ヨットによる世界一周に挑むため、23歳の男性が兵庫県西宮市のヨットハーバーから出航した。成功すれば、日本人最年少記録をおよそ30年ぶりに更新する。

ヨットで日本人最年少 世界一周に挑む

11月12日、大阪湾で、1隻のヨットが大きな夢に向かってゆっくりと進んでいった。操縦するのは、大分県出身で西宮市在住の、木村啓嗣(きむら ひろつぐ)さん、23歳。

単独で、港に立ち寄らず、食料などの補給を受けずに世界を一周する航海に挑んだ。

出航前の11月4日、兵庫県西宮市にあるヨットハーバーで、実際に航海するヨットの内部を特別に見せてもらった。

木村啓嗣さん:
準備中ですけど、船内から見ます?

全長12メートルほどのヨットには、通信機器や食糧など、航海に必要なものが備えられている。

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寝る部屋も案内してもらいました。船の傾きによって、頭の位置を変えている。

木村啓嗣さん:
寝ている時は大体こっち方向で寝ているんですけど、船がこっちに傾くとこっちにしています。逆に傾いたら頭の位置を逆にしています。ゆらゆら揺れているので、ゆりかごみたいなハンモックの上で寝てるみたいな

木村さんが大切にしているお守りも見せてくれました。ヨット部だった高校生の時に作ってもらったものだ。

木村啓嗣さん:
このお守りは、どんな効果があるか分からないですけど、持ち歩いてる大事なものです

夢あきらめきれず

高校時代からヨットに乗り、いつしか、ヨットで世界一周をするという夢を持つようになった木村さん。

高校卒業後は、海上自衛官として潜水艦で勤務したが、夢をあきらめきれず、ヨットを通じて知り合った現在勤めている大阪の会社の社長に直談判。何と、会社の事業として、世界一周に挑戦することになった。

木村啓嗣さん:
風も波もない落ち着いた日の夜は星空が海にも映るので、独り占めするのが楽しみです。できれば独り占めにとどまらずに、どうにか写真とか動画を撮ってきたいと思っているのですが…どこまでうまくいくか

計画では、太平洋を南へ下り、南アメリカ大陸とアフリカ大陸の南の端を通過、およそ半年かけて日本に戻る予定だ。成功すれば、26歳で達成した白石康次郎さん以来、日本人最年少記録を、およそ30年ぶりに更新する。

取材中、木村さんのもとに、たまたまやってきたのが、海洋冒険家の堀江謙一さん(84歳)だ。堀江さんはことし6月、83歳の世界最高齢で単独無寄港での太平洋横断を果たすなど、木村さんにとって憧れの存在だ。

堀江謙一さん:
ハワイの東側を通ると(コースに)出ているんですけど、地図を見ると西側を通っているように見える

木村啓嗣さん:
ハワイ近辺を通るんですけど、低気圧の関係でもっと南米よりになっちゃうかと思います

堀江謙一さん:
どっちでも大差ないとは思うんですけどね。あのコースが一番いいかなと僕も思っているんでね

堀江さん、木村さんに「頑張ってください」と声を掛け、握手を交わした。

長年の夢かない いよいよ出航!   

そして、迎えた出航当日。大分から家族が駆け付けた。

木村さんの姉・咲貴さん(29):
啓嗣くん、帰って来たら何を食べたいですか。用意して待っておきます

木村啓嗣さん:
(航海に)出ている時に、思い出す味が食べたくなります。陸にいる間に「帰ってきたら何食べたい?」って聞かれても分かりません。なので、姉には(航海に)出ている最中に電話で伝えておきます

 出航前の、家族とのひと時。抱き合って声をかけ合った。

木村さん:
行ってきます

家族や会社の仲間たち数十人に見送られながら出航した。

航海の様子は、インスタグラムで発信することにしていて、順調にいけば、2023年5月のゴールデンウィークごろに西宮に戻ってくるということだ。

 (2022年11月14日放送)

関西テレビ
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