「ペットがいるから避難しなかった」。
11年前の東日本大震災の際には、そんな情報が度々寄せられた。
そんな中、ペットと一緒に避難できるようサポートする取り組みが広がっている。

災害時ためらわれる“ペットとの避難”

福島市で動物保護施設を運営する、市議の二階堂利枝さん。33匹の犬と猫を保護している。

SORAアニマルシェルター・二階堂利枝代表:
この犬は11年前にひとりで放浪していて、それをボランティアさんが保護して、SORAにずっといる。原発から20km圏内のギリギリのところですね

この記事の画像(12枚)

SORAアニマルシェルター・二階堂利枝代表:
おばあちゃんとかが電気も水道も出ないようなところで、犬と2人で、周りはみんな避難しているのに、1人でいるという人も何人かいて

SORAアニマルシェルター・二階堂利枝代表:
動物がいると避難が遅れてしまうこともある。飼い主さんの意識を変えていかないとなと思いました

そのため、万が一に備えた手引きをまとめた「ペット防災」の冊子を作成。
災害時のサポートに力を入れてきた。

スムーズに避難できるようペットも一緒に訓練

一方、ペットの避難訓練も実施。

後藤啓寿トレーナー:
災害のときに起きそうなことを想定して、それにワンちゃんたちが対応できるように、飼い主さんとともに練習していきたいと思います

講師を務めたのは、災害救助犬の指導手でもある後藤啓寿トレーナー。
まずはケージに入る練習。普段から慣れていないと怖がってしまい、避難を難しくさせる要因の1つになる。

次に、徒歩での避難に備えた練習。
ペットボトルを障害物に見立て、いつもと違う環境を再現し、スムーズな避難に結び付けるのが狙い。

福島警察犬学校「Dog Base WANPAKUS」・後藤啓寿校長:
飼い主が知識をしっかり得て、それをこういうのが災害のときに役立つんだと意識して、それを行動に移す。そして、自分のペットは自分で守るという意識をしっかり持たないとだめだと思う

この訓練に参加した、広野寿子さんと愛犬のジュール。

広野寿子さん:
普段はいつも、この子用にこちらに置いてあります。すぐ逃げられるようにリード。バック、すぐかけて出られるように

11年前の震災の経験などから、「持ち出し袋」にはペット用品を常備。
万が一に備えて、飼い主の連絡先などがわかるマイクロチップも装着させている。

それでも、2019年の東日本台風では…

広野寿子さん:
ワンちゃんと一緒に避難できる場所がわからなかったので、ずっと車の中では避難はしてました

大勢の人が集まる避難所。
準備を重ねていても、ペットを連れての避難はどうしてもためらってしまった。

広野寿子さん:
ワンちゃん嫌いな人もいると思うので、そこがネックですよね

ペットと同じテントで過ごせる“ペット同伴避難所”も

福島市・木幡浩市長:
全国的にも、ペット同伴避難は珍しい取り組みであろうと考えております

2021年9月、福島市が東北で初めて開設したペット同伴避難所。
これまでペットは避難所に入れなかったが、この同伴避難所は人とペットが同じテントで過ごすことができる。

新しい避難のカタチに飼い主は…

広野寿子さん:
飼い主に聞くと、うちはほえるので行かないというのがあるので、できれば、ほえても一緒に入れるところがあれば、そちらの方に行きたいなと思っておりますね

しかし、この避難所は福島県ではまだ福島市の1カ所にとどまっていて、県全体への広がりが待たれている。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。