石狩の当別町がチャットGPTの実証実験を開始してから1カ月が経過した。
職員からは概ね好評なようだが、安全対策や事実確認など、課題も明らかになってきた。
「チャットGPT」で業務効率化
当別町の8月の広報誌に、AIが直した文章が掲載されていた。

まずは、職員が書いた文章。
「優勝した時は、まずはやっと終わったという気持ちでした」
それをもとにAIが直したものがこちら。
「優勝した瞬間、まず感じたのは『やっと終わった』という安堵感でした」
文章を担当した職員は、
「自分にはない語彙力や新しい表現を返してくれるので、こういった言い回しができると勉強になる」(職員)

職員が使っていたのは「チャットGPT」。

”業務効率化”を目指す当別町は、7月下旬から実証実験を開始した。
行政に「チャットGPT」 その効用は?
1万字を超える議事録を90文字程度にまとめ、町民へのお知らせを作る議会事務局でもチャットGPTを活用している。

「残業だと一日3時間程度しなければいけない日があった。1週間くらいは確実に続くときがある。チャットGPTが要約をしてくれれば時間外勤務は無くなるとみていいかなと」(職員)

町では主に文章の要約やあいさつ文の作成などに活用している。
作りたい文章により近づけるため重要なのは具体的な指示だ。

「要約文を三点にまとめる、重要なキーワードを取りこぼさない、文章の意味を変更しない、課題の解決策を一つ提示してと」(当別町 デジタル都市推進課 根府 真音 さん)
こちらは修正前と修正後の文章。


文字量は半分程度になっているが、修正は一部の不自然な言い回しに留まっているという。
「文章も違和感なく生成してくれるので、作業量は十分の一くらい」(当別町 デジタル都市推進課 根府 真音 さん)

空いた時間は”町民”のために
職員からも作業が軽減したとおおむね好評だ。
「議事録を作成するのに2時間から3時間かかるが、相談できる相手として投げかける。レイアウトをどうしようか迷っているので何案か出してほしい。こんなレイアウトはどうか、と投げかけてきた。これだと考えていることが違うのでこういうふうにしたい、と会話しながら進めていくので仕事していて楽しい」(当別町職員)

一方、心配なのは安全対策だ。
町はガイドラインを作成し対応している。

重要なのは「事実確認」だという。
「当たり前に個人情報や機密情報は入力しない。結果が返ってきたことに嘘が混じっていることもあるので必ず事実関係を確認する」(当別町 デジタル都市推進課 碓井 洋寿 主幹)

また、当別町のチャットGPTは一般のインターネットではなく行政専用のネットワークを使っていて、情報流出のリスクは低減されている。

役場の新たな試みに町民は、
「笑顔で目を見て職員と話せる時間があれば信頼関係ができて利用しやすくなる」(町民)
「札幌市の隣町だがなかなか当別町を知っていただけていない。いい町だな、と思うような活動に回してほしい」(町民)

当別町ではこれからも新たな技術を取り入れたいとしている。

「新しい技術に職員が慣れることが大事。今後、新しい技術が続々と出てきたときに時短、クオリティを上げて仕事に活用できる」(当別町 デジタル都市推進課 鰐淵 真太郎 課長)

業務に追われていた時間を町民のために活用したいとする当別町。
9月末まで実証実験し10月の本格導入を目指している。
