宍道湖・中海の厄介者になっている「エイ」を使ったハンバーガーを松江市の養護学校の生徒が考案した。大学や地元の鮮魚店とも連携、地域を巻き込んだユニークな取り組みで生徒たちが地域や社会とつながるきっかけを作る。

アカエイを食材として活用 “エイちゃんバーガー”が好評

松江市の松江養護学校乃木校舎。売店で10月27日から販売が始まったのは「エイちゃんフライバーガー」。具材のフライはアカエイのヒレをさくっと揚げた。

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来店客:
なかなか聞かないから買おうと思って、楽しみです

このバーガーを考案したのは、松江養護学校で食品加工などを学ぶ高等部の生徒11人。地域の課題解決をテーマにした職業学習を通じて、アカエイが中海や宍道湖で急増し、漁師を困らせていることを知り、食材として活用することで解決につなげようと考えた。以前からエイの食用化の研究を手掛けていた島根大学や地元の鮮魚店と共同で開発に取り組んだ。

淡水と海水がまじりあう汽水域の中海・宍道湖には海水魚のエイも生息している。ただ、宍道湖では、2005年からの10年間で10倍以上になるなど、近年捕獲数が急増している。

急増したアカエイは魚や貝を食い荒らし、漁業の妨げになるため、すっかり「厄介者」扱い。そんなエイを食材として使うユニークな試みだ。

気になるのはその味だが…

竹下慧記者:
生臭さはほとんどなく、アジフライのような食感です

この日は15個を用意。30分の営業時間内に完売した。

エイちゃんバーガーは大好評
エイちゃんバーガーは大好評

生徒:
思ったよりたくさんのお客さんが買っていたので、すごくうれしいなと思った

「自分たちで考えて動く」 地域とつながるきっかけに

ここ松江養護学校乃木校舎では、週2回、火曜と木曜を「営業日」として学校を開放。職業学習を通じて生徒が習得した技能を生かして、料理や布製品の販売、洗車や車のタイヤ交換などのサービスを地域の人たちに提供している。

松江養護学校・川上智子教諭:
生徒たちがいきいきして自分たちで考えて動いているというのを知ってもらうのが一番社会に受け入れてもらえるのかなと思う

卒業後、社会に出る生徒たち。在学中から地域とのつながりをつくり、障害のために生まれがちな社会との壁を取り払う。

近所の人:
近所の方もお得意様でいっぱい来られていて地域に根づいてますし、頑張っている姿を見ると、こちらも頑張らなきゃとなる

10月27日の学校開放には、県内の企業担当者も見学に訪れた。

企業の担当者:
事前にこういった体験や訓練を重ねられた上で入ってきてもらえるのは、企業としても安心して受け入れることができる

生徒:
お客様と話したり、作るっていうことも経験して、飲食店で働きたいと思っているので、経験が全面的に役立つのでは

生徒たちが自ら考え、試行錯誤の末にでき上がったアカエイのハンバーガー。生徒たちが地域や社会とつながるきっかけにもなったようだ。

アカエイのバーガーは、11月に松江市で開かれるイベントでも販売されるという。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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