安藤優子さん達のバトルに参戦

自民党のこれまでの選挙戦略を、「女性を従属的なわきまえる存在とみなしてきた」と、著書で批判したジャーナリストの安藤優子さんと自民党の稲田朋美さん、立憲民主党の辻元清美さん、国民民主党の伊藤孝恵さんの3人の女性議員による「バトル」の司会をしないかと誘われて、ビビりながらも引き受けた。

パネルディスカッション「日本政治とジェンダー」(10日)(画像提供:創発プラットフォーム)
パネルディスカッション「日本政治とジェンダー」(10日)(画像提供:創発プラットフォーム)
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11/10に衆議院第1議員会館で行われたパネルディスカッション「日本政治とジェンダー」(創発プラットフォーム主催)には、参院選まで自民党の選対委員長を務めた遠藤利明総務会長も「被告席に座ってる感じだ」と言いながら出席してくれた。

自民・遠藤総務会長も出席「被告席に座ってる感じだ」
自民・遠藤総務会長も出席「被告席に座ってる感じだ」

冒頭安藤氏が、日本の国会に女性議員が増えない理由として、自民党がイエ中心主義の政治指向の中で、女性に家事、育児、介護を切り盛りする「家庭長」という役割を押し付けてきたからだと、問題提起した。

立憲民主・辻元氏「政治家は男で、妻は内助の功で子育てしながら地元回りするというモデルができている」
立憲民主・辻元氏「政治家は男で、妻は内助の功で子育てしながら地元回りするというモデルができている」

これに対し稲田氏は「イエ中心主義は仲間を守る」と擁護しながらも、「女性の役目を固定化し、女性はこうあるべき、わきまえているべきというのは全く違う」と指摘、辻元氏は「政治家は男で、妻は内助の功で子育てしながら地元回りするというモデルができている」と同調した。

「母親なら家で育児しとけよ!」

さらに伊藤氏は「国会で質問に立ったら、母親なら家で育児しとけよ、とヤジられた」と立法府の情けない実態を暴露。辻元氏は「24時間戦えますかという政治のありようでは、子育てや介護がある女性は適応しにくい」と怒りをあらわにした。「被告」の遠藤氏は「弁明するわけではないが女性の活躍は少しずつ増えている」と防戦に追われた。

安藤氏「なぜ女性議員を増やすべきなのか」
安藤氏「なぜ女性議員を増やすべきなのか」

安藤氏の「なぜ女性議員を増やすべきなのか」という問いに対し、稲田氏は「女性の視点は日本にとって重要」、辻元氏は「女性が働けば消費が拡大し経済が成長する」、伊藤氏は「国会は社会の写し鏡。男女の人口比は半々」と主張した。

国民民主・伊藤氏「国会は社会の写し鏡。男女の人口比は半々」
国民民主・伊藤氏「国会は社会の写し鏡。男女の人口比は半々」

最後に女性議員を増やすことを義務化するクオータ制について遠藤氏が「一気に行くのは難しい」と述べたのに対し安藤氏が「時限立法でやってみれば」と食い下がった。遠藤氏は「現実的には難しい」と譲らなかったが「数値目標なら可能性がある」と述べて一歩踏み出した。

女性議員がぶち当たってる壁は「かなり厚いな」と感じた
女性議員がぶち当たってる壁は「かなり厚いな」と感じた

1時間半の議論を聞いて、安藤氏の「なぜ女性議員が増えないのか」という問題提起は至極真っ当で、それに対し3人の女性議員がそれぞれぶち当たってる壁は「かなり厚いな」と感じた。

ボーイズクラブはゲタを返せ

ただ遠藤氏がクオータ制について最後まで譲らなかったのは間違っていないと思う。現代の日本では保育と介護の充実で女性はもはや「家庭長」ではなくなりつつある。だが僕のその意見に対しては「3歳までは家で育てろと真顔で言われる」「母を施設に入れる時に抵抗された」「施設に入れてもかわいそうで連れて帰ってしまう」と一斉に反論が返って来た。

僕自身は育児や介護で公的サービスに随分お世話になり助かっているのだが、これは地域差もあるし、やはり女性の方が男性より感情が細やかなのだろうか。

安藤氏は朝日新聞のインタビューで「ボーイズクラブは女性たちにゲタを返せ」と言っている。これまで家庭を女性に丸投げし、ゲタを履かせてもらって好き放題やって来たオトコたちはそろそろゲタを返しなさい、と言っているのだ。

自民・稲田氏「首相に女性を増やすという意志があればできるはず」
自民・稲田氏「首相に女性を増やすという意志があればできるはず」

稲田氏は「首相に女性を増やすという意志があればできるはず」と言った。ここは岸田さんにビシッとやってほしい。そろそろボーイズクラブは女性にゲタを返さなくてはいけないのだと思う。

【執筆:フジテレビ上席解説委員 平井文夫】

記事 319 平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。2020年4月から立命館大学客員教授。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。