埼玉県朝霞市で、内装会社の社長が焼死体で見つかった放火殺人事件で、仕事仲間の男2人が逮捕された。2人と被害者の間には金銭トラブルが確認されていて、埼玉県警が関連を調べている。
生きたまま火を放たれ
この記事の画像(14枚)内装業の大木渉容疑者(37)と元内装業の大西寿貴容疑者(31)は、今年5月、朝霞市の内装会社で、社長の長葭良さん(43)を鈍器で複数回殴った上、放火して殺害した疑いで、県警に逮捕された。2人の認否は明らかにされていない。
当時、内装会社から上がる煙を見た通行人が119番通報。会社の事務所部分は全焼し、その中から長葭さんは焼死体で発見された。現場にはガスが引かれていないことや遺体の状況などから、県警は放火殺人事件として捜査に乗り出していた。
遺体は全身が焦げて、炭化していたが、上半身には複数箇所の骨折が確認された。大木容疑者ら2人は、長葭さんの上半身を、細い棒状の金属製工具類で、複数回、殴ったとみられているが、長葭さんの死因は焼死だった。
司法解剖の結果、一酸化炭素や肺から吸い込んだ“すす”が検出されていたのだ。少なくとも長葭さんは、暴行を加えられた直後の段階では、息があったことになる。その後、火が放たれ、煙を吸い込むなどして死亡したという。
“職人”同士に何が
大木容疑者らは、今年1月、長葭さんと知り合ったという。主に長葭さんが請け負った仕事を、大木容疑者らに依頼するという関係性だった。元請けと下請けの間柄だ。
事件当時も、前日の夜から、都内で仕事をして、明け方に内装会社に戻り、解散したという。ただ、周辺の防犯カメラには、大木容疑者らが乗る車が、現場方向へ戻る映像が確認されていた。いったん会社を離れた後、舞い戻り、犯行に及んだとみられている。
2人は、その後、何食わぬ顔をして、埼玉県内の別の現場で仕事をしていたという。事件が発生した時間帯に、現場の内装会社にいたことについては、「次の現場で使う資材を取りに行った」と説明しているそうだ。
明確な”殺意” 犯行動機は
放火殺人という強い殺意がうかがえるこの事件。なぜ、大木容疑者ら2人は、仕事の元請けとなる長葭さんを殺害したのだろうか。
埼玉県警は、これまで、長葭さんとトラブルとなっていた可能性のある人物の洗い出しを進めてきた。その中には、仕事をめぐって金銭トラブルを抱える人物として大木容疑者らが含まれていたという。
逮捕前の事情聴取に対して2人は、「日当の未払いがあった」と話していたそうだ。県警は、金銭トラブルがキッカケとみて、犯行動機を追及している。
(フジテレビ社会部・埼玉県警担当 大久保裕)