この内容で立憲が賛成に回るとは

旧統一教会に関連して政府が提出した被害者救済法案に野党の立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成するというニュースを見てちょっと驚いた。維新、国民はともかく立憲まで賛成するとは思っていなかったのだ。

与野党協議では焦点のマインドコントロール規制について、与党が「配慮義務」を追加したのに対し維新は理解を示したが、立憲は「罰則がない」と反発していた。これに対し与党は、配慮義務を怠った場合の「公表措置」を追加で提案。しかしこれにも立憲は納得しなかった。

立憲民主党は7日、救済法案について賛成する方針を確認した
立憲民主党は7日、救済法案について賛成する方針を確認した
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しかし与党が「配慮義務」に「十分に」という言葉を入れたらなぜか立憲は軟化し、賛成に回ることになった。立憲の説明は「(十分にという言葉を)法律に入れたら効力は普通の配慮義務より格段に上がる」ということだったが、「十分に」という言葉だけで本当に効力が上がるのだろうか。

玉木氏の「言葉遊び」発言

案の定、国民の玉木雄一郎代表がSNSに「言葉遊びは法的には意味がない」と投稿し立憲を怒らせた。玉木氏は岡田克也幹事長に釈明したが、その後もSNSに「十分に、を加えたことで被害者救済の観点から具体的にどの程度の追加的な法的効果が生じるか不明。説明を伺ったが納得できなかった」と再投稿している。

国民民主党・玉木代表
国民民主党・玉木代表

マインドコントロール下にある人への勧誘の禁止規定について立憲は譲らないと思っていた。逆に政府側は内閣法制局が許さないだろうし、いったいどう落とし所を見つけるのか心配していた。結果的に禁止規定が盛り込まれなかったことに被害者側には納得していない人も多いと思う。

なぜ立憲は賛成に回ったのか。一つは今回野党のうち国民に加え、国会で共闘を組んでいた維新が賛成に回ったため立憲だけがいつまでも反対し続けるわけにはいかなかったのだろう。

もう一つは月曜に出た読売新聞の世論調査結果が大きかったと思う。調査では救済法案について「評価する」が65%で、「しない」の30%を大きく上回っていた。あの時点で与党は「配慮義務」は出していたが「公表措置」はまだ出していなかったので、僕は「世論はこの程度で満足なのか」と不思議に思った。

被害者は本当に救われるのか

何はともあれ与野党が妥協して救済法はできた。与党としては「十分に」の一言だけで立憲が賛成に回ってくれたので万々歳だし、野党側も自分たちの主張を法案にある程度反映させることができたから合格点、つまり与野党がウインウインの結果となった。玉木氏の「言葉遊び」発言はホントは言ってはいけない「不都合な真実」なのかもしれない。

「救済法案」は衆議院を通過、参議院での審議が始まった(8日午後)
「救済法案」は衆議院を通過、参議院での審議が始まった(8日午後)

確かにあれだけの短期間に法律を作り、しかも政府与党が野党の提案をかなり受け入れたことは評価すべきなのだろう。ただ玉木氏が「追加的な法的効果が生じるか不明」と言っている通り、「十分に配慮する」というふわっとした言い方では、実際の裁判でこれまでとどれだけ変わるのかは疑問だ。

【執筆:フジテレビ上席解説委員 平井文夫】

記事 319 平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。2020年4月から立命館大学客員教授。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。