2023年の干支は「うさぎ」。近年はコロナ禍の巣ごもり需要もあってか、飼育する人が増え続けているという。

そんな流れもあり、うさぎの魅力や生態についての投稿が去年もSNSで話題になった。うさぎ年に飼い始めようか検討している人に専門家の解説とともにお伝えしたい。

まずは「サラリーマンがうさぎ沼にハマった瞬間はこちら」とのコメントと共に投稿された1枚の写真。まるでぬいぐるみのようなかわいいうさぎが映っている。

アンジーちゃん(提供:うさぎと暮らしと。さん)
アンジーちゃん(提供:うさぎと暮らしと。さん)
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投稿したのは、飼い主の「うさぎと暮らしと。」(@kaneki3milk)さん。映っているのは、撮影当時3~4歳だったネザーランドドワーフのアンジーちゃん(メス)だ。

抱っこをしていたところ、あまりにもかわいくて撮影したそうだ。どんな部分が“うさぎ沼”なのかを聞くと、「犬や猫のような甘えた仕草などはしないのですが、時折見せる可愛い姿や、行動にハマった」という。

6歳の時のアンジーちゃん(提供:うさぎと暮らしと。さん)
6歳の時のアンジーちゃん(提供:うさぎと暮らしと。さん)

続いては、「ウサギお触り一覧表」とのコメントと共に投稿された写真には、触る部分によってどのような反応をするのか説明が書かれたイラストがある。

耳・頬:ウザい
頭部・顎:ギリ許す
背中:気分によっては殺す
腹部・後脚:殺す
前脚:ギリ許さない
尻尾:ブチ殺す

ウサギお触り一覧表(提供:発芽さん)
ウサギお触り一覧表(提供:発芽さん)

表現は過激だが、イラストによるとうさぎは意外と触られるのが苦手なのだろうか。

投稿したのは、発芽さん(@Hatsuga_24)。イラストを描いた理由を聞くと、「触る場所によって反応に違いがあったので色々触って調べてみたのが始まりです」とのことだった。

「イラストの許さない部分に触ると、めちゃくちゃ嫌がって逃げてしまいます。しかし、機嫌がいい時はどこでも触らせてくれる時もあるので、うさぎの個体差や気分次第だと思います」とも教えてくれた。

このお触り一覧表にネットでは、「めっちゃ当たってるwww」「ほんとにその子の性格と気分次第ですよね……!」などと共感するコメントが寄せられた。

うさぎは臆病でストレスに弱い

かわいい姿で撫でたくなるが、実は触ると嫌がるのがうさぎの性格なのだろうか?また、飼育する際の注意点も知りたい。

気になる疑問を、うさぎの病院「さいとうラビットクリニック」の本院「斉藤動物病院」の斉藤将之院長に話を聞いた。

提供:うさぎと暮らしと。さん
提供:うさぎと暮らしと。さん

ーーそもそもとして、うさぎの生態を教えて

うさぎは草食動物です。野生の下では狩られる立場にあり、素早く動けるように後ろ足の筋肉が発達しているなど、逃げるのに適した体になっています。

また性格は、個体差によりますが臆病でストレスに弱いところがあります。怖い!と思ったとき必死になって暴れて逃げるうさぎもいれば、縮こまってすぐに観念するうさぎもいます。

アンジーちゃん(提供:うさぎと暮らしと。さん)
アンジーちゃん(提供:うさぎと暮らしと。さん)

ーー飼育する際の注意点はある?

野菜は繊維が含まれているから「うさぎの主食になる」と思われていることがあります。うさぎは、野菜の繊維量では十分な栄養を取ることはできません。


ーーでは、何を与えるといいの?

うさぎは牧草を中心にあげてください。しっかり牧草を食べさせましょう。牧草だけでは摂取しにくい栄養を取るためにペレット(ラビットフード)もしっかり食べさせてください。食べさせてはいけないとまでは言いませんが、野菜や果物、エン麦などのおやつはご褒美程度に上げましょう。

4歳のネザーランドドワーフのミロくんも飼っている(提供:うさぎと暮らしと。さん)
4歳のネザーランドドワーフのミロくんも飼っている(提供:うさぎと暮らしと。さん)

ーー飼育するには、どんな環境が適している?

うさぎは寒さには比較的強いですが暑さにとても弱いです。飼育する際は、夏場は必ず1日中エアコンをつけていられる部屋で暮らした方がよいです。寒暖差にも弱いので、冬場でもつけたままにして、つけたり消したりとしない方がよいでしょう。

また、ケージの中だけでなく、ケージの外にサークルを作ってしっかり運動できるスペースを作るとよいでしょう。

上下関係をしっかり決める。自分より下位でも頭だけは触らせる

ーーうさぎは触られるのが苦手なの?

個体差によりますが、触られるのが苦手なうさぎばかりではありません。

うさぎは飼い主を含めて、だれが偉いか上下関係をしっかり決めます。そこで、うさぎが飼い主よりも自分の方が優位だと決めた場合、頭だけは触らせてくれます。うさぎ同士でも優位のうさぎは下位うさぎに頭を舐めさせることがあります。そのため頭部は「ギリ許す」なのでしょう。

しかし、頭部以外を触ろうとすると「てめぇ、下位のくせにどこ触ろうとしてんだ!」と怒っているのかもしれません。臆病だけど強気なところがあります。

急に耳だけ掴んで持ち上げようとしたり、羽交い絞めにされたりすれば上下関係は関係なしに、肉食動物に捕食される、などの恐怖を感じて逃げ回ることもあると思います。

提供:うさぎと暮らしと。さん
提供:うさぎと暮らしと。さん

ーー触られると苦手な部分はある?

当たっているかどうか何とも言えませんが、足の部分が「殺す」なのは、そこを攻撃されたら自分は逃げる行動ができなくなるという警戒から来ているのかもしれません。尻尾の部分は、自分の見えない場所が触られるのでとても驚いてしまうのかもしれません。


ーーどこを撫でると喜ぶ?

触ると喜びやすい部分はやはり頭部だと思います。背中も撫でると喜ぶうさぎも多いですが、ブラッシングなどで嫌な記憶がある場合、触られないよう警戒することもあります。

提供:うさぎと暮らしと。さん
提供:うさぎと暮らしと。さん

ーー喜ぶとどんな行動をする?

喜んだり楽しんだりしている行動に特徴的な所はありませんが、たまに喜んでいる時に鼻をプププと鳴らすうさぎを見ることがあります。

怒っている時は、明確で足を床にダンダン叩きつけてきます。また、怒っているのを通り越してヒステリックになり「キィー!」と鳴き叫ぶことがあります。この場合、うさぎ自身が怪我を負ってでも逃げようとするため扱いが危険なこともあります。

 

もちろん個体差があるようだが、斉藤院長によると「しっかりうさぎと向き合って、ストレスをかけない程度にコミュニケーションをとれば、しっかりと触らせてくれる子になるでしょう」とのことだった。興味のある人は、こうした生態を理解した上でうさぎを飼うことを検討してほしい。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。