資産形成への関心度が高まっている今、SNSやYouTubeを通して投資に関する情報を集めている人も多いのではないだろうか。

YouTubeで投資情報を発信しているアカウントの中でも、注目を集めているのが、松井証券のYouTubeチャンネル。

特に「マヂラブ」ことマヂカルラブリーや投資家のテスタさんが出演する「学べるラブリー」は、130万回再生を超えている動画もあるほどの人気シリーズだ。

松井証券のスローガン「投資をまじめに、おもしろく。」を体現したような動画は、どのように生み出されてきたのだろうか。

動画にも出演している松井証券投資メディア部プロフェッショナルの武藤正樹さんに、制作の裏側を教えてもらった。

とっつきづらい金融知識を“お笑い”で翻訳する動画

武藤さんは「学べるラブリー」をはじめとしたYouTube動画の企画・制作を手掛けている。

現在のようなユニークな内容に行き着いたきっかけは、自身が抱いていた課題からだったと話す。

「もともと対面型のセミナーを担当していて、2つの課題を感じていたんです。1つは、セミナーだと人数が限定され、一度に多くの方に伝えられないこと。

もう1つは、投資というカテゴリ自体が難しくとっつきづらい内容で、ハードルを感じてしまうこと。ただ、すべてを初心者向けにしてしまうと、すでに投資経験がある人の満足度が下がってしまうので、一定の知識を盛り込みつつも伝わりやすい内容にできないかと、検討しました」

昨年9月から配信されたシーズン6では米国株について解説(提供:松井証券)
昨年9月から配信されたシーズン6では米国株について解説(提供:松井証券)
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以前からお笑い好きだった武藤さんは、バラエティ番組のノリこそ、金融の知識を届けるために必要なのではないかと考えたそう。

「お笑い芸人さん=専門家が話すことに対するリアクションがうまい人たちという認識があったので、金融にも転用できるんじゃないかと考えたんです。また、動画なら大勢の人に届けられますよね。世の中のバラエティ番組を参考にして、進行役、専門家、リアクターとなる芸人さんがいる形の動画をつくることになりました」

そして「学べるラブリー」の初回が2020年7月10日に配信された。
 

実は、この時のマヂカルラブリーは、2020年のM-1グランプリ優勝前。メディアへの露出も少なかった時期だが、起用に至った理由は何だったのだろうか。

「劇場にお笑いの公演を見に行った際に、不思議で面白いネタをするのに、トークでは真面目なことを話すというギャップに驚かされたんです。

ステージに立った時の華やかなオーラにもひかれて、マヂラブの2人にお願いすることにしました。野田さんも村上さんも投資の経験や知識はなかったようで、『なんで僕らにオファーが来たんだろう?』という感じでしたね。

(2020年に)M-1グランプリで優勝したあとの2021年には、SNSなどで『松井証券のYouTubeに去年からマヂカルラブリー起用してるの、先見の明ありすぎて証券会社として信用できる笑』といったコメントをいただきました(笑)」
 

動画の内容は「松井証券が届けたい商品やサービスと世の中の人が知りたがっている情報のバランスを考え、決めている」という。構成は、制作を進めるにつれて変わってきたようだ。

「シーズン1はセミナーの延長のような構成でしたが、マヂラブ起用の反響が大きかったので、2021年2月にスタートしたシーズン2からはコント調に変化させて、お笑いの要素を濃くしました。同時に、個人投資家のテスタさんにも加わっていただき、具体的な投資技術に関する話の分量も増やしました。

シーズン1ではお笑いファンの視聴者が多い印象だったのですが、シーズン2からは投資に興味のある人のウェイトが増しましたね。金融に関する情報をお笑いで翻訳するという当初の目的が、うまく回り始めた実感が湧きました」

投資のレベルと目的に応じて動画を展開

武藤さんは動画を制作するうえで、意識しているポイントがあるという。

「投資のレベル感と動画を視聴する目的ですね。『学べるラブリー』は、あえて投資初心者にはちょっと難しいレベルに設定しています。投資初心者向けの情報は世の中にあふれています。

でも、基礎を学んで次のレベルの情報を探そうとすると、いきなりチャートのテクニカル指標といったハイレベルなものになってしまい、その間の情報が少ないことに気づいたのです。

そこで『学べるラブリー』を、基礎とハイレベルの間を補完する内容にしようと考え、株取引であれば板やチャートの基礎的な説明から、具体的な使い方まで解説するような動画にしています」
 

「学べるラブリー」は少しでも投資に触れたことがある層に向けたものだが、レベル感や目的に合わせて、別のシリーズも用意している。

「『夫婦のお金のじかん』というシリーズは、夫婦で芸人をしている夫婦のじかんに登場してもらい、お子さんがいる家庭のお金の困りごとを解決する初心者向け。『投資のクリニック』は、投資経験が一定のレベルに達している人に向けて、もう一歩レベルアップする秘訣を紹介する動画になっています」

ちなみに、「学べるラブリー」でもっとも再生されているのが、テスタさんがトレードしている様子を見せた動画だった。
 

「この動画も含めて、実際の投資技術に言及している動画は多く視聴される傾向があります。具体的な投資手法を知りたい、というニーズがあることがわかりますね」

具体的な投資手法を知りたい人に向けて、武藤さんは2022年12月9日に配信されたばかりの動画をおすすめとして挙げる。

その内容は、マヂカルラブリーの2人がデイトレードに挑戦したものだ。
 

「この動画には“投資あるある”が詰まっています。投資初心者だと、含み損を抱えてしまうと買った時の値段まで戻ることを願うと思うんですが、今の値段から上がるか下がるかを考えて行動するべきなんです。ドタバタ劇の中にそんな要点を盛り込んでいるので、楽しく動画を見ながらも、投資経験者は共感でき、初心者にはいい教材になると思います」

松井証券の動画は、座学から情報を蓄えるだけでなく、実践につながる気づきを得てほしいという思いも込めている。

「『学べるラブリー』は、知識を得る座学が主ですが、たまに実践的な内容も入れています。金融知識を学ぶにあたっては、座学だけでは実際に取り引きするには足りず、実践だけではちゃんとした知識が得られないといったことになりかねません。座学と実践をバランスよく取り入れて、投資に踏み出すきっかけにしてもらえたらと考えています」

エンタメ要素を取り込んだ形で投資に関する情報を発信している松井証券。金融に関する情報を届ける際に、証券会社として大切にしていることとはあるのだろうか。

国内で明確に高まっている「投資への関心」

「金融機関に期待されていることは、2つの情報を届けることだと考えています。1つは、今の情報。

例えば、アメリカのCPI(消費者物価指数)がどのくらい上がったかといった鮮度の高い情報です。もう1つは、普遍的な情報。長期・分散・積立の重要性など、10年先でも投資する上で大切になるであろう情報です。

私が届けているのは後者で、普遍的な情報に“面白い”味つけをし、YouTubeの動画にして届けています。ただし、証券会社として正しく情報を伝えることが大前提のため、動画から面白さを抜いた時に、必ず必要な情報が残るように制作しています」

証券マン歴20年という武藤さん。日本における投資への関心度の変化について聞くと、投資熱の高まりは過去にないほど熱いと語る。

日本における“投資熱”は過去にないほど高いという(画像:イメージ)
日本における“投資熱”は過去にないほど高いという(画像:イメージ)

「これまでも相場の波に合わせて関心が高まるタイミングはありましたが、今ほど高まっているのは初めてだと思います。コロナ禍や物価高騰を経験し、給料だけでは足りない、投資は避けて通れないと気づいている人が増えているのだと感じます。

世の中的にも、S&P500やNYダウといったアメリカの指数に連動する金融商品が低コストで買えるようになるなど、投資に踏み出しやすい環境が整ってきていることもあって、関心が高まっているのでしょう。金融機関としては、より取引しやすい環境を整えること、知りたい情報を届けることがミッションになるだろうと考えています」

徐々に高まりつつある資産形成・投資への関心をフォローするように、見やすい形で情報を発信している松井証券。すき間時間に動画を見て、投資について学び、一歩を踏み出すことで、将来のビジョンが変わっていくかもしれない。

松井証券YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@MatsuiSecurities

取材・文=有竹亮介(verb)