしがっていたスマホを買ってプレゼントする。
他の動画も、軍隊に入ったことで憧れの女性をデートに誘う勇気が出たり、酒浸りの毎日にうんざりした男性が軍隊入りしてピカピカの新車とともに現れたりするなど、どれも軍や兵士を美化するものばかりだ。
しかし、実際の戦場では“きれい事”は通用しない。
ウクライナ側が公開した映像に映っているのは、ロシア側の兵士とされる。
戦場では、容赦なく弾丸が飛び交う。
ウクライナ側によれば、15日に追加動員を計画しているというロシア。
2022年の動員令では大量の人が国外に逃げ出したが、宣伝動画は国民の意識を変えられたのか。
(「イット!」1月12日放送より)