新潟県北部を襲った記録的な大雨から3カ月。いまだに避難が続く被災地へ支援の手を差し伸べたのは、県内各地のラーメン店だった。

復興進まず… 住民は仮設住宅へ

新潟市東区のラーメン店「SHINASOBA颯々樹(ささき)」。9月、店の入り口に置かれていたのは「麺の力」と書かれた募金箱。

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SHINASOBA颯々樹 店主 佐々木大樹さん:
最近は天災が多くて、ラーメンの力で何かできればと思った

8月に県北部を襲った記録的な大雨。土石流が発生した村上市小岩内地区は住民の避難が続いていて、3カ月が経った今も豪雨の爪痕が残っている。

村上市小岩内地区(10月23日)
村上市小岩内地区(10月23日)

小岩内地区 松本佐一 区長:
大雨から3か月、まだ手付かず。何回見ても切ないし、「復興」という言葉はあるが、復興どころか、まだまだ

小岩内地区 松本佐一 区長
小岩内地区 松本佐一 区長

復旧作業も長期化する中、9月には地区の住民33世帯が仮設住宅で暮らし始め、区長の松本佐一さんも妻の由美子さんと仮設住宅に入居した。

小岩内地区 松本佐一 区長:
仮設住宅での生活がいつまで続くのか不安だらけ

妻・由美子さんと仮設住宅に入居している松本さん
妻・由美子さんと仮設住宅に入居している松本さん

「恩返ししたい」 県内ラーメン店が支援

長岡市で鶏を煮込んだ塩ラーメンが看板メニューの「麺の風 祥気」。こちらも豪雨の被災地を支援する「麺の力」に参加した。

麺の風 祥気 店主 横山元気さん:
長岡市では中越地震があって、他の地域から支援してもらった恩返し

豪雨の被災地を支援する「麺の力」。募金に協力するお客さんは…

募金したお客さん:
助け合いが大事だと思う

募金したお客さん:
中越地震のときお世話になったので、その恩返し

この取り組みを発案したのは、小千谷市にある「手打ちらーめん勝龍」の店主・細貝勝也さん。

手打ちらーめん勝龍 店主 細貝勝也さん:
下越から上越・妙高まで30軒くらいのラーメン店が支援している

こう話す細貝さんも中越地震で被災し、多くの人の支援に支えられた。

手打ちらーめん勝龍 店主 細貝勝也さん:
中越地震で大勢に助けられて、店をやってきた感謝の気持ち

柏崎市にある「味の横綱」の店主・高橋一幸さんは中越沖地震で被災。ラーメン店などの飲食業界も新型コロナウイルスによる客の減少に加え、小麦や油などの物価高が直撃している。

味の横綱 店主 高橋一幸さん:
新型コロナウイルスと物価高のダブルパンチ。でも、中越地震・中越沖地震で困ったときに皆さんに助けてもらった。だから困っている人がいたら助けてあげたい。自分も困っているけど、もっと困っている人がいるわけだから、そういう人たちを助けたい

「前進してほしい」

10月17日、「麺の力」で集まったたくさんの思いを被災地に届けた。

支援物資を届けるため、常連客も協力。車を運転する成毛馨さんは勝龍の常連客で、中越地震では自宅が半壊した。

成毛 馨さん:
中越地震で困ったときにみんなが力を貸してくれた経験がある。少しでも被災地の力になりたい

まずは村上市役所で高橋邦芳市長に支援金を手渡した。そして、小岩内地区の住民が暮らす仮設住宅へ。

小岩内地区の区長・松本さんや仮設住宅に暮らす人が出迎えてくれた。

避難する小岩内地区の住民:
涙が出る。感謝

支援物資を配る細貝さん
支援物資を配る細貝さん

ラーメン店の細貝さん、元気な声掛けはお手の物。

手打ちらーめん勝龍 店主 細貝勝也さん:
「村上市外からも応援していますよ」と。前進していってほしい

被災から3カ月近く経って、対面での支援に…

避難する小岩内地区の住民:
「まだまだ、忘れられていないんだな」という気持ちでありがたい

避難する小岩内地区の住民:
今でも、こうやって来てくれることがありがたい

村上市小岩内地区の日常が奪われて3カ月。仮設住宅に暮らす区長の松本さんは…

小岩内地区 松本佐一 区長:
冬を迎えて、雪の不安が住民にある。そんな中、支援が届いたときは、何もかも忘れて一歩ずつ前に進んでいける

支援物資のラーメンを食べる松本さん
支援物資のラーメンを食べる松本さん

被災地の不安が続く中、支援のラーメンが被災した人の心と体を温める。

(NST新潟総合テレビ)

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NST新潟総合テレビ
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