札幌市から直線距離で約32キロ。いま空知地方の南幌町に移住し、家を新築する人が増えている。南幌町の何が人を引き付けているのだろうか。

札幌市民に"マイホーム購入"について聞いてみると…

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札幌市民:
札幌市内は高いです。他の地域より500~1000万円は、高いんじゃないか

夢のマイホーム。いつかは建てようと思っても、札幌市の土地は10年連続で上昇中だ。

札幌市でマイホーム購入のハードルが上がり続ける中、注目を集めている町が南幌町だ。

札幌市から直線距離で約32キロ。北は江別市、南は北広島市に隣接している。

のどかな田園地帯が今、建設ラッシュに沸いている。移住する人が増え南幌町の人口は2022年5月、23年ぶりに増加に転じている。

南幌町がなぜ人気なのか?  2022年3月、札幌市から移住した家族に密着した。

宗万博之さん:
子どもが生まれるのがきっかけで、広いところに住みたくなりました

宗万博之さんの家族。長男が生まれたことをきっかけに、南幌町でマイホームを購入した。

なんと170坪の広大な土地を210万円で買うことができたという。

1坪約12000円という安さ。その理由が…。

宗万博之さん:
子どもがいたり、40歳以下の人は(土地を)半額で買えて、さらにそこに家を建てると200万円の助成金が出るので、実質10~20万円くらいで1区画を買えて、家にお金をかけられるので建てました

南幌町の住宅地の地価は1区画約85坪で、400万円から500万円。

購入する際には土地代が50%オフになり、さらに子育て世代には200万円の助成金が出るのだ。

宗万さんは子どもを思いっきり遊ばせようと、2つの区画の土地を購入した。

宗万博之さん:
のちのち公園でもつくろうかな

南幌町で暮らし始めて9か月。通勤や買い物などに不便はないのだろうか?

宗万さんは職場がある札幌市手稲区まで車で通勤しているが、国道337号線を使うと約50分で行けるという。約30分は信号がないのだ。

宗万博之さん:
国道12号線を通ると1時間じゃ行けない。国道337号線を通ればすんなり行けます。ガソリン代は月額で2万円ちょっと

午前8時半、職場に到着。宗万さんは整骨院の院長だ。院長になったのには驚きのワケがあった。

宗万博之さん:
(整骨院を)患者さんが作ったんですよ。患者さんがいろいろ転々として『痛みがずっと消えない』ということで、たまたま僕が診させてもらった時に痛みが良くなった。10~15年くらいの痛みがなくなり感動してもらったので(患者さんが)『ひとりでやらないの?』と言われて

宗万さんの腕前にほれ込んだ患者さんが、自分の会社に整骨院をつくり宗万さんを院長にしたという。

開業から半年、常連の患者さんも増えた。

(Q:札幌でマンション住まいだったら?)
宗万博之さん:
子どもが奇声をあげて、毎日クレームがくると思う

子どもが家の中でも遊べるようにとお風呂などの水回りは2階につくり、1階のリビングを広くした。

買い物はほとんど休日にまとめ買い。この日、来たのは札幌市清田区のコストコ札幌倉庫店。

宗万さんがいつも買うのは、何にでも使えるディナーロールとアメリカ産牛肉のミスジだ。

宗万博之さん:
やわらかくて国産よりおいしいし、でかいし、脂がのっている

この日は、子どものおもちゃやバームクーヘンなどいろいろ買った。

宗万まりえさん:
だいたい1回で食べられる分くらいを小分けにして冷凍しています

保存するのは冷蔵庫ではなく大型の冷凍庫。マイホームの設計段階で冷凍庫が置ける場所を確保していた。

宗万 まりえさん:
スーパーにあまり行けないので、子どもがいるのでまとめ買いしていっぱい冷凍したいなと

南幌町での新生活をエンジョイする宗万さん家族。移住を決めた理由はほかにもある。

宗万博之さん:
子どもがいる家庭に毎年10キロくれる

南幌町では「子育て支援米」として、町内の子ども1人につき毎年10キロのお米を支給している。

宗万博之さん:
お米食べるので、ありがたいです

ほかにも18歳までの医療費を全額助成。さらに高校生の通学費を最大1万円まで補助する制度などもある。

南幌町の子育て支援策の本気度を示す施設も完成予定だ。

2023年5月にオープンする「はれっぱ」は、人工芝や遊具を備えた全天候型の屋内施設で、外遊びができない冬でも子どもが思いっきり遊べる。

土地の購入者や子育て世代に支援を手厚くしている南幌町。その背景には何があるのだろうか?

南幌町・大崎貞二町長:
南幌町の場合、平成に人口が急増した背景があります。その人たちの高齢化の割合が高い

平成の初めに宅地造成が進み、人口が急増したが、約30年が経過し、当時移住した人たちの高齢化が今問題となっているのだ。

南幌町・大崎貞二町長:
高齢化率を鈍化させたい。若い世代層や子どもがいると町が明るくなる。子育て支援に力を入れている

(Q:財源の確保は?)
南幌町・大崎貞二町長:
(支援を)続けていくことで、町づくりが始まっていける。厳しい財政状況ですが頑張っています

町は移住者が増えることで、経済が活気づいていくことを目指している。