2022年12月16日から新たに始まる「北海道・三陸沖後発地震注意情報」 この情報は巨大地震への備えを呼びかけるものだが、発令の大半が空振りになることも指摘されている。地震や津波から命を守るため、情報をどのように活用していけばいいのか考える。

後発の地震に注意

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、前触れとなる地震が起きたら”次に巨大地震があるかもしれない”ということを注意喚起するもの。東日本大震災のように、巨大地震の前にはその前触れとなる地震が発生するケースもある。
千島海溝と日本海溝沿いでマグニチュード7以上の地震発生した場合、15分~2時間後に内閣府と気象庁が発表し注意を呼びかける。(実際には巨大地震を正確に測定するモーメントマグニチュード(Mw)で計測)

新たな地震注意情報
新たな地震注意情報
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情報発表の対象地域は、北海道から千葉県にかけての太平洋側。福島県は新地町からいわき市までのすべての沿岸地域が対象となっている。このエリアでは、震度6弱以上の地震や3メートル以上の津波が想定されていて、最初の地震発生から1週間程度は、巨大地震への備えを徹底するよう呼びかけられる。家具の固定や避難経路の確認など平時からの備えや、すぐに避難できる体勢で就寝など避難体制の整備が基本で、社会経済活動に大きな影響を与える“事前避難”は呼びかけられない。

備えが求められる対象地域
備えが求められる対象地域

備えが被害を軽減

このような新たな運用を始める背景には、私たちの事前の備えにより被害を大きく減らせると考えられていることがある。防災のプロ 東京大学客員教授・防災マイスターの松尾一郎さんは…

防災マイスター・松尾一郎さん:
日本海溝・千島海溝は、国が巨大な海溝型地震が発生すると想定している。その時に揺れと大きな津波で亡くなる方は、約20万人と推定。福島県の犠牲者は、何も対策しなかったら1200人と国は想定している。また地震と同時に避難すれば、人命は助かると国は指摘している。

被害想定 最大死者は約20万人
被害想定 最大死者は約20万人

防災マイスター・松尾一郎さん:
ですが、いつ起こるかわからない地震に対して、常に構え続けることは難しい。であれば巨大地震のクセを利用して、命を少しでも守ろうというのが新たな『後発地震注意情報』です。クセというのは、例えば東日本大震災の時には2日前に巨大地震が起きた。巨大地震が起こる前に中規模な地震が発生するというのは、過去100年を見た時に100回に1例はあること。それを一つの取っ掛かりにして、想定エリア内でマグニチュード7規模の地震が発生したら、気象庁が分析して情報を発表しようというものです

防災マイスター 松尾一郎さん
防災マイスター 松尾一郎さん

津波経験していても 記憶が風化

災害から命を守るため、避難訓練は重要な備えの一つ。福島県が富岡町など沿岸市町と連携して行った訓練は、福島県沖で大きな地震が発生し浜通り全域で震度6強を観測。沿岸全域に大津波警報が発表されたことを想定した。

福島・富岡町での災害訓練
福島・富岡町での災害訓練

富岡町生活環境課・堀本航生さん:
当時の津波の被害というものを経験されていない方、また経験していても風化して記憶が薄れている現状もあるので、津波避難の重要性の認識を高めるために実施しました

被災経験の風化も
被災経験の風化も

この訓練には、富岡町職員や地元の小学生など約170人が参加。津波到達までは30分程度と想定され、参加者たちは高台に開設した避難所への誘導方法などを確認していた。

小学生など約170人が参加
小学生など約170人が参加

小学生(6年):
(震災当時は)赤ちゃんだったから分からなかったけど、津波とかの心配もあるから、こういう遠い所とか高い所に逃げるのは大事だなと

訓練に参加した小学生
訓練に参加した小学生

日本海溝などで大きな地震が発生した場合は、直後に大きな地震が起き津波被害も想定されている福島県・沿岸部の自治体。避難準備を求める「後発地震注意情報」の運用開始が翌月に迫るなか、このような避難訓練は、より一層欠かせないものになる。

津波被害も想定される沿岸部
津波被害も想定される沿岸部

富岡町 生活環境課・堀本航生さん:
大きな地震の後に立て続けに大きな地震が来るのは、東日本大震災の時も同様に起きている事。そういった危機意識を常に持ちながら、情報を的確に掴みながら備えたいと思っております

富岡町 生活環境課・堀本航生さん
富岡町 生活環境課・堀本航生さん

富岡町は今後、住民などに対して「後発地震注意情報」の周知を強化していくとしている。

大半が”空振り”?!

地震・津波による犠牲者を大幅に減らすことが期待される一方で、「後発地震注意情報」には課題もある。それが…後発地震は”必ず発生するわけではない”ということ。過去100年の世界のデータを見ると、マグニチュード7以上の地震発生後 1週間以内にマグニチュード8以上の後発地震が発生する確率は、100回に1回程度と考えられている。また「後発地震注意情報」の発表は2年に1回程度で、その大半が“空振り”になるとみられている。

後発地震 過去の事例
後発地震 過去の事例

99回空振りでも生きてさえいれば

防災のプロ 東京大学客員教授・防災マイスターの松尾一郎さんは、情報との向き合い方について次のように話す。

防災マイスター・松尾一郎さん:
今回の『後発地震注意情報』も、巨大地震が想定されるエリアでマグニチュード7以上の地震の1週間後に、後発の巨大地震が起こるのが100回に1回程度。99回は空振りだけど、情報が発表されて対策していなければ、福島県では1200人亡くなるんです。危険な所にいる人は逃げるべき、生きてさえいればいいじゃないですか。災害が起こらないにしても、何もなかった・よかったと言える社会にすべきだと思う

防災マイスター 松尾一郎さん
防災マイスター 松尾一郎さん

防災マイスター・松尾一郎さん:
そのために何が必要かと言うと『揺れの大きさ・襲ってくる津波の高さ・時間などのリスクを知る』『逃げ場所を話し合っておく・あらかじめ知っておく』『逃げるタイミングや情報が発表されたらどうするか決めておく』この3つの事を確認していただきたい

命を守る備え
命を守る備え

(福島テレビ)