59年前のジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件に関わる記録文書の公開がまた規制され、謎解きが先送りされる中で米国の中央情報局(CIA)が犯行に関与していたという陰謀説が再燃している。

暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領(1963年)
暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領(1963年)
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バイデン政権は、この事件の政府文書を公開することを求めた1992年の法令に基づいて15日、13173通の文書を公開した。

それにあたってホワイトハウスの報道官は「これでケネディ大統領暗殺事件に関わる情報はほとんどが公開されたとバイデン大統領は信じています」と語ったが、実はこれで全てではなく、さらに約4400通の文書が引き続き非公開とされることも発表された。

暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領(1963年)
暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領(1963年)

しかも、新たに公開された文書はほとんどがこれまでに公開されながらも人名や日時、住所などが隠されていた部分を明らかにしただけでこの事件の背景を明らかにするものではなかった。そこで報道陣の関心も、公開された文書よりも非公開のものの内容に集中することになった。

そうした中でフォックス・ニュースの看板キャスターのタッカー・カールソン氏が15日の放送で爆弾発言をした。

タッカー・カールソン氏
タッカー・カールソン氏

「今日私たちは、引き続き非公開扱いされている中央情報局(CIA)の文書を見ることができ、その内容を熟知している人物の話を聞くことができました。私たちは直裁的にこう尋ねました。『CIAはジョン・F・ケネディ米国大統領の殺害に手を貸していた事実があるのですか?』彼の私たちに対する答えを正確に再現するとこうです。『その答えはイエスです。(CIAは)手を貸していたと信じます。当時の米国は今では考えも及ばないような違った国だったのです。すべては偽情報だったのです』​」

ケネディ大統領は、CIAが1961年キューバ亡命人を使ってキューバ逆上陸作戦を展開して失敗した「ピッグス湾事件」をめぐる怨恨から暗殺されたという陰謀説が知られる。

作戦の最終段階で大統領が米国の援助を停止したことや、その後CIA幹部の更迭、CIAの解体も検討されたと言われてたことに恨みを抱いたものが共産主義者のリー・オズワルドを使ってケネディ大統領を暗殺したという「CIA関与説」で、いまだに広く流布されている。

実行犯とされたリー・オズワルド容疑者(1963年)
実行犯とされたリー・オズワルド容疑者(1963年)

カールソン氏の情報源が言うのがそういう陰謀説かどうかは分からないが、この放送にケネディ大統領の甥で後にやはり暗殺されたロバート・ケネディ司法長官の二男ロバート・ケネディ・ジュニア氏がいち早く反応し, 18日このようなツイッターをアップした。

ロバート・ケネディ・ジュニア氏
ロバート・ケネディ・ジュニア氏

「この60年間で最も勇気づけられたニュース報道だった。CIAによる私の叔父の暗殺はクーデターが成功したことであり、私たちの民主主義はいまだに回復できていない」

ツイッターはカールソン氏の写真とそれをクリックすると同氏の放送がユーチューブで再生できるようになっている。

いわゆる「ケネディ暗殺文書」はこれまでに51回にわたって少しづつ公開されてきたが、それは出し惜しみのようにも見え逆に行政府への不信感を煽ってさまざまな陰謀説を拡散させているように思える。

暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領と家族
暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領と家族

バイデン政権は、今回非公開にとどめた約4400通の文書について来年6月までに公開するよう指示したと言うが、はたしてこの暗殺事件の謎を解くことができるのだろうか。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】